「はぁ……腰が痛てぇ…」
そう、中也は独りごちる。
隣には、恋人である太宰がすよすよと、気持ちよさそうに寝息を立てている。その様子を見て憎らしくも思った。だが、それ以上に「愛おしい」「好き」だとかいう気持ちの方がぐっと押し寄せてきた。それを感じ、俺は思わず
「…これが惚れた弱みってやつかァ」
と、また独り言のように呟き隣に寝ている太宰の蓬髪を撫でてから、額にチュ。と接吻をする。自分でやっておいて、恥ずかしくなった。少しばかり耳を紅く染め、まだ昨夜の情事が伺える自身の体を一瞥し、この大量についたキスマークをどう隠すかと思い乍ら寝台の下に太宰が放り投げたストライプ柄の襯衣を1枚拝借し羽織る。
少しぶかぶかとしており、自身と太宰の身長差を自覚してしまうが太宰の匂いに包まれているようで安心する為、今日ぐらいはこの襯衣の匂いに免じて許してやろう。と、自分でも理不尽な事を考えたと思う。だが俺はそんなことは置いておいて朝餉のメニューを何にするかと考え乍ら台所へと足を運ぶのだった
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「お…….、だ..ぃ!!.さ….と..お….ろ!!」
誰かが何かを言っている。だが眠い、睡魔に負けて仕舞いそうだ…。あぁ..でも何だか朝餉のいい匂いがする…それに..恋人の匂いも。と微睡む意識の中そう考える。だが
「おい、太宰!!さっさと起きろ!!!!!!」
再度その声を聞き私の脳は覚醒した。愛しい中也の声が聞こえたから。それに、これ以上言わせると私の朝餉が無くなってしまう。まだ、眠い。だが、それ以上に中也の作ったご飯が食べたいと思ってしまったのでムクリと身体を起こし、中也に抱きつく。中也からは
「おい、離れろ。くそ太宰」
と苦情の声が上がるがそんなことは気にせずに、
「んー…おはよう中也。朝ごはんなァに?」
と、少し腑抜けた声で聞く。すると中也は
「米と卵焼きと..姐さんから貰った漬物。それから焼き鮭と味噌汁だ。取り敢えず顔洗ってこい。」
と言った。成程、朝から和食か…それに豪勢だねぇ。と思いながら私は中也に言われた通り顔を洗いに洗面所まで向かうのだった。
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顔を洗い、少しボサ着いた髪を直してから朝餉が並べられた宅の前に座る。
炊きたての白米の匂いに食欲を唆られる。そして、程よく焼き目が着いた焼き鮭と卵焼き。
社員寮に居た頃は朝、何かを食べなくとも済んだのだが中也と半ば強引な形で同棲を始めてからはこのように朝餉を食べてから出社するようになった。しかも愛妻弁当付きで..だ。(妻ではないが将来的に妻にする予定なので関係ない)
初めて弁当を持たされた日、社では少し大騒ぎになった。
国木田くんからは「あ….あの太宰に..こっ…恋人が…!?」と言われ敦くんからは「美味しそうですね」と言われ鏡花ちゃんからは「あの人の料理?美味しそう。」と言われ賢治くんからは「わー!!美味しそうですね!!!」と言われ乱歩さんからは「その卵焼き美味しそー!1つちょーだい!」と言われ与謝野さんからは「バランスが取れてるいい食事だねェ」と言われ谷崎兄妹からは「美味しそうですわ!!!それに、こんなに綺麗に卵焼きは焼けませんのよ!」「彩りがいいですね、今度お弁当を作る時の参考にしてもいいですか?」と写真を撮られ乍ら言われた。
まぁ、簡単に言ってしまえば評判が良かったということだ。そして、評判が良すぎるせいか何人かの社員に”味見”と称してつまみ食いもされてしまった。悲しいかな。楽しみにしていた弁当が半分ほど無くなってしまったのだ。私のお弁当が…と嘆いているとお礼だとかでお菓子を呉れた。でも私はお菓子ではなく中也の弁当が食べたかったのだ。そう思いながら昼休憩も終わり、少しだけ仕事をして定時ちょっと過ぎ頃に退社した。つまみ食いをされたその日、夕食時に中也にそのことを言うと
「あー…じゃぁ裾分け用と手前用で作っとくか..」
と言っていた。その言葉を聞き私の表情が明るくなった途端、中也は「….ふっ….ははっ!!!!」と控えめに笑いだした。その様子を怪訝そうに眺めていたら中也は笑いながら
「…済まん済まん、余りにも手前の表情が明るくなったもんだから、面白くてな」
と言った。そんなに面白かったのか?と思いながらも「ふーん..其う。」と言いながら、目の前にある夕餉を食べる。
