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先生のカーテンは、毎日19時ちょうど閉まる風呂は21時すぎ
外にシャツを干すのは週に3回
日曜日はスーパーへ行く。必ず。
買うものはだいたい決まっている
俺は先生の事を知っている
誰よりも、誰よりも深く
きっかけは、たった一度の尾行
でもそこからはあっという間
先生の家のベランダはよく見える場所にある。
少し高い団地の踊り場
そこに立てば、先生の部屋がすぐそこだ
スマホのカメラを望遠モードにして シャッターを切る
先生がコーヒーを飲む
ソファに座って本を読む
ふとテレビに目をやる
たったそれだけのことなのに俺の胸は苦しくて
熱い
あぁ
欲しい
この部屋の空気も、光も、先生の体温も
ぜんぶ俺のものにしたい
学校で先生は相変わらず優しい
俺が話しかけても拒まない
かといって、決してちゃんと応えてはくれない
でも、それでいい
「先生、昨日の夜ぐらいにレモンティー飲んでたでしょ」
「えっ?…なんで知ってるの?」
先生が笑いるからそう言う
ぞくりとした
その無防備さが、たまらなく甘くて。
「見てたから」
「え?どこで?」
「先生の部屋の外から」
冗談のように笑って言う。先生は
「またまた~」
なんて笑ってた
でもその笑線が一瞬だけひきつっていたこと俺には解った
そしてその日の夜
先生がカーテンをいつもより早く閉めたことも
次の日の放課後、俺は職員室の前で先生を持ってた
「帰るの、一緒にいい?」
「……今日はちょっと‥」
断ろうとした先生の言葉を、俺が塞ぐ
「一緒に帰らないと、昨日の夜の間のいろんな写真、学校にばらまくよ」
先生の顔から血の気が引いた
でも、すぐ笑顔に戻る
教師の仮面ってすごいね
「冗談でもそんなことすっちゃダメだよ、翡翠くん」
冗談じゃないよ
先生のすべてがほしいの
「知らないことがあると、不安で死にそうになる」
「翡翠くん…」
「俺をもっと見て。俺がどれだけ味生を知ってるか、わかって」
帰り道、先生は一歩だけ俺から距離をとって歩く
その距離が可笑しくて
だってもう先生のプライバシーなんて、ほとんど残っていないんだよ