17話 青春の一部ト
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私「 はぁ ….無い 」
田沼「 上の階もなかったぞ 」
田沼「 他に心当たりはないのか?」
私「 ないと思うんだけどなぁ…. 」
かれこれ探して1時間
私たちはペンダント探しに奮闘している
私「 ….もうこんな時間。田沼くん 帰ろう?」
田沼「 いや、もう少し探そう 」
田沼「 羽澄にとって、大事なペンダントなんだろ?」
私「 こんなに探して見つからないってことは、あの男の子が持っていると思うんだ 」
私「 人を探すのはまた明日でもいいんだし 」
田沼「 ….無理、してないか?」
私「 不思議と今はそんなに焦ってないの 」
私「 だから大丈夫 」
田沼「 ….分かった、荷物を取ってこよう 」
私「 うん 」
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私「 ごめんね 」
田沼「 何が? / クスッ 」
私「 私の探し物手伝わせちゃって…. 」
田沼「 別に、俺から手伝うって言ったんだ 」
田沼「 羽澄が気にする必要はない 」
私「 ….田沼くんは優しいね 」
田沼「 ….そうやって真っ直ぐ伝えてくれる羽澄も優しいと思うな 」
私「 私が….?」
田沼「 あぁ 」
私「 …. 」
私( 田沼くんには妖がモヤで見えるって嘘をついたままだっけ…. )
田沼「 ? 」
田沼「 羽澄? ….どうした?急に立ち止まって 」
私「 ….ごめん、田沼くん 」
私「 私、君に嘘ついてることがあるんだ 」
田沼「 嘘?」
私「 …. 」
田沼「 なんだ そんな事か / ニコッ 」
私「 え?」
田沼「 真剣な顔をするから何事かと思えば…. 」
田沼「 嘘くらい誰だってつくだろ?」
私「 ….怒らないの?」
田沼「 怒らないよ 」
田沼「 その代わり、いつか聞かせてくれよな 」
私「 うん、約束する 」
田沼「 ありがとう / ニコッ 」
私( ありがとう、なんて…. )
私が言いたいくらいだよ
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次の日
担任「 それじゃ、学期末試験の範囲表配るぞ 」
担任「 余ったら前に持ってくるように ~ 」
私「 期末テスト….か 」
田沼「 羽澄、勉強大丈夫そうか?」
私「 ん ~ 、頑張れば 」
私「 田沼くんは勉強得意そうだよね 」
田沼「 まぁ、苦手ではないな 」
私「 暫くは図書室で放課後勉強かな 」
田沼「 家に帰らないのか?」
私「 ちょっと散らかってて…. / 苦笑 」
私( 妖怪に関する書物が床にまで置かれてるんだよね、今 )
田沼「 じゃあ、俺も一緒に勉強していいか?」
田沼「 俺に分かるところなら教えられると思うんだ 」
私「 じゃあ、お言葉に甘えて教えて貰おうかな 」
田沼「 あぁ、任せろ 」
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田沼「 …. 」
私「 ….?」
田沼「 羽澄、もしかして頭良いのか….?」
私「 普通だよ 」
田沼「 問題集、今のところ全問正解だぞ 」
私「 私は家でもたまに勉強したりするから、それで覚えてるのかも 」
田沼「 全部?」
私「 ….全部 」
田沼「 はぁ ….これじゃ俺が教えて貰う側かもな 」
私「 あはは、どうだろうね 」
田沼「 ちなみに、中間試験はどうだったんだ?」
私「 どうって?」
田沼「 順位だよ、結果の紙に書いてあった 」
私「 ….2 」
田沼「 ….え、マジ?」
私「 たまたまだよ / クスッ 」
田沼「 あ、ここ教えてくれ 」
私「 えっと、ここは__ 」
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私「 うん、結構進んだね 」
田沼「 羽澄の説明、分かりやすくて助かった 」
私「 理解が早いのも助かるよ 」
カサッ….カサッ….
