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主人公
坂本祐希(さかもとゆうき)/高1(16歳)
一人称/僕
茶目黒髪
聖陽高校生徒
今日、政府からあることが発表された。
どうやらあと3日でこの地球は滅ぶらしい。
でも僕は変わらない。
何故なら世界が終わったとしても僕はひとり孤独なだけなのだから。
「なぁ、あと3日で俺達死ぬらしいぜ。」
「え~怖ーい!ひー君ずっと一緒に居てね?」
「当たり前だろ?俺はずっとゆーちゃんといっしょに居るよ。」
クラスメイトの頭の可笑しい会話を聞きながら僕は溜息をつく。
所詮人は他人なんて気にしない。
自分勝手で自分が良ければ何でもいい。
こんな付き合いだって表面上でしかないというのに。
「馬鹿馬鹿しい。」
何故そんなことも分からないのだろか。
もう一度溜息をつき、ついさっきまで読んでいた文学小説の表紙を開きしおりの位置から読み進める。
ふと気付けば下校のチャイムがなっていた。
もうそんな時間か。
そんなことを考えながら机の横に掛けてあったスクールバックを引っ掴み、椅子から立ち上がる。
足早に歩きながらスマホの音楽再生アプリを起動する。
ワイヤレスイヤホンの電源を入れ、スマホとしっかりと接続されているか確認する。
両耳にイヤホンを捻じ込み周りの雑音をシャットアウトし、好きなアーティストの曲を再生する。
意外と大きかった音量に驚きながらも、まぁいいかと下駄箱へ向かう。
途中ぶつかった二人の生徒から言われた「わりー」と言う言葉にいえ…大丈夫です、とボソリと返し歩みを進める。
訝しげな顔をされたが関係ない。
どうせ仲のいい友人、ましてや親友なんて人間は居ないのだから。
下駄箱に着いたところで上靴を脱ぎ、スニーカーを取り出す。
そういえば今日は金曜日だったか、ふと思い出し下駄箱へ戻そうとしていた上靴を鞄の中に入れる。
スニーカーに履き替え学校の校門─では無く裏口へ向かう。
チラリと見た校門の前には所謂”ヤンチャしてる系”の男子高校生が居るのを見て『ああ、幼稚で馬鹿で阿呆らしいな』と思うがそのまま裏口へと歩みを進める。
裏口を利用する生徒は僕以外には殆ど居ない。
だから誰にもバレずに帰るにはそこが一番丁度いいのである。
まぁ例えバレたとしても誰も友達が居ないボッチなため何も支障は無いが、そこは気分‥というか精神的なものだろう。
裏口を出るとすぐ目の前には大通りがある。
《聖陽高校前大通りバス停》とかかれたバス停に向かい、やってきたバスに乗る。
整理券を取りバスの車内を見渡す。
バスの中では若いサラリーマンの男性や妊婦の女性、幼稚園の子供を連れた女性が居たが、比較的空いていたため運転席に近い‥座席が少しばかり高くなっている席に座る。
「バス、発車します。」
運転手の声でプシュー、と音を立ててドアが閉まりバスが発車する。
それに合わせて回りの景色が加速し、あっという間に流れていった。
耳につけたイヤホンから流れるピアノとアコースティックギターの演奏、それに合わせて紡がれる女性の歌声。
聞き続けるうちにバスの振動と柔らかな歌声の相乗効果のせいか目蓋が下がってくる。
まだ寝るわけには…そう思ったが、幸いにも僕が降りる駅は終点で、しかもそこまでは45分程度掛かる。
うたた寝程度だったら大丈夫だろう。
そう思い、ゆっくりと目を閉じる。
閉じた目蓋の向こうに、見覚えのない…だが何故か懐かしさを覚えるような‥優しい笑顔で微笑む少女が立っているような気がした。