「REAL」と「SO LONG」を収録した、七瀬リオの最後のシングルは、驚異的な売り上げを見せた。
皮肉なことに、ゴシップになんの反論もしなかったことが逆に功を奏してだったのか、それまでアイドルの七瀬リオになんか見向きもしなかった人たちまでもが、彼女の歌を一度聴いてみたいという興味本位からか、セールスに貢献してくれた結果、
最終的には、あたしの自作の歌のメッセージ性に魅かれて、新たなファンにもなってくれた。
だけど、そんなファンたちの声がいくら高まっても、もう二度と七瀬リオは人前で歌うことはなかった。
曲が売れたことで、事務所も、名前を変えてもいいから再度売り出してみないかなんていう提案を出してきたりもしたけど、もうどんな言葉にも、あたしは耳を貸さなかった。
だって、もう、七瀬リオは、終わったんだから。
そう、これで、全部おしまい。
七瀬リオは、もうどこにもいないの。
15歳から、18歳を駆け抜けた、伝説のアイドル?
違う。
本当は、18歳から、21歳までを必死で走った、ただの少女。
奇しくも、
イジメられて、リスカをくり返してたような、苦しくてしょうがなかった15歳から18歳までと、
アイドルだった時期が、重ねられるなんてね。
アイドル時代に、歳を3つごまかしてたのって、今になってそう考えるとよかったのかもね。
だって、あたしの一番辛かった時期が、
アイドルなんていう輝かしい時期として、塗り変えられたみたいじゃない?