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死のうとした。
けど、
死ねなかった。
ここに入ったら全部終わって楽になれる、そう思い川に入った。
冷たい川の水が全身を突き刺すようだ。
冷たくて、出たくなった。
だんだん息が苦しくなってきて、視界が朧げになっていく。
意識が途切れていった。
しかし、気づくと、川岸にいた。
苦しい。まだ肺の中に水が入っている気がする。
一気に酸素が入ってきて、息が上手くできず咳き込む。
そんな俺の隣で、もう1人、咳き込んでいる人がいた。
苦しいが、頭だけは冷静に働いている。
…知らない人だ。
緑色の髪に黒のメッシュが入っている。男。
年は俺と同じか、俺より年下。
その男を見つめていると、男が起き上がった
目が合った。男は紅色の目をしている。
一般的にイケメン、と呼ばれる、整った顔立ちをしていた。
俺のことを見ると男はほっとしたような顔をした。
「…生きてる?」
俺のことを心配しているようだ。
俺も起き上がる。
「生きてます。」一応、返事をした。
すると男は
「よかったぁ。」 といい、笑った
整った顔立ちをしているが、笑うと一気に顔立ちがあどけない5歳児のようになる。
一応、お礼をしておいた方がいい、と思い、口を開いたが、口から出たのは 本心。
「…なんで、助けたんだよ。」
驚いて口を閉じたが出てしまったのは取り消せない。
せっかく助けたのに、感謝もされず文句を言われたら、怒るだろうな、と思い男を見る。
が、男は、
「…人が流れてたからかな?」
と、真面目に考え、言った。
驚いた。殴られるかな、など考えていたため、なんとも拍子抜けだ。
「人が流れてたら、助けるでしょ?」
男は、笑って言った。
それを聞き、俺は舌打ちをし、ほとんど叫ぶように言った。
「それが迷惑だって言ってんだろ!」
「!」
「自分でいいと思ってることをして!感謝されると思って!お前の価値観を押し付けんな!俺には迷惑なんだよ!」
男は無表情で聞いている。
止まらなきゃ、と思うが、溜まった怒りは止まらない。
「勝手に中途半端に人の心に土足でズカズカズカズカ入ってくんな!放っておいて!」
一気にまくしたてるように喋ったため、酸素が足りない。
男の表情は見えない、
もう、本当にどうでもいい。
苦しい、苦しい、苦しい。
過呼吸になり、意識が途切れそうになる。