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9 - 【貴族パロ...?】君を逃がしていたのは。

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2023年10月13日

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年齢捏造、家系の捏造

完全に作者の趣味

1ヶ月前の作品


もうストック無くなっちゃった…やべ。

最近投稿してなくてすいませんでしたorz




──────




?? side



「…次、どこいこう…?」



俺は所謂スラム街と呼ばれる様な地区で暮らしている。

スラム街、簡単に言えば健康も道徳も安全も無い、貧民層が暮らす様な所。物心が着いた頃には親が居らず、ずっと独りで生き抜いて来た俺は既に道徳など捨てている。と言うよりは元からなかった。

盗みや暴力は当たり前の世界で幼少期から過ごしているのだから、自分だって盗みは当然やるし、必要ならば暴力だって厭わない。


まぁ、まだまだガキの俺が大人に暴力で勝てるはずもなく、人目の付かない隠れ家に盗みを働いては帰っていた。偶に来る大人は鉄パイプで返り討ちにして、子供なら少し脅すだけ。

無意味に傷を付けるのはあまり好きじゃない。


最近はスラム街から外れた廃墟を拠点にし、一般の家やら昔から大嫌いだった富裕層の屋敷へ金目の物を盗みに行っている。それを売って金にして、人があまり居ないコンビニで食料を調達して食い繋ぐ生活を送っているのだ。

そろそろ金も無くなって来た為、次のターゲットを決め盗む必要がある。


物陰から観察していれば、大きな屋敷に入る5人の子供が見えた。子供と言えど俺よりは恐らく年上だろう。高校生とかそこら辺かな…まぁ俺の年齢など知らないし教えてくれる人もいないから誕生日すら分からないのだが。


表札を見れば、義務教育も受けてない俺ですら知るような名家の上流貴族で…つまりは俺の嫌いな富裕層。

次は彼処にしよう、と粗方地形や逃げ道を確認してから拠点に帰った。




──────



翌日。屋敷を取り囲む塀を、スラム街で培ってきた技術で木を使いながら登って庭に入る。

別に刑務所だとかじゃないから見張りが居る訳でもない。が、上流貴族ならば館内に護衛くらい居るだろう。

そういえばここは子供が1人と聞いているが、ならば昨日見た5人の内4人は友人なのだろうか。

安全が確保されていて、衣食住があるだけでも羨ましいのに。



──────



不用心にも空いていた窓から侵入して、警戒しながら屋敷内を歩く。入った先は図書室らしい。

貴族なだけあって、俺からして見ればそこら中に金目になりそうな物があるのだが、彼ら金持ちからすれば安い物なのだろうか。


「ほんと、いらつく…」


今日はさっさと近くにあった、宝石やらが付いた置物を持って帰った。それにしても本当に不用心だ。



──────


その翌日。相変わらず空いている窓から入り、似たような置物を盗んで帰った。


また翌日。今日は窓が閉まっていた為、少し木を登ってダクトから入った。偶然入った部屋に置かれていた、明らかに高そうな万年筆を盗んで帰った。


また、翌日。同じくダクトから入り、ブレスレットやネックレス、ピアスやアクセサリーの置いてある棚から適当に取れるだけ盗って帰った。



──────



何日も盗んでは売ってを繰り返しているのに、未だに気付かない貴族は何をしているんだ。

バカなのか、泳がされているのか。

本当、富裕層の考えなど理解出来ない。したくもない。



──────



nk side



kn「久しぶりにNakamuの家行くわw」


そう言って笑うのは、俺と同じく貴族のきんとき。彼とは小学校からのズッ友である。

今日はきんとき含む4人を家に招いており、俺の家でお泊まり会をする予定だ。

昨日は楽しみで夜しか寝れなかっ

た。いや普通じゃんって?でも楽しみだったのは事実である。


──────



kr「ゲームしよーぜ」


br「いいね、なにやる?」


sh「トランプ持ってきたからやろ」


kn「出た、常にトランプ持ち歩いてる人w」


nk「俺の家にもトランプあるってw」



がた、



nk「ん?」


俺の自室で遊んだり雑談したりと楽しんでいると、近くの部屋から物音がした。図書室とかそこら辺か…?

