テラーノベル
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コメント
2件
こういうドロドロした感じま~じで好きすぎてもうめちゃめちゃ刺さりました…、最高でしたッ!! ありがとうございます…!!
リクエスト有難うございます。
束縛本当に大好きです。
リクエストまだまだ受け付けてますんで
ぜひ。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
湯気と水音が浴室から漏れてくる。
その音を背に、いるまはソファに
置きっぱなしのスマホへ迷いなく手を
伸ばす。
ロック画面には、当たり前のように自分の
誕生日が数字で並んでいる。
解除は一瞬。
指先で連絡先をスクロールしていく。
見覚えのない名前がいくつも並んでいる。
男女問わず、会ったことのない人たち。
「……誰?」
小さく吐き出した声は、
冷たく沈んでいた。
いるまは即座に証拠写真を撮り、
淡々と保存。
そして、迷いも表情もなく、
連絡先をひとつずつ削除していく。
消し終えたスマホを元の位置に戻すと、
浴室から
「いるまー、シャンプー切れそう!」
という声が響く。
「んー、あとで買っとく」
表面上は変わらない声で返しながら、
心の中で静かに笑った。
――これで、また俺のものだけだ。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
浴室の扉が開き、温かい湯気と一緒になつが出てくる。
髪から滴る水をタオルで拭きながら、
ふとソファに置いたスマホを手に取る。
画面を開いた瞬間――ほんの、
ほんのわずかだが、
既読の並びが整いすぎている気がした。
通知も妙に静かだ。
そして、連絡先を開くと…
数人か消えている。
「……いるま?」
振り返れば、キッチンで冷たい水を
飲むいるまの姿。
その表情は、何もしていないふうを
装っている。
「何?」
「いや……なんか、減ってね?」
「何が?」
「連絡先の数とか」
「知らねぇーし、気のせいだろ」
声色は柔らかいのに、
その目は笑っていない。
まるで「これ以上詮索するな」と言って
いるようだった。
なつは一瞬、追及しようか迷う。
でも――胸の奥が妙に安心している。
「……そっか」
結局、それ以上は何も言わず、
タオルで髪を乱暴に拭きながらいるまの隣に腰を下ろす。
そして心の中で思う。
――やっぱり俺だけ見ててくれるの、
悪くない。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
「じっとして」
いるまはバスタオルでなつの頭を
包み込み、ドライヤーを当てる。
温風が髪を揺らし、指先が頭皮を軽く
マッサージするように動く。
なつは目を細め、されるがまま。
乾かし終えると、いるまはタオルを外し、
さらさらになった髪を軽く撫でた。
「はい、終わり」
「ん、ありがと」
その瞬間――なつの手が素早く伸び、
テーブルに置いてあったいるまのスマホを
奪い取った。
「はっ?! ちょ、お前何して…」
「なーに、やましいことでもあんの?」
「いや、特にないけど…
でもそれはさすがに…」
「別にいいじゃん」
タップ音。
ロック画面に数字を打ち込むなつ――
しかし、画面は揺れ、赤いバイブが
返ってくる。
「あれ……パスワード違う」
「当たり前だろ。前までのままじゃ、な…」
「……俺の誕生日、じゃないの?」
なつの声が低くなった。
いるまは軽く笑ってごまかそうとするが、
その目は一瞬だけ泳いだ。
なつは無言でいるまを見つめる。
「ねぇ、これからさ、予定もLINEも
全部見せてよ」
「は?」
「じゃないと…壊れそうになるからッね?」
なつはスマホをぎゅっと握りしめて
じわりと笑う。
「パスワードも俺が決める。変えたら
すぐわかるようにする」
「……は? いなんだけど」
「ッ…俺のこと好きだよね?」
「好きだけど…、お前にそこまで
縛られたくない」
「ふーん」
不気味な表情でそう言ってなつは、
自分のスマホをいるまの前に突き出した。
――「これ、持ってていいよ。
俺からも逃げられないようにしといて」
いるまは苦笑しつつも、
そのスマホを受け取った。
(俺はとっくに調べたつーの)
どちらも、
相手を手放す気なんて毛頭なかった。
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「そういえば、なつ」
いるまはゆっくりと立ち上がり、
何の前触れもなくなつのスマホを
ひったくった。
「おいっ、何すんだよ」
「お前だけ俺の見て終わり?
それって不公平じゃね?」
画面をスワイプし、
迷いなくフォルダを開く。
「……あー、これこれ」
写真フォルダに並ぶ、数人との集合写真や、料理の写真。
そしてトークアプリを開くと――。
「この人たち誰?」
いるまの声は淡々としているのに、
視線は氷みたいに冷たい。
「何、こんな時間に“ごはん行こう”とか
話してんの?」
「……ただの友達だって」
「ふーん、“ただの”ね」
いるまはゆっくりとスマホを閉じ、
なつを見上げる。
「じゃあさ、今日からこうしよ」
口元にうっすら笑みを浮かべながら
指を折る。
「1. 女でも男でも、
俺の知らない連絡先は全部削除」
「2. 連絡くるのは俺とメンバー、
家族だけで いいよな?」
「3. 飲み会もごはんも、俺同伴でしか
行かない。」
「は? お前……」
「なんだよ。お前がやったてきたこと
俺もやるだけ」
耳元まで顔を寄せ、
吐息がかかる距離で囁く。
「“俺だけのもん”って言ったの、
お前だろ?」
なつの目が細くなり、静かに笑った。
「……上等じゃん」
二人の間の空気が、
甘さと棘を同時に孕んでいく。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
いかがでしたでしょうか。
ちょびっと依存に近い感じで
書かせていただきました。
やっぱり📢🍍が世界一大好きです。