テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「で、話ってなに?」
優菜が切り出す。
何を言われるのだろう、マイナスなことばかり想像をしまう。
しかし、彼女から出てきた言葉に驚かされた。
「愛ちゃん、この間はごめんね」
そう言って彼女は頭を下げた。
「えっ?」
思わず、優菜と顔を見合わせてしまった。
「私、この間、蓮さんを見たときに一目惚れしちゃって。だからって、愛ちゃんに酷いことしちゃった。ごめんなさい」
彼女の言葉はまだ続いた。
「羨ましかったの。愛ちゃんが。あんなカッコいい彼氏もいて、仲の良い友達もいて。私は、上辺だけの友だちしかいないし。だから、いじわるしたくなっちゃったっていうか……。でも、私が悪かったって反省したの」
彼女からそんな言葉が出てくるなんて思っていなかったため、なんて返答をしていいのかわからない。
「もちろん、蓮さんのことはもう諦めたから。本当にごめんなさい。お詫びにさ、今日、ご飯に行かない?奢るから。ゼミも一緒だし、講義も一緒のことが多いから、愛ちゃんたちとは仲直りしたいの。ううん、仲良くなりたいの」
ごめんなさいと素直に謝られて、私は困惑した。
「うん。わかった。謝ってくれてありがとう。私も真帆ちゃんと仲が悪くなりたいわけじゃないよ」
私の言葉に、優菜が肘でつついた。
きっと、まだ信用をするなと言いたいのだろう。
彼女は両手を合わせて頭を下げてくれたから、それを信じたかった。
「良かった!じゃあ、今日、ご飯食べに行こうよ!優菜ちゃんも一緒に」
「ごめん。今日、私、アルバイトだから」
優菜もファミレスでアルバイトをしている。
「そっか。残念。じゃあ、愛ちゃんだけでも一緒に行こう?十九時に駅前のお店で待っているね。お店はまたあとでLINNするから。ありがとう!」
彼女はそれだけ伝えると、教室から出て行った。
「愛、ほんとに行くの?」
まだ疑っている優菜。
「うん。行くよ。私、アルバイトお休みだし。謝ってくれたし、仲良くなれればいいね」
私は大学で優菜と出会えて、大好きな彼氏もいて恵まれている。彼女は、上辺だけの友だちしかいないと言っていた。それは本音だと思う。
「えー。お人好しすぎじゃない?あんなことされといてさー」
「真帆ちゃんも反省しているし、許してあげようよ」
優菜は最後まで納得いかないみたいだったが
「それが愛のいいところだもんね」
しぶしぶそう言ってくれた。
愛たちと別れ、廊下に出た彼女《真帆》は、誰もいない廊下で一人ほほ笑みを浮かべている。
「バーカ。そんなわけないじゃん」
彼女の声だけが廊下に響いていた。
コメント
1件
やっぱりまだ、何か企んでますね、、!