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第1話 すれ違い
季節は夏の終わり。蝉の声が遠くで力を失い始めている頃だった。mfは公園のベンチに腰掛け、夜空を眺めていた。
「やっぱり夜は涼しいな……」
「ん?」
mfの視界の端に、ふわふわとした白いものが映る。
「なにあれ……」
ゆらゆらと揺れる毛のようなものに、mfは吸い込まれるように近づいていった。
月明かりに照らされて、少しずつその姿が見えてくる。
白い毛並み。
大きな耳。
そして、ふわりと揺れる尻尾。
「……狐?」
思わず声を漏らした瞬間、狐の耳がぴくりと動いた。
「……っ」
その狐──DNQは、息を呑んだ。
(mfくん……?)
まさか、こんなところで見つかるなんて。
姿を見られた。
もしかしたら、正体まで気づかれてしまうかもしれない。
そう思ったDNQは、慌てて身を隠そうとする。
けれど。
「大丈夫。別に何もしないよ」
mfはしゃがみ込み、少し離れた場所からDNQを眺めていた。
その表情には、警戒も驚きもない。
ただ、珍しいものを見つけた子供のような好奇心だけが浮かんでいた。
(……あれ?)
(気づいて……ない?)
mfは狐の正体がDNQだとは、これっぽっちも思っていなかった。
「こんなところに狐がいるんだな……」
そう呟いて、スマホを取り出す。
DNQの身体がびくっと跳ねた。
(写真……!?)
しかし、mfが口にした言葉は予想外のものだった。
「これ、DNQに見せたいな……」
DNQは目を丸くする。
(……僕に?)
目の前にいる自分を自分に見せたいと言っているのに。
そのことに、mf自身はまだ気づいていない。
月明かりの下。
二人の間には、そんな小さなすれ違いだけが静かに残っていた。
コメント
1件
読み終わりました。第1話からもう、この「すれ違い」の空気感がたまらないですね。mfくんが目の前の狐の正体に気づかず「DNQに見せたいな」と呟くシーン、DNQの戸惑いと胸のときめきが同時に伝わってきて、思わず「ああっ!」ってなりました。夏の終わりの蝉の声と月明かりの描写も、二人の距離感を象徴しているようで美しい。この「気づかないこと」が生む切なさ、今後の展開がすごく気になります。
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草(腐)。
203
#ご本人様には関係❌
愛楽
13
#ミル㌘
猫神シオン@😼💚🍫
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