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ゆゆゆゆ
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ゆゆゆゆ
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酸性雨は夜になっても止まなかった。
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洞窟の外では。
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ザーッ。
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ザーッ。
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絶え間なく雨が降り続いている。
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岩肌に落ちた雨粒が煙を上げる。
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触れれば皮膚すら焼く危険な雨。
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今夜は動けない。
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誰もがそう理解していた。
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洞窟は二つの区画に分かれていた。
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奥では。
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デイジーが眠っている。
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その隣にはシャーロット。
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娘は母の腕を離そうとしなかった。
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何年も失ったと思っていた温もり。
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もう二度と離したくなかった。
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少し離れた場所では。
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Guestが壁にもたれたまま眠っている。
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ライフルを抱えたまま。
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まるで。
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夢の中でも家族を守ろうとしているみたいだった。
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そして。
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入口付近。
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見張りを担当する二人だけが起きていた。
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エリオット。
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そしてピザガイ。
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小さなランタンの灯り。
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静かな夜。
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雨音だけが聞こえる。
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「……一晩だ」
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ピザガイが呟く。
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洞窟の外を見る。
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「この雨が上がれば」
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「うん」
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「明日の朝にはGuestの陣地へ着く」
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エリオットが微笑む。
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「長かったね」
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「ああ」
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研究施設。
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ルナティック。
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デイジーの救出。
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何度も死にかけた。
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だが。
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あと少しだ。
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本当に。
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あと少し。
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しばらく沈黙が続く。
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雨音。
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炎の揺らぎ。
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静かな夜。
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やがて。
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エリオットがぽつりと言った。
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「ねぇ」
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「なんだ」
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「ずっと聞きたかったことがある」
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ピザガイが視線を向ける。
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エリオットは少しだけ笑った。
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いつもの笑顔。
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だけど。
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どこか真面目な顔だった。
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「ずっと僕にピザガイって呼ばれてるけどさ」
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「……ああ」
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「本当は軍に戻りたい?」
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風が吹く。
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雨音が少し強くなる。
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ピザガイはすぐには答えなかった。
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昔なら。
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迷わなかった。
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軍人だった。
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戦うための人間だった。
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銃を持ち。
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命令に従い。
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敵を倒す。
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それだけだった。
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だが。
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今は違う。
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彼の視線は。
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洞窟の奥へ向く。
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眠る家族。
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再会した夫婦。
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母の腕の中で眠る少女。
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そして。
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目の前にいる金髪の男。
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エリオット。
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Builder Brother’s Pizzaで出会った相棒。
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人生を変えた男。
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「戻らない」
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静かな声だった。
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だが。
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迷いはなかった。
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「本当に?」
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「ああ」
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「後悔しない?」
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ピザガイは少し考える。
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そして。
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珍しく笑った。
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本当に。
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ほんの少しだけ。
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「お前」
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「うん?」
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「ピザを作ったことあるか」
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エリオットが吹き出す。
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「あるよ」
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「生地をこねた時」
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ピザガイは言う。
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「初めて何かを壊さずに作れた」
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エリオットが黙る。
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「軍では」
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「……」
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「人を守るために戦った」
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「うん」
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「でも」
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ピザガイは視線を落とす。
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大きな手を見る。
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かつて。
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重火器を握っていた手。
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誰かを傷付けるための手。
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そう思っていた。
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「Builder Brother’sでは」
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「うん」
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「誰かを笑顔にできた」
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エリオットの胸が熱くなる。
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ピザガイは続けた。
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「それを教えたのはお前だ」
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ランタンの灯りが揺れる。
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「だから」
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黒い瞳が真っ直ぐエリオットを見る。
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「俺は戻らない」
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軍ではなく。
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戦争ではなく。
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過去ではなく。
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「俺はBuilder Brother’s Pizzaの店員だ」
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その言葉は。
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誓いだった。
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長い旅の果てに辿り着いた答えだった。
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エリオットは笑う。
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少しだけ。
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泣きそうな顔で。
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「そっか」
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嬉しかった。
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たまらなく。
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嬉しかった。
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すると。
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ピザガイが手を伸ばす。
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エリオットの頬に触れる。
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大きな手。
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温かい手。
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エリオットは驚く。
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だが。
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逃げなかった。
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二人の距離が近付く。
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雨音が遠くなる。
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ランタンの灯りが揺れる。
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誰も見ていない。
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眠る家族。
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静かな洞窟。
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その中で。
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ピザガイはそっと額を寄せた。
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そして。
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短く。
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優しく。
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エリオットへ口づけた。
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激しいものではない。
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確かめるような。
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約束みたいな口づけだった。
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離れた後も。
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二人はしばらく何も言わない。
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ただ。
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肩を並べて座る。
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雨音を聞きながら。
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明日の朝になれば。
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旅は終わる。
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Guestは家族を取り戻す。
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デイジーも。
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シャーロットも。
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ようやく帰れる。
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そして。
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エリオットはそっと肩を預けた。
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ピザガイも離れない。
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大きな体温が隣にある。
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それだけで十分だった。
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洞窟の外では。
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まだ雨が降り続いていた。
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けれど。
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二人の長い遠回りは。
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もう終わりに近付いていた。