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金子
1
まっちゃフラペチーノ
18
都内在住のエンジニア会社員、D氏は新卒で生まれ育った田舎から上京してきた。流れ作業のように延々とある仕事にも慣れ、生活に余裕が出てきたころだったそう。
これと言った趣味もなく、恋人もいないD氏の帰りを待つ人はおらず、帰ると暗い部屋が顔を覗かせる。
「親は上京に反対してまして、大学時代のアルバイトが頼りの資金で最初はやりくりしてました。狭いアパートでも、都内だと家賃が高くて…。元々あまり気にならない性格のせいか、とある線路沿いの一部屋に決めました。」
都内はどこも高かったが、そこだけは他よりも安かったという。
「担当の方に聞いても、これといった事件はないようで…。」
入居後でわかったことなんですけど、と前置きしてDさんは続ける。
「踏切がうるさいってのも踏切近くの建物に入居が少ない理由なんじゃないですかね。あ、あとあれじゃないですか…。こう、自殺とか、たまにあるみたいな話。それがあるのかなって。」
その予想を裏付けるように、最初の一ヶ月で2回も踏切での自殺があったという。踏切に面している窓はカーテンを閉めていたから見ることはなかったとD氏は続ける。
ある日、いつものように出社したD氏は同僚に愚痴をこぼす。昨日も自殺があり、あまり寝付けなかったとの旨で。
「正直、なんてことないとら思っていました。どうせ自分には関係ないだろうって。でも、積もり積もると結構ストレスになるんですね。たまに聞こえるんですよ、断末魔とか。それが耳にこびりついてなかなか消えてくれない時があって。しかも、単語だったんですよ。」
『あああああてつくさい!!あ゛ぁ゛!』
「死ぬ前にそんなに叫んで、死ぬなら1人で死ねよって思ってました、その時は。」
ひと月ほど経って、丁度仕事もピークになり始めた頃、又自殺があったそうだ。しかも、前よりもはっきりと聞こえたそうだ。
『くさいくさいくさいくさいくさい』
「直感的に、前回を思い出しました。もちろん、同じ人なわけないじゃないですか…。単語が似てたせいか、声まではっきりと似ていると感じてしまったんですよね。」
その後も結構な頻度である自殺に、日に日に帰るのが嫌になってきたそうだ。
「自殺だけだったらまだ、耐えられるんですよ。でも明らかにしなかった匂いが出始めたんですよ。踏切前はあまり通らないようにしてるんですけど、たまに通るとこう、むわっと。」
明らかに頻度がおかしいと気づいたのは、最近になってからだそうだ。それでも、家に帰らなければいいだけだと思ったDさんは特になんのアクションもしなかったという。
『くさいよぉいたいよぉくさいよぉいたいょぉ』
その日は仕事で上司に叱られたこともあり、続く自殺にDさんの癇癪が耐えきれなかったそうだ。
「その時は本当にどうかしてました。
窓をあけ、踏切に向かって叫んだのだ。
「うるっせぇんだよ!静かにできねぇのか!?死ぬなら黙って山ででも死ねよ!!」
何ヶ月ものストレスを叫んだことで満足してしまい、その日は窓を開けたまま寝てしまったという。
「どうしたらいいんですかね…。夜、踏切はならないはずじゃないですか。なるんですよ、しかも深夜に。その時は決まってあの独特な、鉄臭い香りがするんです。魚の匂いみたいな、生臭い、あの匂い…。断末魔が、変わってきてるんですよ、毎回、少しずつ。」
『⚫️⚫️⚫️⚫️、いたいよぉ(実名のために避ける)』
その後、D氏との連絡は取れていない。
コメント
1件
うわ、これ面白いし怖い…!「断末魔が少しずつ変わってきてる」って伏線がすごく効いてて、最初は「くさい」だけだったのが、だんだんDさんの名前を呼ぶようになることで、単なる♡♡♡とは違う"何か"が近づいてる感じが伝わってきました。踏切の音が深夜になるっていうのも、日常のルールが壊れていく不気味さがよく出てる。続きがすごく気になる…!