高鳴る鼓動を感じながらドアを開ける。
そこには誰もいなかった。窓から入る風でカーテンが揺れる。
「、、、屋上?」
彼はいつも屋上にいるような気がした。絵を描くのが大好きな彼。そして空がすき。
彼はいつも空を描いている。毎日。違う雲の特徴を真似て。
さっきとは比べ物にならないほど軽くなった足で階段を登る。
屋上につき扉を開く。
「ん、?どした、ってかよくここわかったな。」
「いつも空の絵持って教室入ってくるから。一番綺麗に見えるところで書いてそうだなって思った。」
私は空を見上げながら言う。
「、、そうか。」
彼は絵を描く手を止めずに話を進めた。
「空っていいよね。毎日、違うの。同じ色の日があっても、雲の形とか、光具合とか、明るさとか。同じ日がないの。」
彼を見つめて話を続ける。
「わかるか、?空の良さ。」
もちろんだとはっきり言いたかった。空はいつでも静か。
どんなに教室がうるさくても、空を見れば、心がきれいになるような感覚がある。
「うん。空、好きだから。」
再び空を見上げ微笑む。
「っふ」
彼は珍しく手を止め笑った。そして私の顔を覗き込むように見つめる。
「俺ら、案外似てるのかもな、」
そう言って、彼は再び絵を書き始めた。
「そうかもね、」
そう言って私は屋上を出て、教室へ戻った。
コメント
2件
書き方とかめっちゃ好き!!