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「〇〇くん、今日はボクとペアだねっ♪」
そう。月曜のペアは雪華だ。
疲れるやつは早めに終わらせたい。
雪華「早くやろっ♪」
雪華は両手をぱたぱた振りながら、キラキラした目で俺に近づいてくる。
髪の毛に小さなリボンをたくさんつけていて、今日もやたらカラフルだ。
「え、ああ……よろしく」
俺が気のない返事をすると、彼女はうれしそうに腕を絡めてきた。
近い。距離感がおかしい。
雪華「ボクね、今日すっごく楽しみにしてたんだよ~♡ こういうのって、運命っぽいじゃん? 実はね、ボク、昔から心理テストとか大好きでさ~……」
……始まった。隙あらば自分語り。
でも、こうして真っ直ぐに話してくるところは、嫌いじゃない…が、少ししんどい。
部室の隅にあるテーブルに座ると、もなが用意した「心理実験シート」が置かれていた。
お互いの「第一印象」「今の気分」「相手に対して気になってること」を書く欄がある。
雪華「じゃあボクから書いちゃお~♡」
スラスラとペンを走らせる雪華。ちらちらこっちを見ながらニコニコしている。
「……そんなに楽しいのか?」
雪華「だってさ~、こういうの、相手のこともっと知れるでしょ? 〇〇くんってさ、クールそうに見えるけど、実は優しいでしょ? ボク、そういうの分かるんだよね~♡」
(……完全に見透かされてる気がする)
雪華は書き終わると、ペンをくるくる回して、ちょこんと俺の方に身を寄せた。
雪華「ねぇねぇ、〇〇くんのこと、もっと教えてよ~。好きな食べ物とか、趣味とか、そういうの」
「別に大したことないし……」
雪華「じゃあボクが当てちゃおうか? 〇〇くん、実は甘いもの好きでしょ? ケーキとか♡」
甘いものはお前が好きだろ
「それはお前だろ」
雪華「えへへ、バレちゃった♡」
彼女は照れ臭そうに笑って、心理実験シートの最後の欄に「もっと仲良くなりたいな」と書き込んだ。
……俺はまだ一言も書いていないのに。
⸻
こうして、月曜日のペア実験は雪華のペースであっという間に終わっていった。
妙に疲れたけど、不思議と嫌な気持ちにはならなかった…と思う。