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ユナ @お嬢様化
44
るーぱ
249
まーや
354
「アハハハ! さあ、どうするのです? 突っ込むか、ここで全員肉片になるか、選びなさい!」
白い百合の根を新幹線の制御システムに深く食い込ませ、シスター・リリィが狂気的な笑声をあげる。長野駅のホームまではもう目と鼻の先、窓外の景色が猛烈な速度でブレていく。
太陽が悔しげに歯噛みしたその時、横に立つ乃木が静かに眼鏡をポケットに仕舞い込んだ。
その目の奥に、獰猛な獣の光が宿る。『F』のお出ましだ。
「おい、シスターのクソ女。お前、勘違いしてんじゃねえよ」
Fはサプレッサー付きの拳銃を弄びながら、冷酷に言い放った。
「脱線か激突か? ハッ、そんな二択、ハナからどっちも選ぶわけねえだろ。……太陽のガキ、お前に頼みがある」
「えっ……? 何ですか、Fさん」
太陽が問い返すと、Fは不敵な笑みを浮かべて後方のドアを指差した。
「この先頭の1号車(グランクラス)と、乗客のいる2号車の『連結部分』を、お前の力で今すぐ完全に叩き割れ。憂助が今、連結器の緊急手動解放レバーのロックをハッキングで外した」
太陽は目を見開いた。
「車体の切断!? でも、時速200キロ以上でそんなことをしたら、後方の車両が――」
「後方の車両には自動の非常ブレーキが残ってる。連結が物理的に外れれば、緊急停止システムが作動して乗客は助かる。……問題は、このバカげた速度のG(重力)の中で、寸分の狂いもなく鉄の連結器を粉砕できるかどうかだ」
Fの狂気的な、しかし完璧に理にかなった作戦に、太陽の胸が高鳴った。
「……やります。夜桜のスパイに、壊せない鉄はありません!」
「何をする気です! させません!」
異変を察知したリリィが、無数の百合の根を鋭い槍のように変形させ、2人に向けて一斉に放った。
「お前の相手は俺だろ、百合女!」
Fが咆哮し、弾雨を浴びせるように拳銃を連射。リリィの根の軌道を正確に弾き飛ばし、太陽のための進路をこじ開ける。
「頼みました、Fさん!」
太陽は反転し、1号車と2号車の間のデッキへと飛び込んだ。
足元からは、時速200キロを超える烈風と駆動音が激しく響いてくる。
太陽は深呼吸をし、薬指の結婚指輪にそっと触れた。
(六美、力を貸して――)
ドクン。心臓が跳ねる。太陽の全身に夜桜の『開花』のエネルギーが駆け巡り、その両腕の筋肉が鋼のように膨れ上がった。狙うは、車両を繋ぐ巨大な鋼鉄の連結シャフトの一点。
「夜桜式格闘術・破型――『剛蓮・鉄仙(てっせん)』!!」
太陽の渾身の掌打が、連結器の結合部に叩き込まれた。
ズドォォォン!!と、新幹線全体が激しく激震する。太陽の超振動を孕んだ一撃により、厚い鋼鉄のシャフトに一瞬で致命的な亀裂が走り、次の瞬間、パキィィンと音を立てて完全に破断した。
ガガガガガッ!!
連結が外れた瞬間、後方の2号車から後ろの車両には猛烈な緊急電磁ブレーキが作動し、火花を散らしながら急速に減速を始めた。車内の一般乗客たちは強い衝撃に驚きつつも、全員が無傷で守られた。
「よし……! 乗客は助かった!」
太陽は引きちぎれた連結部の隙間から、遠ざかっていく後方車両を確認し、安堵の息を漏らした。
しかし、太陽自身とFが乗る「1号車」だけは、リリィの能力によってブレーキを奪われたまま、時速200キロの弾丸と化して長野駅へと突き進んでいく。
「アハハハ! 仲間を救って自分たちが死ぬのですか! 愚かな!」
リリィが叫ぶ。
1号車のフロントガラスの向こうに、ついに長野駅のホームが牙を剥くように迫ってきた。激突まで、あと30秒。
そこへ、1号車の客室からFが悠然と歩いて戻ってきた。その目はすでに『憂助』のものに戻っており、いつの間にか眼鏡をかけ直している。乃木は太陽の肩をポンと叩き、いつもの優しい笑顔を向けた。
「見事な一撃でしたよ、太陽くん。……さあ、駅に突っ込む前に、あの綺麗な百合の花を綺麗に刈り取りましょうか」
「はい、乃木先輩!」
暴走する先頭車両、迫り来る終着駅。
乗客の安全を確保し、何の後憂もなくなった2匹の猛獣が、ついにシスター・リリィに向けて牙を剥く。
コメント
2件
第二期w
うわ、めちゃくちゃ熱い展開でしたね……! 連結器を叩き割って後続車両を切り離す発想、シンプルだけど理にかなってて痺れました。太陽くんが結婚指輪に触れて力を借りる仕草、日常と非日常のバランスが絶妙で好きです。Fさんの狂気と冷静が切り替わる切り替えも、読んでてゾクゾクしました。ラストの「牙を剥く」で終わる余韻、カッコよすぎます。続き、気になります!