テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶
🍓×🐱
成立済み
╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶
🐱side
たくやは世間一般で言う犬系彼氏だ。
tky「ゆまさん! ねえねえ!」
「今どこ? 俺も行く!」
「隣! 隣空いてるよね!」
返事する前に来る。
拒否する前に腕を絡める。
呼んでないのにいる。
ym「……ちょっと静かにして」
tky「ごめん! でも好き!」
反省の顔すらうるさい。
ym(ほんと、落ち着きない)
╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶
だけどある日を境に完全に来なくなった。
挨拶はする。
会話も普通。
でも追わない。
ym(……あれ?)
楽屋で俺が立っても たくやは動かない。
他のメンバーの輪にいて 俺の方を見ない。
ym(犬、どこ行った)
胸が嫌な音を立てる。
╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶
呼んでみた。
ym「……たくや」
前なら即反応。
でも今日は少し間が空いてから。
tky「なに?」
距離、遠い。
ym「……隣、来ないの?」
tky「今?」
一瞬、考える顔。
tky「あとで行く」
——来なかった。
ym(……は?)
╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶
夜、我慢できなくなってメッセージを送る。
ym「今なにしてる?」
既読。
返事、遅い。
tky「メンバーとご飯」
それだけ。
ym(前なら俺優先だったのに)
胸の奥がぎゅっと潰れる。
╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶
次の日直接聞いた。
ym「……最近さ」
tky「うん」
ym「俺のことどう思ってる?」
たくやは即答しない。
それが決定打だった。
ym「……前みたいに来ないし」
「俺が呼んでも来ないし」
声が少し震える。
ym「……飽きた?」
たくやは初めて俺を下から見た。
犬の目じゃない。
tky「なんで?」
ym「……え」
tky「なんでそうなる?」
静かな声。
でも圧がある。
tky「俺が 一生尻尾振ってると思ってた?」
言葉が喉に刺さる。
ym「……違」
tky「じゃあなんで安心しきってたの」
一歩詰められる。
逃げ場が消える。
╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶
tky「恋人だから?」
ym「……」
tky「呼べば来る?」
「欲しがれば触れる?」
全部図星で 何も言えない。
tky「ねえ、ゆうま」
低い声。
tky「それ」
「俺にだけ許してた顔でしょ」
腰に手が置かれる。
初めて、支配される距離。
tky「最近さ」
「俺が来ないから寂しかった?」
小さく頷く。
tky「じゃあ」
ym「……」
tky「俺がいなくなったら困る?」
声が出ない。
その沈黙にたくやが笑った。
tky「……そういう顔させたかった」
耳元。
tky「犬はもう十分」
ym「……」
tky「今はちゃんと“俺を欲しがる”顔して」
抱き寄せられる。
強くない。
でも離れられない。
ym(……なに、これ)
心臓が追いつかない。
╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶ ╶
🍓side
切り替えは、 一瞬。
来ない。
触れない。
優先しない。
それだけで ゆうまは自分から来る。
犬だと思わせておいて 主導権は最初からこっち。
tky(えげつない?)
でも知ってる。
こうしないと あの子は“欲しい”って言わない。
腕の中で黙ったままのゆうまを見下ろして 心の中でだけ決める。
tky(もう、逃がさない)
——俺は犬じゃない。
最初から、噛む側。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!