「おまん、そこで何しゆうがよ」
何故こんなにも早く見つかるのか、悪運が強過ぎやしないか
「あはは…どうも…」
一応逃げれるように足を離れの方向に向けて構える
「そがに怯えんでもえいぜよ」
どうやら敵意はそこまで無いのかケラケラと笑いながら近付いてきている。
髪の毛が跳ねててまるでワンコ、くしょかわ
「で、おまんはそこで何しよったがよ」
ここは素直に話そう…
「少しこの本丸の探索をと思いまして」
「そうか、それもえいけど今はやめちょった方が吉ぜよ」
「?何故です」
「今日は母屋の奴らがまっこと機嫌が悪いみたいでな」
「変に歩いてると斬られるかもしれん」
「はぁ…なるほど…」
これは引き返した方が吉だな…
とりあえずそのワンコみたいなお兄さんに言われた通り離れに戻っているのだが、
「…あの、なぜついてきてるんです」
何故かずっとついてきている。怖い。殺気はないみたいだけど…
「おまんに興味が湧いてきたがよ!ちっくとならついてってもえいじゃろ」
な?と少し目をキラキラとさせながら見てくる
そんなこんな離れについてそのままあがってきた
茶はないので水を出しておく
「ここに居て大丈夫なんですか?」
無言も気まずいのでとりあえず聞いてみた
「バレたらまずいかもしれんにゃあ」
「じゃあ早く帰った方がいいのでは…」
とりあえず今日はおかえり願いたいのだがどうしようかと悩んでいるとふとリュックの存在を思い出した。少しの情けなのかリュックもこちらにあった。
お兄さんに少しお待ちくださいと声を掛けるとそそくさとリュックの中を漁る
「あった」
とり出したのは1つの飴
「なんじゃそれ」
「これはですね」
そう、べっこう飴である。
「とりあえず食べてみて下さい」
包みを外して恐る恐る口に入れてみたお兄さんの顔はムッとした顔から一転キラキラと輝く国宝級スマイルに塗り替えられた。
「甘い!!」
大量にリュックの袋に詰めておいて良かった
随分とべっこう飴が気に入ったのかふんふんと体を揺らしながら飴を味わっている
「これ気に入ったならいくつか差し上げますので持ち帰って食べて下さい」
さりげなくお帰りくださいと促していく
すると満足したのか分かったと言いながらあげたべっこう飴を懐に突っ込んで
「また来るぜよー!」
頼むから騒ぎだけは起こさないでほしい
てか名前聞くの忘れたなしくった
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