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K side
ルイさんと初めて会話した翌日も、俺は落ち込んでいた。今日は平日、きっと買いに来るよね。合わせる顔がない。
バックヤードに逃げ込んだあと鏡を見たら顔が真っ赤だった。バレてしまっただろうか。
ピロピロン♪ピロピロン♪
ビクッ!!!
大柄な男性が入ってくる。
良かった…ルイさんじゃなかったと、 胸をなで下ろす。
R「あ、おはようございます…」
K「!!!」
ビクッ
その男性の後ろからひょこっと現れたのに驚き、身体が反応してしまった。
ルイさんがレジカウンターに近づいてくる。
R「あー…びっくりさせちゃってごめんなさい。あと、昨日も…急に名前呼んだり、ごめんなさい…」
K「え…???」
失礼な態度を取ったのは自分だったのに、何故か謝られる。怒られた子どものようにシュン…としている。
K「謝るのはこちらで…失礼しました。あの、俺人見知りで…」
R「やっぱり?!…あ、じゃなくてじゃなくて、それがほんとなら、良かったです」
急にルイさんの表情が明るくなる。
やっぱりとは?分からないけど、重い空気が軽くなった気がしてホッとする。そしてアワアワしてる姿に笑ってしまった。
ルイさんは何に笑ってるのか分からないのか、困ったように微笑んでいる。
K「あ、カルボナーラ取ってきます?無くなる前に」
R「知ってくれてたんですね。ちょっといってきます」
あの格好良い背中を見ながら、不思議と話せている自分に驚く。ルイさんのゆるっとした雰囲気のおかげだからだろうか。
R「まだありました〜♪、じゃあお願いします」
K「はい、ありがとうございます」
R「ところで、下の名前で呼ぶのはOKですか?」
『カノンさん』
ドキンッ…
頭の中で昨日のルイさんの声が聞こえて胸が少し苦しくなる。
K「もちろんですよ。じゃなきゃ名乗ってないですから」
大丈夫大丈夫、冷静に話せてる。
R「じゃーカノンさんで♪俺のこともルイで大丈夫なので」
呼べない、無理無理無理…!
K「はい」
R「じゃあ、また…来週ですね。今日シフト何時までなんですか?」
え?!この質問ってまた会いに来てくれるとかそうゆうの?淡い期待を持ってしまう。
K「今日はこのあと中抜けして、深夜なんですよ」
R「うわ、大変…。俺も夜会社の飲み会なんで出勤してるのと一緒ですね」
なんだ、違った。一瞬でも俺に気があるのかと思った自分が馬鹿みたいだ。
K「あ、そうだ、これ持っていって下さい」
小さなドリンクを手渡す。
R「うわ、身体に良さそう笑」
K「お酒飲む前に。酔いにくくなるんです」
R「ありがとうございます…!」
代金を払う払わないのお約束のやり取りをした後、 お互い頑張りましょうと言ってルイさんの背中を見送った。
ほんの数分の出来事だったけど表情がコロコロ変わるルイさんが目に焼き付いていて、幸せな気持ちになる。ボーッと惚けていたら、
「湯本さーん、あの格好良い人ずっと話してないで下さい。こっちに列できてましたからね!」
同じシフトの主婦さんに怒られてしまった。