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〇民家・和室の客間
男性(73)の前に正座して並ぶ、梨紗と結城。
結城「廃業した経営者から養鶏所を買い取り、オーナー様から集めた資金で鶏を飼育します。利益は、オーナー様で分配します」
男性「ホンマに儲かるんか?」
結城「玉子の長所は、国産が流通する点です。輸入物との競争がありません」
男性「なるほどなぁ……」
男性が立ち上がり、金庫から金を出す。
唖然と札束を見る梨紗。
〇マンション・リビングルーム
女性(68)と向き合ってソファーに座る、梨紗と結城。
結城「玉子を産まなくなった鶏は、食肉店に卸します。骨はラーメン屋のダシ。羽は、共同募金の赤い羽根になります」
女性「なんか、オマケないん?」
結城「オーナー様には、口数に応じて、新鮮な玉子を毎月お送りします」
女性「それエエやん。得やね」
書類に印鑑を押す女性。
唖然と書類を見る梨紗。
〇佐藤家・庭
梨紗と結城が、庭掃除をしている。
佐藤温子(76)が、右足を引きずりながら縁側に出る。
温子「(庭を見て)綺麗になったわぁ。休憩して、お茶でもどうぞ。」
縁側に座り、お茶を飲む梨紗と結城。
温子「脳梗塞で こんなんなって、庭の掃除できへんかってん。おおきに」
結城「いえ、お役に立てて嬉しいです。(庭見て)御立派なお庭ですね」
温子「昔は、庭師と植木屋を入れてたんやけどな」
結城「庭の奥に小屋がありますね」
温子「主人の趣味が陶芸やったから」
結城「アトリエですか?」
温子「そんなエエもん違(ちゃ)うわ――。それより、あの話やけど、」
結城「はい。銀行より利回りが良いですし、特典もありますから、お得ですよ」
温子「お兄ちゃんの言うことや、間違いないやろ。契約すんで」
結城「ありがとうございます」
結城が頭を下げながら、梨紗を小突く。
梨紗「あ、ありがとうございます」
ぎこちなく、お辞儀する梨紗。
温子「養鶏場は宮崎か。エエとこやろね」
結城「オーナー様の見学会も予定しています。ぜひ御参加下さい」
温子「遠出は無理やなぁ」
結城「大丈夫です。(爽やかな笑顔で)僕が付き添いますよ」
温子「ほんま? 息子も孫もウチのこと放ったらかしやのに。嬉しいわぁ」
温子が、通帳と印鑑を結城に手渡す。
結城「ありがとうございます」