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連載お疲れ様です! すごく尊かったです_:(´ω`」 ∠):_ありがとうございます
朝、いつもより少し早く登校して木兎さんと木葉さんと合流した。
木葉さんは「木兎の付き添いだけじゃ心配だからな!」といって着いてきてくれた。
「俺らが欲しいのは気持ちのこもってない謝罪じゃねえ、やるからには徹底的にやるぞ!」
木兎さんにしてはまともな事言ったな…
「赤葦!声に出てるけど!?」
「じゃあ俺にいい考えがあるんだけど…」
木葉さんの提案に乗り気ではなかったが先輩にここまでやられたんだどうせなら大事にしてやろう。
朝練が始まるより前だから顧問がいるか心配していたけど職員室を覗くと見つけることが出来た。
「先生…ちょっと話があって…..あの…」
そこで俺はすぐに顔を隠し嗚咽する。
まぁ演技なのだが…
―数分前
「じゃあ俺にいい考えがあるんだけど…」
「いい考え?」
「職員室のなるべく他の先生からも見える位置で赤葦は話しながら泣き出す」
「ふむふむ」
「朝の静かな時間だし何事も無かったことには出来ないだろ?」
「なるほど〜!…でも赤葦の泣き顔は俺の特権…」
「そこはさっと抱き寄せてやれよ!」
「木葉天才!!」
何やら俺抜きで話が進んで行く…
泣く?そこまでする必要あるのか…?
いやでもただの喧嘩くらいで収められたら嫌だしなぁ
「ってことだけどいーい?赤葦?」
「いやいや、そもそも俺嘘泣きなんて出来ませんよ?」
「そこは顔隠してすぐ木兎にくっついとけば大丈夫だって!」
うーん…
「まぁ淡々と説明するよりは効果的ではありますね」
「いける?」
「仕方ない…やってやりますよ」
ということなので決して俺が泣き虫とはでは無い。断じて無い。
俺が泣き出すと木兎さんに抱き寄せられ先生から顔が見えないようくっついた。
木葉さんの計算どうり職員室にいた先生は何事かとこちらを見ていた。
とりあえず場所を変えようということで談話室のような所へと案内されふかふかのソファーに座る。
いつまで嘘泣きしておけばいいのか確認しようと木兎さんの方を見た時
「赤葦話すのも辛そうなんで俺らで話します。」
と木兎さんが言った。
とりあえずこのまま任せとけって意味だろう。
それにしても木兎さんとくっついてるとすごく落ち着く…
「あか〜し!起きろ〜!」
…ん?ここどこだっけ…
「おはよう」
目を開けて直ぐに木兎さんの眩しい笑顔はもはや凶器だ。眩しい…
「…木兎さん、おはようございます」
「おっ!赤葦起きたか?」
木葉さんもやってきた。
寝起きの頭をフル回転させて状況を整理してみた…でもこれ…
「俺泣き疲れて寝ちゃったみたいになってません?」
「まあ、そうなるわな。でも木兎がちゃんと説明したから大丈夫!」
「今日の放課後赤葦からもちょっと話聞きたいって言ってた。すぐに職員会議開くってさ!」
結果はいい感じっぽいし良しとしよう。
「お二人共ありがとうございます。」
何度か先生に呼び出され話を聞かれたが孤爪が用意してくれた証拠や周りの証言もありすぐに対応してもらうことができた。
先輩の母親にそれはもう謝られて当然俺の親にも連絡がいった。
本人から謝られることはなかったけど顔も見たくないしどうでもいいかな。
その後、先輩は悪質ないじめとして停学処分になったらしい。
停学期間が終わっても先輩が学校に来ることはなかった。
怪我をしてから1ヶ月が経った。
今日は病院に行ってから部活に行く予定でついさっき診察が終わり学校へと向かっている。
病院から出て少し歩いたところで会いたくもない人間…先輩と鉢合わせた。
「…先輩」
向こうが気づいたかは分からなかったが俺の方から声をかけた。
「ありがとうございました。」
先輩は意味がわからないというようか反応だったが俺は構わず続けた。
「先輩のおかげで俺、気づけたんです。木兎さんはスターなんかじゃない。俺ごときで光が遮られることの無い太陽だっていうことに。だから本当に」
「ありがとうございました。」
先輩は何か言ってたような気もするし何も言わなかった気もする。
でも、そんなことより早く木兎さんに会いたくて俺は学校への道を急いだ。
体育館に着くと3年から2年への引き継ぎ期間で仮主将を務める木兎さんの後ろ姿が見え一直線に走る。
「木兎さん!」
思い切り踏み切って木兎さんの背中に飛びつくと流石の木兎さんもよろめいて
「うぉっ ちょ、赤葦危ないって!」
と怒られてしまった。
「あのね、木兎さん!俺もう練習参加しても大丈夫だって言われたんです!」
「本当に!?やった!!」
予想以上に喜んでくれてとても嬉しい。
他の2年の先輩たちや同級生たちも
「もう治ったの?」「良かったな!」と言ってくれた。
本当に今までいろいろあったけど今度こそ平穏な日常を取り戻せたと思う。
変わったことといえば木兎さんとの交際が周りにバレたこと。
バレたというかバラしたというか
「お前ら付き合ってんのかよ〜」という小見さんに木兎さんが「うん!」と正直に答えた。
そうすると決めていたとはいえ周りにどう思われるか少し心配だったが
「まじ?いつから!?」と普通に受け入れてくれた。
学校全体に噂が広まるのも時間の問題で暫くは注目の的となったが黒尾さんや孤爪の言った通り周りの人はみんな否定せず変わらず接してくれていた。
勿論全員がよく思っている訳ではないだろうけどそれでも認めてくれる人がいる事が嬉しかった。
そして、
「木葉〜聞いて聞いて!」
「なんだよ木兎」
「赤葦ね!手繋いで階段降りれるようになったの!」
昼休みに部室へ行く途中の階段で試してみたら下りられたのだった。
木兎さんは部室に入るや否や1番に部室に来ていた木葉さんに報告した。
「まじか!頑張ったな〜!あとちょっとでもう1人で下りれるんじゃない?」
「でもそれじゃ手繋げなくなっちゃう…」
「別に階段以外でも繋いだらいいじゃないですか…付き合ってるんだし」
「赤葦!」
「お前ら周りにバラした途端吹っ切れたのはいいけどところ構わずイチャイチャすんな!」
「僻むなって、木葉〜 でも周りはもう知ってる訳だし次はリョーケ挨拶とかしちゃう?」
ニヤニヤと楽しそうに木兎さんが言ってきた。
「挨拶はまだハードル高いですけど、大人になってから木兎さんがプロポーズしてくれるらしいんでそれからでもいいですか?」
「あ〜もう赤葦、最高!」
…The END