気のせいかと思ったが皆聞こえたらしく、本来ならば危険なので使用人が見に行ったりが普通だが、好奇心旺盛の男子高校生である俺らはこっそり見に行ってみた。


影から覗くと、跳ねた茶髪とボロボロになった黒い7分袖くらいのシャツに黒いズボンを着た小学生くらいの子がきょろきょろと周りを見渡す後ろ姿が目に映る。

身なりからしてスラム街で暮らしている子なのだろうか。ここらからスラム街はそう遠くなく、そちら側…スラム街のある方面に行く時は護衛を付けろと言われる程には近い。

髪は肩くらいまで伸びていて、後ろ姿だけじゃ男の子か女の子かも分からない。


全員で目を合わせ、恐らく盗みに入ったであろうその子を咎める事無く自室へと戻った。



──────



その翌日。朝起きて身支度をして、全員でだらだらと話していればまた物音が聞こえて、様子を見に行けば昨日と同じ子が居るのを見かけた。


毎日のように盗みに来るのを見て、その時間帯は使用人を図書室に来ないよう誘導したりとその子がバレないように立ち回った。

保護すればいい話なのだが、話かけるにも出来なくて。俺の両親は優しいから話せばすぐ了承してくれるだろうに、持ち前のコミュ力は働いてくれなかった。




明日は声を掛けて、保護しよう…いや、家族に引き入れてやろうと決意してその日は眠りについた。





──────


?? side



最近はずっと同じ屋敷に忍び込んでは盗んでいると言うのに、気付かない貴族共はどうかしているのでは。ずっと安全な区域で過ごしていたからか警戒心が欠けているのか。羨ましいと思う反面、本当にバカなのかと疑ってしまう。義務教育も受けて、良い高校やら大学にも通っているはずなのに。




?「ね、ねぇ…君?」


「っ!」



バレたのか泳がされていたのか…。

ずっと気付かなくって、侵入するのにも手馴れてきて居たからか油断していた。

警察と言う者にでも突き出すのか、奴隷にでもされるのか。


?「なにしてたの、ずっと…、?」


なんだ、最初っから気付かれていたのか。



「べつに。そうしないといきれなかっただけだから」


窃盗なんかで躊躇っていたら死ぬ世界なのだから。事実を述べただけなのに、目の前の彼は、貴族はまるで自分の事かと言うように目には涙を溜めていた。

名も知らない奴にそこまで同情するのか。ただ俺は貴族共がそういう奴らでは無いことを知っている。時折護衛を連れてスラム街まで来て、俺らを嘲笑っているのを。気に入った奴を連れて帰って、奴隷として扱っているのを。人権の無い俺らは逆らえず、ただただ隠れるしか無かった。


