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※これは本編完結後の番外編作品になります。尚、登場キャラはゴウセル、リーシア、アーサー、ラディリオのみになります。
また、今回は戦闘シーン無しの平和な特別編です。
「ふふっ、あははっ!」
リーシアは彼に抱きついて離れず、甘えまくる。それに幸福の末に幼き宝物にも恵まれて幸福な日常を送る。
「やはり以前よりも、よほど今の方が溺愛感情が増しているな、だが誰かを一途に愛するのも良いのかもな」
「ずっと貴方私愛してるんだから…それにこの子が生まれてから余計にもっと貴方への想いが深まったみたいなの、ねえこのまま、まだ甘えてて良い?」
リーシアはそっと彼に肩を寄せた。抱擁も口付けも、今ではもうそんな恥じらいさえも感じない。想いが導くままに彼女は彼に甘える。
「ああ」
彼と無邪気に甘えまくっている、その様子を窓の外から静かに見守るアーサーとラディリオ。
「リーシア、相変わらず幸せそうで良かった、すっかり疲労も無くなっているようで安心だな」
「アーサー王、何時もリーシア様の事を気にしておられるのですね」
「ああ、彼女とはもう古い仲の繋がりでもあるし、色々彼女に関わってきたというのもあって出来る限り見守っていきたんだ」
「え……?アーサー王、リーシア様とのご親睦がそんなに前からあられるのですか…!!?もしかして、だから積極的に……」
「それもあるけど……私も…その…まあ少し彼女に対しての気持ちが……あはは…」
「……あ、まさかアーサー王もリーシア様の事……」
「あ、い、いや…そんな事は‥……」
アーサーのまさかの事実の発覚に盛り上がっているのを他所にリーシアは彼にべったり寄り付いて甘えまくり……とはいえ、家族になり更には幼き子供も今はいる為に子守りをしながらの空間になるので、ずっと溺愛に浸っている訳にもいかない。
「ふふっ、この子がこれからもどんどん成長していくって思うと、何だか楽しみね!」
「ああ、そうだな」
「蘇生されて、新しい人生を与えられてから本当にこれまでにないくらい、最高な幸せに包まれた生涯を……途切れる事なく生きていけるなんて……貴方と出会えた奇跡が私の全てを変えてくれた、ほんとに言葉にできないくらい…ゴウセル、貴方には感謝しているわ」
「君と出会い、心というものがなくとも、何故か感謝の事が理解出来たような気がする、自分にとって大切な存在が出来るという事がこんなにも心地の良いものだとは、君と出会えた奇跡に喜びを感じる」
「ふふっ」
嬉しそうにまた微笑むリーシア、もう苦しめる元凶が居なくなって幸せな永久なる生涯を歩める…そう実感した今、彼女が溢す感情には以前のような悲しみや苦しみ、痛み、怒りなどもなくなって日々ただ、幸福な笑顔に満ちている。
「ねえ、そういえば何で私だけを願いの対象にしたの?その気になれば貴方がずっと欲っしていた【感情】を取り戻せていたかもしれないのに……」
「君を救う事以外の事など、あの瞬間は考えられていなかった、確かに感情の共有が出来ないというのは生きづらいが、これは俺自身が選んだ末路だ…以前は感情をまた手にしたいと思った事もあったが、君の事を思うとそんな事など、もう些細な事でしかなかった」
「ゴウセル‥……ありがとう……」
また彼女はべったりと背後から彼へ抱擁を求めた。「君の溺愛度は相変わらずだな、以前からその片鱗は見えてはいたが、それが明確になったな。しかし依存が病に変わるとはな」
「うん……前まで…‥こんな事なかったのにね、今は‥……貴方の傍から離れるのが怖くなって……他人を見るのも、怖くなって……駄目だよね、私……迷惑や心配かけてばかりで…」
そう言って落ち込んだ彼女を慰めるように、彼はリーシアを抱擁し、ゆっくり今回は彼の方から口付けをした。
彼からの慰めを受けた彼女は頬を嬉しそうに微笑んだ。
「ふふっ最高ね、こんなにもかけがえのない最愛の大切な人と永遠に途切れる事のない生涯を送れるようになる事がこんなにも幸せな事だなんて」
「ああ、俺も同感だ」