私「 ….!」
私「 私、お手洗い行ってくるね 」
田沼「 あぁ 」
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私は廊下に早歩きで出て、後を追ってくる紙人形を見る
私( 術が仕掛けてあったら面倒だな )
私は女子トイレに駆け込み、紙人形に水をかけた
水に濡れた紙人形の文字は滲み、床に落ちる。
恐らく、人探しの術だろう__。
私は落ちた紙人形に触れる
私( この感じ、周一さんかな )
私( バレるのも時間の問題になってきた )
儀式が終わるのは夏休み期間 。
神社は残り5つ
彼らに会えるのは恐らく秋頃になる
私「 せっかちだね、周一さん 」
私( 会いたい気持ちは一緒なんだよ )
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別所
名取( 紙人形が濡れたか、失敗だな )
名取( こういう時、紙は不便極まりない )
マネージャー「 名取さん、車着きました 」
名取「 はい、今行きます 」
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私「 ただいま 」
田沼「 おかえり 」
田沼「 ….なぁ、羽澄 」
私「 ? 」
田沼「 その ….なんというか、もし、俺たちと同じ妖怪が見える人がいたら 」
田沼「 羽澄は会いたいか….?」
私「 ….どういう事?」
田沼「 本当は言うか迷ってたんだ 」
田沼「 もう少し時間が経てば羽澄とも出会うと思ってたけど 」
田沼「 でも、やっぱり今 俺だけが知っているのも羽澄に悪い気がして 」
田沼「 3人ならアイツも心強いと思うんだ 」
私「 アイツ?」
田沼「 先月転校してきた2組の夏目ってヤツ 」
田沼「 アイツは妖怪がはっきり見えるんだ 」
私「 ….!」
私( 夏目って、まさか )
私「 夏目 ….レイコ?」
田沼「 え?」
田沼「 いや、夏目は男だ。それに名前は貴志 」
私「 ….そっか 」
私「 私も会ってみたいな、その人に 」
田沼「 明日、クラスに行ってみよう 」
私「 うん 」
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夜20時
ピンポーーン
和田「 はい 」
私「 こんばんは、夜分遅くにすみません 」
和田「 い、伊吹….?」
私「 少し調べたいことがあって。昔ここで読んだことがあったと思い出して借りに来ました 」
和田「 ….そうか、上がりなさい 」
私「 お邪魔します 」
和田「 お茶を出そう 」
私「 いえ、今日は書物を見つけたら帰るつもりです 」
私「 お茶はまた試験明けにでも / ニコッ 」
和田「 試験か ….前回はどうだったんだい?」
私「 スッ / 紙を渡す 」
和田「 ! ….凄いじゃないか 」
私「 和田さんに家賃払って貰っているのに悪い結果は出せませんからね 」
和田「 ….随分としっかりしたものだ 」
和田「 嬉しいが、あまり無理はしないように 」
私「 ….はい 」
和田「 帰る時は声をかけてくれ、書物のある部屋は…. 」
私「 階段を上がって右奥の隣、ですよね?」
和田「 あぁ 」
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私「 …. / ペラペラ 」
私( 夏目、貴志…. )
私( 年数を考えて、若いうちに産んだ夏目レイコの孫かな )
私( さすが、妖怪の多い町だと見える人間も多いって訳だ )
私「 確かこの本だったはず ….あった 」
紙は少し虫食いがあり、劣化の色が見える本
その 1番最後のページ
【 名:友人帳 / 人物:夏目レイコ 】
私「 ….友人帳、妖怪たちの名が連ねてある1冊の本 」
私「 勝負に負けた妖怪に名を書かせ、命を縛る 」
私( つまり、燃やしたり破れば ….死ぬ )
私( 名を呼べば命令できるのかな )
私( 祓い人が欲しがりそうな品だ )
この本は私がこの家に来て間もない頃に読んだモノだ
昔は字が全く読めなく、諦めようとしたが 隣で美凰が一文字ずつ丁寧に教えてくれたおかげで、今はスラスラと読めるようになった 。
珍しいことにこの本には著者の記名がない
予想だが、何十年前のどこかの祓い人が呪具をまとめる為に書いたノートだろう
巡って巡って和田さんのところに来た感じかな
私「 時代ってこういう事があるから面白いんだよね ~ 」
私「 さて、帰ろっと 」
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私「 和田さん、本を見つけたので帰りますね 」
和田「 …. / スースー 」
私( 寝てる….?)
私「 …. 」
私は隣の部屋から軽い毛布を運び、肩にかけた
私「 また来ますね、おやすみなさい 」
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次の日 1年2組
田沼「 確か、窓際の席だったはず 」
私「 …. / チラッ 」
田沼「 なぁ、夏目はいるか?」
クラスメイト「 夏目くんなら今日はお休みだよ 」
田沼「 あ、そうなのか ….ありがとう 」
私「 また後日だね 」
田沼「 だな 」
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数日後
キーンコーンカーンコーン….
先生「 終了 」
先生「 筆記用具を置き、後ろから回収 」
田沼「 ん” ~ 、終わった 」
私「 1年生って教科多いから疲れたね 」
田沼「 だな 」
田沼「 でもあとは夏休みだし、気は楽だ 」
私「 ….夏休みか 」
私( 儀式が終わったら、記憶消されるのかな )
私「 嫌だなぁ / ボソッ 」
田沼「 夏休みが嫌な奴、初めて見た / 笑 」
私「 うるさいよ 」
田沼「 あははっ 」
私「 ….結局、夏目くんにも会えずじまいか 」
田沼「 休みはしょうがないさ 」
田沼「 まぁ、きっとすぐに会える 」
私「 そうだね ….それにしても暑い 」
私( 東京よりも空調が弱いな )
私はメガネを外し、長い髪を上で括る
田沼「 ….羽澄、目悪いんだっけ?」
私「 あれ言ってなかったっけ?これ伊達メガネだよ 」
田沼「 ….そうなのか?」
私「 うん、内緒だよ? / クスッ 」
田沼「 …. 」
私「 ちょっと事情あってね、学校の時だけつけてるの 」
私「 ….顔、赤いけど大丈夫?」
田沼「 え、あ ….あぁ、大丈夫だ 」
私「 そう?」
担任「 羽澄、少しいいか ~ ?」
私「 あ、はい….!」
私「 ごめん、行ってくるね 」
田沼「 あぁ 」
田沼「 …. 」
田沼( 何だ、この気持ち )
田沼「 まさか、な…. / 苦笑 」
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2人のこれからをお楽しみに__♪
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コメント
1件
伊吹ちゃんのこと好きなのかな〜?気になる!夏目もでてきた〜!