ある日突然誰かからメールがきた。
なんだろうと見てみると隣のクラスの酒井からだった。
メールを受け取った瞬間、俺の心臓がドキドキと高鳴り始めた。隣のクラスの酒井と言えば、あの美しい黒髪と透明感のある瞳が特徴の女子だ。彼女はいつもクラスで目立たず、控えめな性格で知られていた。そんな彼女からのメールに、俺は驚きと喜びを感じた。
自分がなぜ彼女の気になる存在になっているのか、正直よく分からなかった。彼女とはほとんど話すこともなく、ただただ見惚れていたのだ。でも、彼女からのメールを見た瞬間、俺は彼女に対して特別な感情を抱いていることに気付かされたのだ。
彼女が好きと言われると、俺の心はどんどん高鳴っていく。胸が痛くなるほどに彼女への思いが募っていく。でも、彼女への返信をする前に、しばらく考えることにした。
彼女がどんな人なのか、もっと知りたい。彼女の笑顔を見たい、彼女の話を聞きたい。ただ、彼女に会いたいだけなのか、それとも本当に彼女を好きなのか。俺の心の中には、まだ答えが見つからないままだった。
数日間、彼女とのメールのやり取りを続ける中で、俺は彼女のことがますます好きになっていく。彼女は優しくて、思いやりのある人だった。俺が悩んでいると、いつも励ましてくれる。彼女の言葉には力があって、心が温かくなる。彼女と一緒にいると、俺はいつも幸せを感じるのだ。
ある日、俺は勇気を振り絞って彼女に会いに行くことにした。彼女がいるクラスの前に立つと、俺の心臓は再び高鳴り出した。彼女が教室から出てくると、俺は彼女に告白するつもりだった。
「酒井さん、実は……」
しかし、彼女が口を開く前に、俺の携帯電話が鳴り始めた。彼女との会話が途切れ、彼女は俺の手元の携帯電話を見つめた。
「ごめんなさい、ちょっと見てみます」と彼女は謝りながら携帯電話を手に取った。
彼女が携帯電話の画面を見ると、驚きの表情を浮かべた。
「山田くん、これは……」
彼女が俺に向けて携帯電話を差し出すと、画面には俺が酒井に送ったメールの返信が表示されていた。
【ごめんなさい、私はあなたのことを友達として大切に思っているけれど、恋愛感情はありません。でも、これからも友達として仲良くしていきたいです。】と書かれていた。
俺は言葉に詰まり、頭の中が真っ白になった。彼女の返信を見て、俺の心は一気に冷たい水に沈んでいった。
彼女の言葉は優しく、丁寧に書かれていた。でも、それが俺の心には響かなかった。彼女が友達として大切に思ってくれていることは嬉しい。でも、俺の心は彼女を友達としては見ることができなかったのだ。
俺は彼女に向けて微笑むことができず、ただ黙って去っていった。彼女の声が遠くなるにつれて、俺の心はますます凍りついていく。
彼女が好きだった。でも、彼女は俺の気持ちに応えることはなかった。そして、俺は彼女を友達として受け入れることもできなかった。
彼女の存在は、俺にとって永遠の未練となり、胸の奥で燃え続ける炎となった。
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