Queen「KillerQueen」
俺は彼に惹かれる。
何処か抜けているけど隙間の無いその表情、普段は低いけどたまに高くなるその声、作られたような真顔からくしゃっと変わるその笑顔。
何故か全てが俺の心を掴んで引っ張って来る。
勇斗「…うん、美味い!」
仁人「良かった。その肉、ちょっと高かったからさ。」
ハンバーグにかかったデミグラスソースを意図無く見つめる眼に惹き込まれてしまう。
歌は上手い、ダンスも上手い、オマケに料理まで出来る。
そして、周りの人間よりもプライベートが見えない。
そんな貴方は「俺の心を狩ろうとする暗殺者」と言っても過言ではないだろう。
言葉で狙って撃つスナイパーライフル、予想も出来ない行動で落とすグレネード、貴方の存在そのものがヘロインだ。
仁人「…あ、そういえばチェリーパイ買ってるけど…いる?」
勇斗「珍しいね。食べてみたいかも…。」
チェリーパイを取るその背中も色気づいている。
真っ赤なチェリーパイはナイフで切られた。
まるで…人をぶった斬っているようだ。
艷めくシュガーコーティングが涎を誘う。
仁人「はい。どうぞ。」
勇斗「…あぁ。」
きっと貴方は世界の何処かしらからも狙われている。
その狙いを斬って誰かの心をまた殺す。
過去の失恋も初恋もお構い無しに消される。
チェリーパイを口に一口放ると、果汁はジュワっと口を包んだ。
貴方のように甘いパイに脳が溶ける。
本当に貴方に殺られてしまいそうだ。
仁人「勇斗〜。一口ちょーだい。」
勇斗「え?あぁ、うん。」
時折子猫のように甘え出すのも貴方の魅力。
どの老若男女もこの人には敵わない。
唇の周りを少し赤に染めながら頬張っている。
仁人「…ん。美味しい。」
勇斗「そうだよね。」
少し口角を上げて微笑む貴方が綺麗だ。
仁人「ねぇ…また誕生日じゃん。」
勇斗「あぁ、そういえばそうだね。プレゼントは何が良い?」
仁人「うーん。」
唇をとんがらせ、頬杖を着いた。
貴方から言われれば何でも買ってしまいそうになる。
でも貴方の好きな物を言って欲しい。
仁人「…ネックレス。俺ネックレスが欲しいなぁ。」
チラリとこちらを見てくるのがわざとらしくも心を刺して来る。
そういう反応ならば俺も張り切って高いネックレスを買いたくなる。
仁人「…買ってくれるの?」
勇斗「うん。どんなネックレスでも良いよ。」
仁人「えぇ〜。ありがと〜。」
こうして貴方はまた俺を手のひらで転がして遊ぶ。
これ、書く手が止まりませんな…。
速めの更新かもしれないです。🙇♀️







