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逃げなきゃ
時間帯は類が学校に行って家にオレしかいなくなる時
逃げるなら今しかない
幸いなことに、鎖は劣化したのか抜けてしまった
歩いてないせいで足取りがフラフラするが、必死に家に向かう
、…ついた
安心する
これで…
「………司?」
「…ッあ、」
後ろから声がした
振り向くと寧々がいた
「ね…ッ」
声が…上手く出せない
「…あんなことしたのにまだ外に出られるなんて、どういうつもりなのよ」
「…ッえ…?」
想像もしていなかった言葉が寧々の口から発せられ、思わず固まってしまった
「…顔も見たくない」
それだけ言い残すとフイッと顔を背けて走って言ってしまった
「ぁ… 」
なんのことだかさっぱり分からない、
それよりも、家に、
ガチャ
「かぁさ、ん…」
「…」
声を出すとすぐに母さんが奥から顔を出した
「……どちら様?」
「ッッ…!!??」
たったその一言と笑顔に心臓が苦しくなった
「…オレだ、、ッ司」
「うちには咲希しかいませんけど」
「…ッ」
「なんだ、誰か来たのか」
父さん…
「なんか知らない子がうちに来たのよねぇうちには咲希しかいないのに」
「お母さんお父さん、どうしたの?」
ひょこっと顔を出した少女、、咲希だ
「こら咲希、体調が悪いんだから寝てなさい」
「…誰?」
途端にさっきまで明るく可愛らしかった目が黒く暗い目に変わった
息を飲む
「…もう家に入ってくるな」
まるでオレのことを知っているがもうオレのことに触れたくない、そんな顔と声色に肩がビクッと震える
言われるがまま家を出た
走り続けた
誰に会っても、誰に話しかけても、寧々や母さん、咲希と同じだった
雨が降ってきたがそんなことを気にしていられなかった
「…ッ、…ぅッ」
公園の隅でずぶ濡れになりながら涙をこぼしていると
「……司くん?」
「…ッる、」
類が後ろに立っていた
手に持つ大きめの傘をオレに向けて雨を防いでくれる
「…ッち、違うんだ、い、家に」
「…うん、家に帰りたかったんだね」
「…ごめ…んなさ…ッ」
声が震える
類に見つかった恐怖心とさっきの寧々たちの反応を思い出して涙が止まらない
「…寧々たちにも会ったのかい?」
「会った…ッけど、ッ」
身体が震える
「みんな…オレのことが嫌い…」
「…」
「誰にも必要とされていないんだ…、ッ」
「僕は違うよ」
「え…ッ」
類が冷えた身体に寄り添うように暖かく抱きしめてくれる
「誰からも愛されてなくても必要とされなくても、僕は司くんを心から愛してる、司くんが死んだら、僕も死ぬよ」
「る…いッ… 」
…類だけは、オレのことをちゃんとみて愛してくれる…
「大好きだよ」
嬉しい
「…帰ろう、司くん」
コクッと頷いて類と一緒にあの家に帰る
愛してくれるのは、類しかいないんだ
類、愛してる
コメント
4件
監禁………良すぎる
みんなどしたんやーー!
最高ですッ!! 続き楽しみにしてます!