そいつは俺の前まで来て、わざわざ俺に目線を合わすようしゃがみ話しかけてくる。


nk「俺、Nakamu。君の事を保護したくって、話しかけたんだけど…迷惑だったかな、?」


Nakamuと名乗るそいつを信用していい物か。

助けてあげる、と小さい子を騙して連れて帰る貴族も見たことがある。


どうせ野垂れ死ぬ命なら、少しくらい希望持ったっていいか。嘘だとしたら逃げればいい。


「…なら、たすけて、」


nk「!!もちろん!…えと、どうしたらいいんだろう…」


にぱっと笑顔になった彼は、話かけたはいいもののどうしたらいいかまでは考えていなかったらしい。


nk「名前、名前は?」


「…なまえ?」


nk「もしかして、名前…無い、?」


「…きづいたときにはおやもいなかったから」


名前があったとしても、もう忘れてる。


nk「そっ、か…なら、スマイル…とか、どう?」


sm「すまいる…?」


すまいる…スマイルとは、どんな意味だったか。

どっかの国で、笑顔…とかだったっけ。


nk「今までどんな生活して来たのか、分からないけど…これからはずっと笑って暮らして欲しいからスマイル、!」


sm「っ…」


なんだよ、それ…


こっちの苦労も知らないで笑って欲しいだなんて。


sm「…あんぜんな いえで くらしてるくせに…っ」


sm「こっちがどんなにしにそうなところですごしてたかもしらないくせに、っ!」


楽して生きる上流階級の奴らに言われても嬉しくない。ただ悔しいだけ。憎んだって虚しいだけなのは分かっている。こいつらは何も悪くないのだから。

結局はスラム街に産まれてしまった自分の過ちなのだろうか。


nk「そう、だよね…ごめんね、俺には君の事も分からないし、苦労も分からないよ…こんな奴に言われても苛つくよね…」


nk「俺は君に会えて嬉しいよ。君が生きててくれて、」


sm「っ…なん、だよ…それ、」


なんなんだこいつは。


こんな暖かい貴族、知らない。

優しい人なんて、触れて来なかった。


偶にストレス発散で殴られた時に付けられた玩具と言う名前くらいしか無くて、俺のために付けてくれたと思うと嬉しくて。誰かにこんな感情を抱いたのは初めてだった。

それも上流貴族と言う、大嫌いだった奴らに。


nk「ちょ、!?泣かないで…?そんな嫌だった、?ごめんね…?」


sm「〜…ちがう、うれしいの…」


nk「!ほんと?気に入ってくれた…?」


sm「…、」


こくっ、と頷けば「へへ、良かった〜…」と嬉しげに笑って目から溢れた雫を拭き取ってくれた。



nk「と、とりあえずお父様とお母様に言いに行こ…!ついてきて、!」


「ん、」




──────



こんこんこんっ


ドアを3回ノックし、1歩下がるNakamu。

すればすぐに帰って来た返事は恐らくNakamuの父親であろう。


nk父「誰だ?」


nk「俺!Nakamu!」


nk父「Nakamuか、入っていいぞ」




nk「あ、お母様も居たの?」


nk母「えぇ。それでどうしたの、その子…やけにボロボロじゃない」


衣服に使う金なんて無いから仕方ないだろ、と出そうになった言葉を飲み込んだ。


nk「外で拾ったの!」


?盗みの話をしないのか…。やはり違う環境で育った奴の心情はよく分からない。


nk父「ほう…そうか、名前は?」


名前…


sm「…すまいる、」


nk「…!!」



彼が俺に向かって微笑む姿が視界の端に見えた。


──────




nk父「とりあえず、風呂に入って来なさい。」


nk母「そうね、食べ物は料理人に頼んどいたけど…服と部屋はどうしましょう?」


nk母「空き部屋はあるはずだけど、家具がないし…服もスマイルくんのサイズは無いわ…」



なんだかんだあって、ここに住まわせて貰う事になった。数時間前まであった上流階級への嫌悪感は彼のお陰か消えていて、良い奴も居るんだなぁと言う思考は隅に置いておいた。


夕飯も作ってくれるらしい。風呂…の入り方とやらは後で聞くとして、当然高校生らしいNakamuの服は着れないだろうし、だからと言ってこんな汚れた服で屋敷に居る訳にもいかない。

普段から床やら地面やらで寝ていたため、何か敷くものさえあれば寝れるといった趣旨を話せば、


nk「だめ!絶対だめ…!!」


と止められてしまった。ならばどこで寝ろと…。



nk「俺のお古とか無いっけ?」


nk父「丁度この前、断捨離した時に捨ててしまったんだよな…」


nk「今から…は買いに行けないし…」


店はまだやっているはずだが、夜遅くはここらの地域じゃスラムの奴らが、貴族を狙って来る。

スラム街で過ごす俺らは夜でも目がはっきり見えるし護られる側の貴族に負けないしで危険なのだ。


nk母「う〜ん…1回Nakamuの服着てみる?」


sm「んぇ?」


nk「じゃあスマイル、俺と風呂行こ」


sm「…わかった」




──────


nk side


スラム街に近づいた事が無いため風呂があるかも知らないが、シャンプーやらリンスやらと分からないと思い一緒に入ったはいいが…。



sm「おしたらなんかでてきた…」


nk「それが石鹸ね…って床にかけないで!?」


案の定石鹸が分からないからかとりあえずで液状の石鹸を床に広げてるし



sm「ゎ!?なにこれすべる…」


nk「体幹えぐ!?」


床に広げた石鹸で転びそうになるもすぐ立て直す体幹に驚かされて



sm「これなに?くえんの?」


nk「食べちゃダメだよ!?」


固形石鹸を持って来て食おうとする。




──────



nk「疲れた…」


sm「…なんかごめん」


nk「いや大丈夫…」


何とか風呂に入れ終え、脱衣場には俺の寝間着と着なくなった淡い水色のTシャツとスボンが置かれていた。


ので、着せてみたら…


nk「ぇ…かわいい…」


sm「…は、??」


整った顔立ちに綺麗な菫色の眼、イケメンより美人が似合う見た目なのにぶかぶかの服を着てると言うギャップ萌え…?


なんかわかんないけどかわいい。



──────


スラム街出身のsmさんが、貴族のnkさんに拾われる話を書きたくて書いてたらいつの間にかnkさんのシャツを着せていました。


nkさんは子供にデレてそうって言う偏見です。

デレるより優しいが正しいかもしれない。

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