メニューは、カニクリームコロッケとサラダ。何切れかに切られたバケットとそれから、コーンスープだった。
カニクリームコロッケは衣がサクサクしていてとても美味しかったしコーンスープも手間を掛けて手作りらしいが舌触りがとてもよく美味しかったし、サラダはシャキシャキとしていたしこれまた手作りのドレッシングがさっぱりとしていて美味しかったしバケットも、バターが塗ってあって美味しかった。コーンスープに浸けて食べてみたがそれもそれで美味しかった。
矢張り、外食をするよりも中也のご飯の方が何倍も美味しいと感じてしまうあたり、胃袋をがっしり掴まれている。でも、それもこれも中也のご飯が美味しいのが悪い。其うだ、中也のご飯が美味しすぎるのが悪いのだ!うんうん。だから、これは決して私がちょろいとかそういうのでは断じてない、決して有り得ない。なんなら私より中也の方がちょろいので、チョロ原中也に改名した方がいいと思う。
と、1人でウンウン頷きながら考えていると、中也が
「….1人で頷いてどうしたんだよ..キモイぞ」
と、ワイングラスを片手に言って来たので
「え?中也はチョロすぎるから改名してチョロ原中也にした方がいいし、どこかに”太宰”って書いておかないと、知らないおっさんにあんなことやそんなことされちゃうなーって思っただけ〜」
と言うと、中也は
「あ?殺すぞ手前…というか、名前書かなくても別にいいだろ」
「え、なんでさ。必要だろう?」
「いらねぇだろ、だって既にこんなのがあるしなぁ….」
と、キスマークと自身の首に着いているチョーカーをちらりと見せてきた。之だからこの狗は….今日は抱き潰してやろうと思いながら私は「ははは、そうだったねぇ。」と言う。
きっと、半分は嫌がらせ、半分は殆ど素だろう。中也は昔からこういうところがある。無駄に露出の高い服を着たり…無意識的に上目遣いをしてきたり…もうヤダこの蛞蝓と何度思ったことか….そしてある程度の段階になるまで襲わなかった私と息子と理性を誰か褒めて欲しい。何処かのロリコンのように直ぐにがっつかなかった私を褒めて欲しい。そう思う。
とまぁ、そのような事を考えているうちに皿に盛り付けられていた料理も無くなり、目の前にいる中也も先程まで葡萄酒を嗜んでいたので酔っているのか、紅潮した顔でこちらを見ている。「なァに?」と聞くと中也は
「んァ?…あー…..手前が毎度毎度美味そうに俺の飯食うから….面白くてなァ」
と、にへっと笑い乍回っていない呂律で言ってきた。その顔を見てキュンとしてしまった。
胃袋だけではなく心までもがっしりと掴まれてしまっている。そう思った。片思いして数年、最近になってやっと気持ちを伝えられて…両思いだったことがわかりこうやって付き合い始めた。あぁ..本当に長かった、あの鈍感だった生意気なちびっ子が…今はこんな団地に住んでるえっちなお姉さんみたくなっちゃってさぁ…..ほんと…毎日抱き潰してでろでろにして甘やかして開発したいと何度思った事か……はァ….絶対抱く(本日2回目)と心に誓った。
でも、中也はすーぐ私以外の人間に尻尾を振る。だから、それを減らすために躾をしなきゃならない、これからたーっぷりと教えこまなければ……
はぁ…夕食を食べた後にはデザートが食べたい。だが、卓上にはデザートなんて無い。残念だね。あぁ….でも目の前にとびっきり美味しいデザートがいるでは無いか。ふふふ….デザートは別腹だよ。さぁ..美味しく頂こうではないか。
其れじゃァ…いただきまーす♡
(ここから先は..勿論。有料だよ♡ 太宰)
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ーあとがきー
はーい、なんか終わり方が相変わらず雑ですいません(汗汗)(((((
えー…どうでしたかね 満足いただけたでしょうか。相変わらず駄文なのは変わらないんですけれども読んでくださった方々が満足頂けたのであれば嬉しい限りでございます。
今回は献立(?)をいれたりとかしたんですけどたのしいですね!((
いやぁ..考えてて楽しかったです。まぁ自分は考えるだけで作らないんですが中也の作るご飯は美味しいと確信しています。(((((
まぁ料理下手な中也も可愛いんですけどね(((殴
あぁ、中の人の変態が滲み出ちゃいましたねすいません((((
とまぁふざけすぎるとなんだ此奴(((殴
ってなっちゃうと思うんで今日はここまでにしますね!((飽きただけ
それじゃあ次のお話でお会いしましょ〜!!!
ー fin ー
コメント
8件
文マヨやってますか?