テラーノベル
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いつの間にか陽翔の指が秘花に突き立てられ、蜜壺を円を書くように撫でられ、花芽も同時に陽翔の舌が這い回るようになる。百子は幾度となく体を跳ねさせ、目の前に白い光を散らし、喉を反らせて、陽翔の両腕にしがみつき、甘い疼きをひたすら逃がす。その様子を、陽翔は口元をだらしなく歪めて、自身の歓喜を百子への口づけと愛撫に篭める。艷やかな彼女の嬌声が聞けないのは残念だが、その分体は正直に、善がっている証を、いとも簡単に示してみせるため、彼女への愛しさは募るばかりだ。
(ちょっといけないことしてる気分だがな)
「ほら、イってしまえ」
陽翔の指に襞がまとわりつき、百子が一際体を跳ねさせ、荒い息を何度も吐く。百子の蕩け切った表情は、完全に陽翔を求めているそれであり、彼は百子の耳元に唇を寄せた。
「なあ、百子……そろそろ新しい家族を迎えないか?」
てっきり耳を撫でられると思った百子だが、艶っぽい陽翔の声がするりと鼓膜を、脳を撫でて目を見開く。いつものビニールを破る音が聞こえなかったのはそういうことかと、妙に納得がいった。
(先に言おうと思ってたのに……!)
本当は百子から切り出すつもりであったが、先を越されたために歯噛みしそうになる。だが百子はふわりと微笑みながら、彼に向かって両手を伸ばした。
「……うん、いいよ、来て……。私も、赤ちゃん、欲しい……」
強請る百子に応えるかのように、すぐさま彼の熱杭がぴたりと秘花に沿わされ、何度か往復する。だが陽翔も気が急いていたようで、彼女の小さな口を唇で塞ぎ、蜜に潤むそこに、猛りに猛った熱杭で、一気に貫いた。
「んっ……! ふっ! んんんんっ!」
陽翔を迎え入れた歓喜で、百子は陽翔の背中に回した両腕に力を込める。それと同時に陽翔が低く呻いた声が、百子の口の中で溶けた。
そして何度も彼の熱杭が蜜壺をかき回し、さらに蜜と悦楽を溢れさせ、百子の意識は白い奔流に攫われていく。
「百子、ナカでイきやすくなったな。暁美のおかげか?」
陽翔の熱杭の先端が最奥に触れ、口の中で悦びを聞きながら陽翔は囁く。襞が陽翔を離すまいとうねるため、いつ果ててもおかしくないのだ。百子が暁美を産んで以来、より陽翔の形を覚えた襞は、激しく蠢いて熱杭を離さなくなってしまい、分身を宥めるのが以前よりも困難になっている。襞と熱杭が直接絡み合っているのも原因かもしれないが。
(上も下も……陽翔でいっぱい……)
声を出すのを抑えるのは、陽翔の執拗な愛撫が原因で困難を極める。とはいえ、彼に唇を塞がれ、舌を絡められている間は、陽翔が動く度に嬌声を上げることができるため、くぐもった声を陽翔に食べられていた。
「はると……! もっと、欲しい!」
唇が離れた僅かな間に、百子が陽翔は百子をうつ伏せにして枕を握らせる。百子が枕に顔を埋めたのを確認し、陽翔は彼自身を、蜜を湛えた襞の中にゆっくりと沈めた。
「……ッーー!」
どちらともなく、声にならない呻きや、互いの肉がぶつかる湿った音、結合部の水音が三重奏となって二人の耳を叩く。陽翔は百子に覆い被さり、荒い息と呻きを、散歩から帰ってきた犬のように吐き出し、百子は最奥をノックされた衝撃で体をそらした。
(声が出ちゃう……! それに、いつもより激しい!)