ただただ、幸福に満ちた空間を共有し合う二人‥…そんな日常を繰り返す毎日の中、彼女の心にある【独占欲】が湧き出し、何時しか彼を独り占めしたい…もう誰にも触れさせたくない。そんな溺愛に溺れた故に生じた一途な独占欲が、彼女の心を突き動かすのだった。
「もうあの頃とは違い、今の君は心の底から幸せを感じているみたいだな、心がなく感情もない…そんな俺であっても、少なくとも随分と変わったように見える」
「全て貴方のお陰よ、貴方のお陰で私は幸せになれたんだから、ゴウセル……貴方という存在が居なかったら私は……今のような幸せを得られなかった……だからこそ、感謝してる、ありがとう」
「リーシア………」
そうしてリーシアはそっとゴウセルに近寄り、それに周りからの視線や気配を全て完全に遮断する為にカーテンを閉め、「やっとこれで‥…貴方を独り占めできる‥もう誰にも貴方の身体にさえ触れさせない……私‥……私……貴方に出会って共に生きるように、そしてこうして終わらない生涯をずっと一緒に歩んでいけるようになってから、貴方の事私の傍から手放したくない……私だけの人で居て欲しいってそう願うようになったの」
「それは……どういう意味だ…?」
「貴方は‥…私だけの……最愛で大切な人、もっと二人きりの時間に浸ってたいの、誰にも邪魔されず、ゆっくりと…」
独占欲に駆られた彼女は彼をゆっくりと抱きしめ、更に邪魔者の侵入を防ぐ為に鍵をかけ、徹底的に密閉した空間を作り、二人きりの空間にする。
「貴方をより深く愛するようになってそれから不思議と湧いてくるの、独り占めしたいって気持ちで満ちるの…貴方にだけ、ずっと溺れてたい……」
リーシアは今まで打ち明けた事のない隠していた依存性が極めて高い溺愛感情が彼を愛するあまりに暴走し、欲望が求めるがままに彼に寄り付く。
「まさか君が抱いている感情がこれ程にまで大きいものだとは、少し予想外だった…多少は勘付いていたが…」
「初めて出会ったあの時に助けてくれた恩……ずっと忘れはしないよ、だからこそ貴方への想いが高まっていくの、何より生命の恩人だもの…今ここに立って生きてる私だって、蘇生だって貴方がしてくれた……貴方が居なきゃ、もう私……生きていけないの」
リーシアは求める気持ちが、心が満たされていくまで、彼に身を委ねるリーシア。
「ねえ、貴方は私だけの最愛の人……だから誰にも触れさせないの……ずっと……ずっと私だけを見てて欲しいの、他の奴に目移りするなんて事許さないからね」
「そんな事はしない、俺が心の底から愛せるのは君だけだ」
「ふふっ、良かった。もっと二人だけの時間を過ごしましょ?」
「ああ」
誰の目にも触れる事なく二人だけの濃密な時間を刻んでいく。彼女は最愛の人へ溺愛を紡ぐ。蘇生され、新たなる人生を歩んでいけるようになった彼女は過去から一変し、この上ない幸せの日々に包まれ、ご満悦のようだ。
「ふふっ、愛してる……」
不意にまた彼に抱擁をして欲しいと求めるように寄りついた。そうして戯れたり彼と共に本を読んだりと至福の時間を。
「平和な日常の中に生きるって事がこんなにも幸せな感覚になるのね、ふふっこんなにも幸せを感じれた事なんてないわ」
「ああ、そうだな。もうあの頃のように脅威に怯えなくて良い、それに君には永遠に幸せで居て欲しい…君に苦しみや悲しみは似合わない」
「ありがとう……そんなに大切に思ってくれて、でも良いのかな、私の願いは叶った‥…でもその代わりゴウセルは…心だけじゃなく記憶までも失って苦痛を負わせてしまって…それなのに私は‥…幸せになって良いのかな」
リーシアは不意にそう思った。彼女の今は、ゴウセルは彼女の蘇生の為にその対価を支払った果てであり、その過程で彼は記憶の大半を差し出した。だからリーシアの事は覚えていても、それ以外の人物との記憶に至っては彼の記憶からは消失したのだ。
「それはもう過去の出来事に過ぎないだろう?それにあれは俺自身が決断した事だ。君が自分を責め立てる必要はない、君が幸せになれるのなら…それだけで良い」
「ゴウセル…ありがとう‥そして……ごめんね…」
リーシアは引き続きゴウセルと至福の時間を自身の心が満たされてまで、思うがままに彼に甘え続ける。「溺愛依存が発覚してから、君はそういった事に何も躊躇いを感じなくなったようだな」
