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あの後眼帯をしたイケメン、燭台切光忠さんは母屋に帰った。
今は自分1人、とりあえずこのボロボロな屋敷を掃除しなければならない。
気絶させられて日を越して連れて来られたのか幸いまだ日を見る限り午前中だろう
「さーてさて、まずは玄関に入らなければ」
ボロボロであまり清潔ではないと分かるが入らなければ話は進まない。
あまり触れないようにゆっくり開けていく
案の定埃が飛び出てくる
「ゴッホボホゴホオゥエやばすぎなにこれなにこれオェ」
盛大に埃を吸い込みむせ過ぎて涙が止まらない。ついでに胃の中身までこんにちはしちゃう所だった
埃から身を守る為羽織っていた上着を口元に当てて進んでいく
一応1周くらいしてみたけど、中はそこまで埃まみれではなくて意外と綺麗だった。
掃除道具も1式あるし布団もある。食べ物は…まぁ明日どうにかすればいいだろう
「掃除道具見つけた事だし、日が落ちるまで掃除じゃーー!!!」
「もう無理…死ぬ…1年分は動いた…」
普段運動しないせいかこの身が悲鳴をあげている
日も暮れて暗くなってきた頃私は屍のように畳の上でぶっ倒れていた。
流石に布団で寝た方がいいだろうと必死に悲鳴をあげる体を引きずりつつ適当だがなんとか布団をしいてそのまま意識を飛ばした
朝が来た。体が痛い。全身を殴られたかのような筋肉痛で思わず顔を歪める。
そんな時
コンコンコン
玄関の方からノック音が聞こえてきた
あぁそうだ、忘れていた。燭台切光忠さんが来るんだった
全身とにかく痛いが出ない訳にも行かないのでベシベシと己の筋肉をぶっ叩いて立ち上がる
「はーい…」
「やぁ、おはよう。昨日はよく眠れたかな?」
「はは…それはもう…」
彼は私のやつれた様子を見て察してくれたのか
「掃除、してくれたんだね。ありがとう、とっても綺麗になってる」
そう微笑む彼は今日も顔が良い。素晴らしい。
「そうだ、昨日はあのまま帰ってごめんね。お腹すいてない?」
「あー確かにお腹すきましたね」
そう言われれば空腹状態だった事を思い出す
「そうだと思っておにぎり作ってきたんだ、あと少しだけどおかずもね」
何処から出したのか分からないが彼の両手には凄くいい香りのするおにぎりとタッパーに詰められたおかずがあった
「美味しそう…料理できるんですね…」
「前の主が料理できる人でね」
とにかくお腹がすいていた私はとりあえず縁側に座りおにぎりを食べてみる事にした。
炊きたてなのかホクホクと湯気がでている…
いざ実食…
これは美味い。美味すぎる。口に入れた瞬間ふんわりと優しい塩の風味が鼻腔を通り抜けて暖かい米で口の中に幸せが溢れていく。本当にほっぺが落ちてしまいそう。おにぎりの中には定番の梅が入っていてこれがまた美味い。程よい酸味…
「ふふっ」
なんだと隣を見ると困り眉にしながら頬をほんのり染めて微笑む燭台切光忠さんがいた
「どうしたんです?」
「いや、ごめんね。君があんまりにも美味しそうにおにぎりを頬張っているから嬉しくて」
「こんな美味しいご飯食べてこうならない方がおかしいですよ」
「そっか」
ほんのり耳まで赤くなっているのがとても可愛い。推せる
「そういや燭台切光忠さん、聞きたい事が」
「なんだい?」
「霊力をこの本丸に与えるってどうすれば良いんですか」
そう、昨日霊力を与えてこの本丸を助けて欲しいと言われたがいまいちまだよく分かってない
「あーそれね、霊力を与えるって言っても複雑な事はしなくて良いんだ」
彼が言うには私がここに居るだけで霊力自体はまわっていくのだが、慣れないうちは体力を削られるのでそれに耐えられるようにそれなりに動いたりして体力を強くしなければならないとの事
「なるほど…」
運動はほとんどしない私にとっては少々面倒ではあったけど、変に動けなくなっては困るなと思って渋々頷いた
その後燭台切光忠さんと色々と話をしてみた。
私の事を警戒して気を立てている仲間が居るから母屋には近寄らない方がいい事、この本丸の状態などなど聞いてるだけで結構ゾワゾワした。
一通り話した時にふと誰かが燭台切光忠さんを呼ぶ声がした
「あぁもう行かなきゃ、かなり話し込んでしまったね」
「色々聞かせてくれてありがとう、燭台切光忠さん」
「こちらこそありがとう」
そう言って彼は駆け足で母屋に戻って行った
(おにぎりとおかず美味しかったな)
まだ少し余韻に浸っていたい…
そんな事を思いつつ縁側で水を飲む。
時間は正午を少し過ぎたくらいだった
それから少し歩いてみようと外に出てみたのは良かったんだけど他の人に会うのも怖いし無闇には歩けないからなるべく端へ寄りつつ歩いていく
「おまん、そこで何しゆうがよ」
なんでこうも早く見つかるかなーーーー