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「 拒食症 」
もとぱ(学パロ
その夜、滉斗は迷わず元貴の家に向かった。
保健室の帰り道、「 1人にしないで 」と、元貴が震える声でそう言ったのだ。
「 …..少しだけ、食べようか 」
滉斗がテーブルに置いたのは、おかゆ
白くて なんの味気もない。だけどそれが、今の元貴にとってはちょうどよかった。
「 …..見るだけで、吐き気がする 」
「 無理はしない。でも ゼロじゃなにも変わらないよ 」
滉斗の声は責めるでも 押し付けるでもない。
ただ、まっすぐだった。
元貴は躊躇いながらも スプーンを手に取る。
震える手で、ほんの1口だけ 口に運んだ。
咀嚼する度に胃が軋んだ。
喉の奥に迫ってくる吐き気を、何とか飲み込む。
「 えらい…..元貴、すげぇ…! 」
滉斗が心からの声で褒めてくれた。
その言葉だけで、胃より先に涙腺が崩壊した。
「 …..俺、もうダメかと思ってた…滉斗に嫌われるのが、1番怖かった。」
「 何言ってんだよ 」
滉斗は、そっと元貴の頬に手を添える。
「 嫌うわけない。痩せてても 苦しんでても、お前が生きてくれるなら それでいい 」
「 …….でも 」
「 “でも”はもういいよ 。 今はただ俺が元貴を支えたい。頼って欲しい …生きてよ。」
その言葉が、元貴の胸の奥に刺さった。
静けさの中、2人は布団を並べて寝転んだ。
隣で眠る滉斗の呼吸は穏やかで、少しだけ あたたかい。
「 生きてよ 」
その言葉が 脳裏に何度も響く。
元貴の胸の中に、初めて”生きたい”という感情が灯った気がした。
翌朝、元貴は小さな1口を 再び口に運んだ。
吐かなかった。それだけで滉斗は思わず 元貴を抱きしめた。
「 やっぱ、お前は強いな 」
「 …..違う、滉斗が居たからだよ 」
まだ、長い戦いが続くかもしれない。
でも
「 大丈夫。滉斗が居てくれるなら、俺…きっと大丈夫 」
その笑顔は、儚くて それでも確かに “生きよう” としているものだった。
#10.「 それでも、生きて欲しい 」 後編
これにて「 拒食症 」編 終了です。
何かリクエストあればバンバン書きます。
コメント
8件
睡眠障害できますか?無理言ってすみません、できればもとぱでお願いします🙏
わーー!なづちゃーーん! 相変わらずお上手です🥹🩷 わたしなづちゃんの体調不良とかとにかく元貴くんが不調になるお話が大好きだからなづちゃんの作品ぜん♡♡♡きです!!´ ³`)ノ ~♡
やっぱり書くの上手いですー、今回も最高ー