「不思議なくらいに恥じらいも抑えきれない高鳴りも……もう気にならなくなっちゃった、ふふっ、貴方への想いの方が強かったみたい」
リーシアはゴウセルにぎゅっと抱きつき、手を握り合う。彼の温もりをすぐ傍で感じてまた更に幸せな感情で彼女の心が満たされた。と……そんな光景をまたもや静かに外から見守っているアーサー。
「アーサー王、直接リーシア様に会いに行かれないのですか?何時も此処へ来ては外から見守っているようですが……リーシア様、アーサー王には何も敵意を感じていないのでしょう?」
「ああ、だけどこれまで一切幸せを感じられずに生きてきてやっと掴めた本当の…彼女にとって心からの幸せを邪魔する訳にいかない、それなら静かに永遠なる幸せを守っていけるように外で見守っていこう、それが何より一番の最善の事だと思ったんだ」
「リーシア様、お幸せそうで何よりです。それにしても、やはりリーシア様はあの大罪人様の事相当溺愛しているようですね。あんなにも幸せの微笑を浮かべているのはこれまで見た事もない」
「ああ」
アーサーとラディリオの二人が外から見ている事には目もくれず、リーシアは彼に対し、溺愛をし続ける。
「もうこんな時間なのね、時間が過ぎ去っていくのは本当に一瞬ね」
「ああ、あまり時の流れなど考えた事もないが、しかし君と出会ってから途端に時間の経過が加速したように思える、不思議なものだな」
「ええ、そうね」
その後彼女は彼と共に家の事もこなしていく。それからはまたゆっくりとした時間を過ごす。最高で、簡単な言葉では言い表せない程のこの上ない幸福。彼に寄りついて幸福が満ちていくのをリーシアは肌で感じ、思わず微笑みを溢した。
幸福……そのたった一つで包まれた毎日、そんなある日久方振りに陽の光を浴びようと晴天の日に出かけようと、そう彼に言って今日はお出かけする事にしたリーシア。
「それにしても君の方からこういう提案の誘いをするとは予想していなかった、だが良いのか?ただでさえ君は他者に対し、敏感になっているのが現状だろう?」
「正直……怖いけど、でもあの頃とはもう違う、そう思えばきっと…けどやっぱり今でも走馬灯のように不意に記憶が蘇ってくるの、貴方が傷付いて‥‥そして死んだ時の瞬間も……それがトラウマになって周囲の人間が敵か味方か、その境界線が曖昧になったのかな」
「そうか、だが君を永遠に見捨てたりしない、傍からも離れはしない」
「本当に……本当にありがとう……!」
そうして元気を取り戻し、久方振りに外の空気を堪能してリフレッシュする。ずっと人々との関わりから隔離してきて、塞ぎ込んでいた為に、やはり退屈さも少なからずあったようで、その気分転換も兼ねた散歩なのだが、ゴウセルが指摘した通り彼女は重度の依存による精神的病を生じた。その為不安もあるのだ。
「改めてこうして久方振りに街並みを見てみると時の流れがより身近に感じられるね、もうあの征戦から数年は経過してるんだもの、それに祝祭に参加したのもなんだかつい最近に思えちゃうね 」
「本当にその通りだな、あれから更に時間が経過したと思うと何だか不思議だな 」
「せっかく久方振りに外を満喫する日が出来た事だし、今日は色んなとこに行ってみない?復旧もあれから更に進んで元通りになっていってる訳だし!」
「ああ、ずっと同じ空間での時間も悪くないが、こういった気分転換も重要だからな、そうするとしよう」
「じゃあ早速、出発しよ!」
二人はあの祝祭以来に陽の光を浴び、賑やかな町並みを満喫する。彼ら二人が仲睦まじく歩いていると二人に気付いた街の人々が、歓声を上げるが如く皆口を揃えて、「英雄様だ!我が国キャメロット王国の英雄騎士様!」とゴウセルに対し、熱烈な敬意を示す人々達。
「ふふっ、あの征戦からこの国を救った名誉で勇敢な姿が彼らの記憶に刻まれて、すっかり今では人気者ね」
「讃えられるような事をした覚えはないが…貢献というのは寧ろ彼らの方がしたんじゃないのか?」