百子は枕カバーを強く噛んだのだが、陽翔が一際大きく呻くのを聞いてしまう。
「そんなに締めるな……! っく!」
「締めてな……あうっ!」
食いしばった歯の間から呻きが漏れ、思わず陽翔は百子の首筋にゆるく歯を立てる。彼女の体がびくんと震え、さらに襞が蠢いて熱杭に、離すまいと絡みついた。陽翔がさらに腰を推し進め、最奥を貫くので、何度めなのか不明な、白く甘い疼きが一気に弾け、百子は再び枕のカバーを強く噛む。
「百子ッ! 出るッ……! ああっ!!」
白い雷か弾け、全身が一瞬硬直したが、何度か腰を打ち付けて、欲に滾る白を残らず最奥へと送り込む。そのまま二人で横になり、陽翔は百子の背中に、振り返った彼女の唇に何度も口づけを落とし、しばし後ろから抱きしめていた。勢いと熱を失った分身がぬるりと蜜壺から這い出したため、陽翔は慌ててティッシュを掴み、彼女の股間にそれを当てる。そして百子をゆっくりと起こし、執念深く蜜壺に留まっている自身のどろりとした欲を清めた。
「陽翔、気持ちよかった……」
掠れの無い声が、うっとりと陽翔の鼓膜を撫で、唇に柔らかく湿った物が触れ、舌がするりと口腔に侵入する。優しく頬や上顎をなぞり、陽翔はそれに答えた。
「俺もだ……激しくしたつもりは無かったが、あんまり手加減できなくてごめん」
百子はころころと笑って首を横に振り、陽翔の唇を啄むようにキスをした。
「ううん。陽翔と繋がれて幸せだもん。大好きよ」
陽翔は返事の代わりに、百子の唇を舌を奪い尽くし、彼女の唾液を飲み込んだ。
「百子、俺も百子を愛してる。ずっと離さないから、覚悟しろよ?」
このままずっと抱き合っていたかったが、陽翔は百子を再び横抱きにして、忍び足で夫婦の寝室に戻り、百子を寝かせてパジャマを寄越す。いそいそと着替えた二人は、幾度となくキスを交わした。
「今度産まれるのは男の子かもしれんな」
百子の腹を愛おしげに撫でながら、陽翔はきりっとして囁く。妙に説得力を感じた百子は、目をぱちくりさせた。
「まだできてもないのに。陽翔は男の子がほしいの? 私は陽翔の子供ならどっちでも良いかな」
微笑む百子に、陽翔はニヤリと笑ってみせた。
「俺は男の子を作るつもりで百子を抱いたぞ……知ってるか? 夫婦の営みは激しい方が男の子が産まれやすいらしいぞ?」
百子はわなわなと唇を震わせる。どうやら百子が激しいと感じたのは気のせいでも何でもなく、陽翔が意図していた範疇だったらしい。
「……え? まさか、暁美ができる前は優しくしてたってこと……? それにしては激しかったと思うんだけど。そもそも赤ちゃんの性別って、そんな簡単に決まらないと思うよ?」
「試してみないと分かんないだろ。だから明日からは激しく抱くぞ。百子は優しいだけじゃ物足りなさそうだしな?」
低く艶のある声がぞわりと鼓膜を撫で、瞬時に顔を赤くした百子は、陽翔の胸板を拳でドンドンと叩く。その手を彼に掴まれ、キスを落とされた百子は、彼の流れるようなその行動に歯噛みしていたが、暁美がトイレに行きたいと起きてしまったことで霧散した。陽翔がおまるを用意し、二人を見守っていた百子だが、陽翔に愛された体は気だるさを訴え、徐々に瞼が下がってしまい、戻ってきた陽翔に頭を撫でられながら、いつしか微睡みに飲み込まれてしまった。
そして間もなく百子に愛の結晶が宿り、次の年に百子そっくりな男の子が無事に誕生した。男の子は|正日《まさあき》と名付けられ、何かと暴走しがちな暁美のブレーキ役に奔走する羽目になるのだが、それはまた、別の話。
『茨の蕾は綻び溢れる〜クールな同期はいばら姫を離さない〜』(終)
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