しろニキ
煙草とお誘い
しろせんせー視点
「なにしとるん?」
ベランダでぼーっとしている彼に話しかける。
「んー、?煙草吸っとるよ」
「みりゃわかるわ、w」
動画内での元気さは何処にもなく、普段とのギャップを感じる。こんなにも落ち着いた彼と居る時はいつも不思議な心地良さがある。煙草を吸っている彼を見ていたら俺も煙草が吸いたくなったため一本の煙草を箱から取り出す。
「……ニキ」
「ん」
火を貰うためのキス。フィルター越しのキスに甘さも何も感じやしない。だが、毎度彼の顔をまじまじと見ることもこの行為が出来るのは俺だけだと思うと己の独占欲が満たされていく感覚がする。
多少の名残惜しさを感じながら彼の顔から離れ、肺を目一杯煙で満たす。
ふと、いつから俺は彼で頭がいっぱいになってしまったのだろうか、と思った。最初はあんなに嫌いやったんにな。チラリと横目で見た彼の微かな月の光に照らされた横顔が他の何よりも綺麗で、どこかに消えてしまいそうなくらい儚くて、瞬きをも許されない気がして、見蕩れてしまった。
「…ぼびー」
少しばかり悦に浸りすぎてしまい、どうやら機嫌を損ねてしまったらしい。少しムッとした表情もまた愛らしい。
「申し訳ありません閣下。何をしたら私めを許して下さいますか。」
俺は彼の機嫌を取るべく遜った態度をとる。ほんの少し嬉しそうな顔をした彼は、考えるような素振りをして、再び煙草を吸い始める。そんな彼を見て何を言われるだろうかと考えていたその瞬間、煙が視界に広がる。
やがて煙は晴れ、目の前の消炭色の瞳とかち合う。
ニンマリと笑う彼に俺は呆気にとられていた。
「んは、wボビー顔真っ赤w」
お前のせいだ。そう言おうとする口を噤んで顔の熱を冷ますのに意識を向けた。普段誘ってこない癖に今しがたの気まぐれ猫のような彼の行動に振り回されてばかりだ。そんな所も含めて愛おしいと思えてしまうのは、俺が彼に溺れているからだろうか。
彼の珍しい愛情表現に口角が上がったことを諭されないように手で口を隠して
「……ほんまに覚悟しとけよ。」
俺の言葉にくふくふと笑う目の前の愛おしい彼。ふと何かを思いついたかのように灰皿に煙草を擦り、火を消した。ベランダから部屋に入ろうとする彼が目を細めてあどけなく笑ってこちらを向いた。
「はやくして」
悪魔の囁きのような言葉。先程煙草を吸い始めたばかりだと言うのに俺を急かす彼。もう少し味わいたいと考えていた煙草を最後にひとふかしして、灰皿に押し付けた。
愛おしい恋人を吸い終わるまで待たせるほど俺は無情ではないし、今すぐにでも彼と交合いたい気持ちを抑え、部屋へ戻る。
ベットの上でスマホを弄りながらこちらを見た彼は少しの間目を見開いた後、スマホを置いて一言。
「はやいよ、ボビー笑」
誘われ、急かされ、いそいそと来たらば焦らされ、我慢の限界だった俺は寝転がっている彼の上に跨る。彼の顔に手を添えて、何度も位置を変えて触れるだけのキスをする。触れる度に甘美な声を出す彼に性欲を掻き立たされながら。
「ぼびッ、くち……ここはまだ…?」
唇にはキスをしなかったからか、自身の唇を人差し指で触りながら、唇へのキスを強請ってくる彼。
「んぐッ」
触れるだけでは物足りなくなってきていた俺はバードキスだけでは収まらず、僅かな呼吸をする為に空いた口に舌をねじ込み、彼の舌と絡ませる。
「ふッ、ぁ、んぅッ」
深く長いキス。息が続かなくなってきた彼は俺の胸を軽く叩いてくる。そんな彼の全てを擦り取りたくなって、先程よりも激しく口内を犯し、口を離さずにいた。
彼は本気で苦しいのか、力の入らない手で俺の胸を叩く。少しばかり可哀想だと感じた俺は、口を離す。肩で呼吸をする彼。そんな彼と俺の間には一本の細長い糸が繋ぎ止めていた。プツリと銀の糸が切れ、彼と目が合う。涙を浮かべ、期待の色を孕んだ瞳に惹き込まれる。彼の動き一つ一つから目が離せなくなる。俺の首に腕を巻き付けて、彼から触れるだけのキスを貰う。俺の少し驚いた顔を見て口角が上がっている目の前の彼が愛おしい。
「…もっと愛して?ぼびー」
彼の言葉に嬉しさが込み上げてくる。ドクドクと鳴り響く自身の鼓動が彼に伝わってしまいそうで、それを誤魔化すためにバードキスをする。普段よりも甘えたな彼を存分に楽しんでやると、彼のためならば何でも出来る心に従って決意した。
思う存分愛したるよニキ
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