テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
41
2,894
nanana
3,230
アイスの最後の一口を食べたところで
父さんがお風呂から上がってきた
そして俺の食べているアイスを見るやいな
母さんの方へスタスタ歩いて行き
「あれ、俺も食べてもいい?」
と少し下から頼んでいる
母さんは少しの間悩んだ後
「特別よ」
ほれ、といって父さんに俺と同じいちごジャムのアイスを渡す
父さんは子供みたいに目をキラキラさせて
袋を開けてその場で一口齧った
すると「…うま」と俺と全く同じ反応に
俺は母さんを見ると母さんも同じく
“親子だなぁ”と思ってるんだろうなとなんとなくでわかった
少し呆れたように笑って「座って食べな」とソファーに座ってと遠回しに言う
父さんは意味を理解して俺の隣に腰掛けてきた
こうして家族みんなでいる方が
気遣わなくて楽でいいもんだなと
忘れていた感覚が戻ってくる
「私もお風呂入ってくるから」
そう気づけばお風呂の支度を済ませていた母さんに声をかけられて
ようやく意識が戻ってくる
はーいと父さんとハモって答えるとお風呂場へ急足で向かっていった
父さんと2人きりになった
無言で俺はスマホをいじり父さんは無言でいちごアイスを食べている
静かで心地いい気まずくない空気
だけど父さんが突然話し始めた
「昔、仁人がはやとくんと描いた絵持って帰りたいって泣きついた時あっただろう?」
俺の方を見て聞いてくる父さん
その目はあまりにも優しさに溢れすぎていた
そして俺が絵を持って帰りたいと
泣きついたのは本当だったことを知って驚いてもいる
あれは薄れている記憶だったから
今はっきりとわかってなんだか清々しいけど
大人になった今言われると
なんだか恥ずかしくもなる
だけどちゃんと答えないと
「うん、覚えてるよ」
恥ずかしさに負けないくらいの自信に満ちた声で俺は返す
父さんはふっと笑いまた前を向いて話し出す
「あの絵な仁人の部屋に大切にしまってあるんだよ。…今日見てみるといい。」
それだけ言うと父さんは立ち上がり二階へ上がって行った
不器用だけどちゃんと伝えてくれた、
…俺ちゃんと形に残してたんだな、はやとくゆとの思い出。
俺は勢いよく立ち上がり自分の部屋へ駆け込む
そういえば地元に帰ってきてから俺自分の部屋行ってないわ
今更すぎるなと思いながら部屋を漁る
どれも見覚えのあるものばかりで
どれも思い出の詰まってるもの
するとおもちゃをしまってあるダンボールの下に
少し汚れた画用紙が敷かれていた
でもそこまで汚れてない
もしこれがはやとくんと描いた絵なら
ちゃんとまだ見れるかもしれない
俺はダンボールをどかして裏返しになっている絵を表にする
するとそこには
あの桜の景色が描かれていた
少し雑に塗られた桜の色のピンク
茶色の棒線はおそらく木だろう
その周りには青色で塗られた川があって
フェンスの灰色
そして青空と紫色の雲
俺が探し求めていた形ある思い出が今
俺の元に帰ってきてくれて
嬉しくて涙が出そうになる、
彼はこれを描いてる時に確か何か話してくれた
なんだっただろう?
深く考える必要もないとも思うが
どうしてもこれだけは見過ごせなかった
なぜかはわからないけど
忘れちゃいけない
なんとなくそんな気がした。
なんだった…?何を話してくれた?
…そうだ
あの時彼が笑いながら俺に話してくれたのは
「はやとくんおえかきじょうず!」
「そうかな?じんともじょうずだよ!」
「ふふ、ありがとう」
「…ねぇ、じんと」
「ん?なあに?」
「ずぅとともだちだよね、おれら?」
「うん!あたりまえじゃん!ずっとともだち!!」
「…おれじつはね、もうすぐ」
「うん」
「おそらにいくの」
最初から何もなかったんだな。
…あぁ、ここまできたのに
会えると
思ってたのに。
予定がもう本当にギュウギュウで
投稿更新遅めになるかもしれません。
リクエストの入れ替わりパロは
なるべく早く投稿する予定です。
隙間時間に頑張って書きます
それではまた。
コメント
2件
うわぁ…第8話、読み終わってもう胸がいっぱい😭💕 仁人くんがはやとくんと描いたあの絵を見つけて、小さかった頃の記憶が蘇ってくるシーン、特に「ずぅとともだちだよね?」「おそらにいくの」っていうやり取り…じんわり来すぎて泣きそうになったよ…。“形ある思い出”が戻ってきて、でも同時にその先にある現実も突きつけられる切なさが、もうエモすぎるよ…!😢✨ 家族の何気ないアイスのシーンもすごく温かくて、仁人くんが“忘れてた感覚”を取り戻してるのが伝わってきたよ。続きが気になりすぎる…!また更新楽しみにしてるね🌸