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2章:生と死。
8話:文明島の宝
朝日秀蘭
→痛覚 創造を具現化する能力
導奇秋
→視覚 生死を導く能力
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ー文明の島 フーアイタン
「文明の島…って言うくらいだけど本当に機械だらけね。」
パッと見渡すだけでも気になる道具が沢山あった。
風で動く発電機や磁力で動く列車など科学を駆使した街で、チェイルとはまた違った雰囲気が漂う国だった。
「わくわくしちゃうね!」
「まずは情報収集ね。」
私たちは色んな店を回って、サキムラ寺院について聞き回った。
「暗くなってきちゃったね」
「どこも、なにも…って感じね」
「有名なはずなんだけどなぁ…」
「そこのお二方…。サキムラ寺院を探しているのですか?」
「え…?あ!はい!」
話しかけてきたのは温かみのある、にこやかなご老人だった。また、この文明の島を表すかのような古めかしい時計を身につけ、長く使っていそうなデコレーションされた、可愛らしい杖を持っていた。
「おやおや、驚かしてしまってごめんなさい。私、サキムラ寺院の隣の孤児院の院長、森 仁男といいます。」
仁男さんはニコッと微笑む。
「初めまして!僕は導奇シュウです!彼女は朝日秀蘭!」
「よ、よろしくお願いします。」
「導奇…?あ、あぁはい、よろしくお願いします。お二人はサキムラ寺院に?」
「そうです!」
その時塔のベルが鳴り響いた。
「ベル…?」
「…。みなさん。夜は危険です。最近は人を襲う**魔物**もいるとか…。」
(もしかしたら、クルの仲間かも)
「そうだ。もしよければ、私の孤児院にいらしてくれませんか?子供達も遊び相手がいれば喜ぶと思うんです。」
モンスター、文明、孤児、サキムラ寺院…
「…。分かりました!お言葉に甘えて今晩泊めさせてもらいます!秀蘭も良いよね?」
「あ、うん。大丈夫だよ」
行き当たりばったりで決まった。
優しい人間もいるんだな。
ー孤児院 “ルードレン院”
そこまで大きな建物でもなく、少人数でこぢんまりしている。けど仁男さんらしい温かい笑い声が聴こえてきた。
「みんな、お客さんだよ」
孤児院の子どもたちは、三歳くらいから二十歳くらいまで色んな人がいた。おとなしい子に、活発な子、無口な子、明るい子…
「おねーちゃんとおにーちゃんだあれ?」
「オレさまのこぶんにしてやるぞ!」
「みてみて!わたしの絵じょうずでしょ!」
「え?あっ…えっと…」
「おー!すげーな!!それはカッコよくて、君のは可愛いね!」
さすがシュウ。一気に子どもたちの虜になってみせた。
「おや、夏希は?いつもなら絆累と遊んでいるのに。」
お手伝いさん?と絆累ちゃん?が仁男さんに応える。
「なつきお姉ちゃん、食どーの方行ったよ!」
「食器洗いを手伝ってくれてて。お呼びしましょうか?」
「いや、お手伝い中ならそっとしておこう」
私は子どもたちと接しにくくて、仁男さんについてた。
「ごめんなさいね。同年代の女の子がいるから来てもらおうとしたんですけど…」
そのとき、奥から誰かが入ってきた
「じぃちゃん、私ならここにいるよ」
「あ、夏希。お手伝いありがとう。この方はお客さんの…」
「朝日秀蘭です。あっちにあるのは導奇秋です。」
彼女と目があう。
濃く深みのある茶色い髪を、左右の高い位置で結んでいる。朱い引き込まれそうな目や、透明感のある肌。美形という言葉がぴったりなくらいキレイだった。
「…。そう。あ、じぃちゃん私ちょっと外に行ってくるね」
「あぁ。気をつけてな」
そう言って彼女は行ってしまった
(今、睨まれた…?)
「人を簡単に信じようとしなくてね…。まったく…。あ、でも悪い子ではないのですよ?今までの環境のせいですから。」
「そうなんですか…。」
彼女の環境…?