「彼らって……?ああ、メリオダス達の事?まあ彼らも勿論そうだけどさ、最終的にあの征戦が幕を閉じれたのは貴方の活躍もあってこそだと思うわよ?人間達やこの国を滅亡させようとしていた私が言うのもおかしな話だけどね 」
「君は過去の記憶に囚われ過ぎた、もうあんな過去の事は忘れて良い…君には今のような幸せな未来が望ましい」
「ゴウセル…ほんとに貴方に支えられてばかりね、感謝してもしきれないわ」
そうして二人は集まってきた人々達と交流し、親睦を深めた。街の人々はアーサーの熱心な説得によってリーシアに対しての視線や認識も以前とは違い、暖かなものに変わっていた。
「ねえねえ、リーシアお姉ちゃん。一緒に遊ぼ!」
「ええ」
「わあーい!!」
「…………」
「………?、リーシアお姉ちゃん大丈夫?何処か具合悪いの……?」
「ごめんなさい、娘が無理を言って…ほら行こう」
少年の母親はリーシアの体調の変化に気付いて、子供を連れてこの場を去った。
「大丈夫か?」
「…………大丈夫だよ……」
「無理は禁物だ、人目が少ない何処かを探そう」
「うん…………ありがとう、ゴウセル…」
そうして彼女を休憩させる為になるべく一目に付かない場所を探して精神を落ち着かせる事に。
ーー数分後ーー
「リーシア、調子はどうだ?」
「少し落ち着いたみたい……ごめんなさい………私ずっと迷惑や心配かけてばかりだね……」
心配をかけてばかりな自分が情けなく感じ、涙をポツリ流した。彼はリーシアが泣いてる姿を見て慰めてあげたい、そう思い子供を抱いた彼女をそっと抱擁した。
「君は自分を責め立て過ぎだ、君には感情や心がある……それに君を苦しめるような者はもういない、自分を少し労った方が良いのではないか?」
「うん……そうだね、ありがとう……何時もこんな私に‥……寄り添ってくれて…」
暫くの休息をした後、再び歩き出した。
「皆んな賑わってて本当に良い光景ね、幸せな光景をこうやって間近で見れるなんて……何だか新鮮ね、今まで幸せとは程遠い環境にいたから…こうして心からの幸せを感じれて生きているのは初めてで、不思議な感覚……」
「ああ、そうだな」
二人がまた街中を歩いていると、あちこちに居る住民が二人に近寄ってきて交流を深める。何せゴウセルはアーサーにより、直々にキャメロット王国の『英雄騎士』として任命されたという事もあり、外を出歩けば、注目の的間違いなしになる。
「そういえば、今は特に人々に怯えなくなっているように思えるな、警戒心が薄れたのか?」
「…………良く自分でも分からないけど、恐らくそうだと思う……でもやっぱりゴウセルに他人が近寄ろうとすると……胸がざわめいてる…」
「そうか、あまり無理はするな、少しでも異常を感じたら教えてくれ」
「うん……ありがとう、ずっと気にかけてくれて」
その後も二人は子供を連れて久方振りのお散歩を満喫する。「ふふっ、こんなにも何気ない一時の瞬間を幸せだと感じれる日が来るなんてね、それに…もう生命も生涯も絶える事はない、不老不死の身体になれて……とても嬉しい、ふふっ…愛してる」
外出時間を満喫し、かつて恨みを持っていた人間という種に対しても徐々に心を開いていき、人々とも関係を築いていけるようになったリーシア。
「ふふっ、こうしてこの先も永遠に途切れない永遠なる未来を刻んでいける、私も……例え前世が呪われた存在であっても、生まれ変われる……幸せ者になれるんだね」
「ああ、例えどんなに残酷で悲哀な過去だったとしても、その未来を変えるチャンスは必ずある、君の幸せはもう、誰にも壊させない……」
「永劫なる……永遠な生涯を共に……」
そうして、二人は気分転換の散歩を終え、自宅に帰ってすぐさまリーシアは彼に甘え始めた。
「ずっと…永久に一緒だよ、ゴウセル……」
「ああ」
二人はこれからも永遠なる時の流れを共に歩んでいく。幸福な感情で浸る永遠に紡がれていく者達、溺愛と深愛の絆は二度と消える事はないだろう。
どんな存在の者であろうが、運命と奇跡‥‥そして希望を信じていれば何は変われる…。
「永遠なる幸福の果てに……」
〜〜〜〜〜〜番外編 本編終了〜〜〜〜〜〜〜
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