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ゆずき
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#子育て
都築七美
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「返せ……返せ、返せよ……!」
地面に這いつくばり、爪を立てるようにして手を伸ばす。
――果穂の叫びが、夜の静寂を切り裂いた。
喉を潰すようなその声は、怒りとも、嫉妬ともつかない感情に歪んでいる。
「それは――私の人生だった!」
果穂は絶叫しながら、目の前に立つ男を睨み上げた。
綾咲幸人は一歩も動かず、冷えた眼差しでその姿を見下ろしている。
その背後に、詩乃は立っていた。
幸人に庇われるように、幼い息子をその手に抱いて。震える小さな身体を守るように、強く抱き寄せながら。
渡さない。
もう、何も奪わせない。
――この人生は、もう私のものだ。
詩乃は何も言わず、ただ静かに果穂を見つめ返した。
コメント
1件
都築七美さん、第1話「プロローグ」読みました。 冒頭から果穂の絶望が痛いほど伝わってきて、胸が締め付けられました。「私の人生だった」という叫び、それに対して動じない幸人と詩乃の対比——たったこれだけの描写なのに、三人の間に何があったのか想像せずにはいられません。詩乃が息子を守るように抱く仕草が、静かな強さを感じさせて、もうこの人生は譲らないという意志がひしひしと伝わってきました。 設定の奥行きを感じさせる、惹き込まれる開幕でした。続きが気になります。