騒がしい教室の中で私には何の音も耳に通らなかった。
目がごろごろして落ち着かないので机に突っ伏していると肩をつんつんと触られた感触があった。
顔を上げるときみちかくんがいた。
「茅野さん。
これ、昨日落としたでしょ」
と、優しい表情で掌のぬいぐるみを差し出してきた。ほろほろだった胸の奥が一気に暖かくなってきみちかくんの穏やかな顔を見つめているとあの、、?と言われ、はっとして
「ありがとう、、探してたんだ」
と言ってぬいぐるみを受け取るときみちか君は笑顔でよかった。
言って私の席を離れた。後ろから視線を感じて振り返るとあやねさんがすごい顔でこちらを見ている。
思わず息が漏れた。ぬいぐるみを右手で大切に持ってそそくさとトイレへ逃げた。
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