テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
2025.12.22
アプリアプデが来たので更新したら直りました。
ご心配おかけしました🥺☺️
「いやだぁぁぁぁああああああ!!!」
藤澤の喉から、悲鳴のような叫びが漏れた。
その両腕に抱えたのは、冷たくなっていく大森と若井の身体。
どれだけ揺さぶっても、返事はない。
血の匂いが鼻を突き、涙が滲んで視界が揺れる。
その重みが現実を突きつけ、藤澤の心を深く抉った。
「俺だけ残していくなんて……約束と違うだろ……いつも三人一緒だって……そう言ったじゃないか……!」
涙と一緒に吐き出された声は、誰にも届かないかのように虚空へ消えていく。
過去、無数の命を救ってきた薬師としての自分。
けれど今目の前で失おうとしているのは、世界よりも大切な、唯一無二の二人。
「……っ、嫌だ……二人を失ったら……俺、俺は……!」
涙で視界が滲む中、シェイドの嘲笑が闇を裂いた。
「結局お前は、一人だ。信じてきた仲間は、もういない」
耳を塞ぎたいのに、声は容赦なく突き刺さる。
藤澤は嗚咽を堪えきれず、血で濡れた床に崩れ落ちた。
「……お願い……二人を……返して………!!」
――そのときだった。
円環の鍵盤が、ひとりでに淡い光を放ち始めた。
藤澤の手を離れ、宙に浮かぶ。
「……え?」
光は大聖堂の壁一面に広がり、古の文字が浮かび上がる。
まるで祈りのように、壁中を走る無数の光の言葉。
藤澤の心に声が響いた。
――力を貸そう。
――お前が今まで救ってきた命のために。
――その涙のために。
薬師の先祖たちの、優しく重なる声。
「……どうして……」
――お前が薬師として命を救い続けたからだ。
――その心に報いるために、我らの力を託す。
光は優しく包み込み、大森と若井の身体に降り注ぐ。
やがて――。
若井の指が、かすかに動いた。
大森の唇が、わずかに震え、か細い息が漏れる。
「……元貴…っ!……若井!!」
藤澤の喉から歓喜の嗚咽がこぼれた。
震える指で二人の頬を撫で、額を押し当てる。
熱い涙が次々に流れ落ち、二人の頬を濡らす。
「……涼ちゃん……泣き顔……ひどいぞ……」
かすれた声で、若井が微笑んだ。
「……せっかくのかわいい顔が、台無し」
大森が、微笑みながら瞳を開く。
「ば……ばかやろ……!」
藤澤は嗚咽混じりに笑った。
「お前ら……今さら起きてきて……! 俺、一人でどんだけ取り乱したと思ってんだ!」
涙を拭おうとしても止まらず、笑いながら泣く藤澤。
そんな彼に、大森と若井は互いに視線を交わし、立ち上がった。
「悪い。これから取り返す」
「涼ちゃんを、もう二度と泣かせない」
三人は肩を並べ、正面に立つシェイドを見据えた。
その眼差しは、恐怖ではなく、揺るぎない決意だった。
「くだらん感傷だ」
シェイドが闇を渦巻かせ、玉座から立ち上がる。
「お前たちの絆など、闇の前には無力」
「違う。……俺たちは三人で一つだ」
大聖堂全体に黒い瘴気が渦を巻き、空気そのものが押し潰されるように重くなる。
復活したばかりの二人を守るように、藤澤が前に立ち円環を構えた。
若井は再び琵琶の武器を手に、大森は胸に手を当て息を整える。
「行こう、二人とも!」
藤澤が円環を奏でる。
白い光が鍵盤から迸り、大聖堂を満たした。
「おう!」
若井が琵琶を振り抜き、波動が衝撃となって闇を裂いた。
大森の歌声が大聖堂を震わせ、光の矢となってシェイドを貫いた。
「くっ……!……まだ終わらん!」
シェイドの咆哮が轟く。
瘴気の触手が無数に伸び、三人を絡め取ろうと迫る。
「させるかよ!!」
若井が琵琶を振りかざし、波動で触手を次々と切り裂いた。
「元貴!」
「分かってる!」
大森の声が力を帯び、触手を吹き飛ばすほどの音の奔流を生み出す。
その間を縫い、藤澤が旋律を刻んだ。
円環から舞い上がった光の花びらが三人を包み、体力を蘇らせていく。
「……すごい……涼ちゃん、あったけぇ……!」
「これで、最後まで戦える!」
息が完全に揃った三人。
藤澤の鍵盤から放たれる光の花びらが、空へ舞い上がる。
若井の波動がそれを護り、大森の歌声が力を宿す。
「――終われっ、シェイド!!!」
三人が同時に力を解き放つ。
大森の歌声が光の矢となり、藤澤の旋律がそれを束ね、若井の波動がその矢を加速させた。
シェイドはその眩さに顔を歪める。
「そんな光……この俺がっ……!!」
だが、三人の絆から生まれた光は止まらない。
光と音の奔流は巨大な刃となってシェイドを貫き、大聖堂全体を震撼させた。
「馬鹿な……俺が……この俺がぁぁぁ!!」
シェイドの身体が崩れ、闇が弾け飛ぶ。
最後の絶叫が木霊し、彼の姿は塵と化して消えた。
⸻
「……勝ったんだな」
若井が呟き、ぐったりと座り込む。
「お前らと一緒じゃなきゃ、ここまで来れなかった」
大森も肩で息をしながら笑った。
「……俺こそ……二人が居てくれたから……」
藤澤は涙を拭い、震える笑みを浮かべた。
三人は肩を寄せ合い、荒い息をついた。
互いに生きている。
その実感だけで、涙が込み上げた。
「……ほんとに……生きててくれて、ありがとう……」
「泣き虫だな、涼ちゃんは」
若井が苦笑する。
「……でも、そんな涼ちゃんが、俺は好きだよ」
大森も優しく笑った。
その言葉に、藤澤は嗚咽混じりに、泣きながら笑った。
――奇跡の再会。
そして、三人の力で勝ち取った決戦の勝利だった。
コメント
9件
初コメ失礼します。 あのーめちゃくちゃすきです。
主様の復活嬉しいです! そして、同じくらいもとぱペアの復活嬉しいです!そして、3人の力でシェイド倒せてよかったよかったです(泣)! よかった…本当によかった…(泣)
さすがすぎます!感動です😭