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大都市、我國。10年ほど前にとある国から独立し、自国の技術だけで大成長を成し遂げた軍事国家。
我國は遺跡や古代兵器の研究・採掘、美術品の展示やオークション等、様々な研究所や展示場が集まっている。
国の中心部には我國の政治や軍事の要となる巨大城が建設されており、近くの山には我國専用の訓練所も設置され、民間人は立ち入り厳禁ではあるが、日々兵士の訓練などが行われている。
中心部の近くには先ほど書いた通りの遺跡や古代兵器の研究をしているラボや、美術品を展示する美術館、古代人が書いたとされる手記を移した本、その他貴重な本を管理している図書館及び書庫などが集まっている。
その中でも、最近発掘された古代の宝とされている「七宝の剣」は我國中央美術館に展示されており、民間人でも入場料を支払えば見れるようになっている。
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『七宝のナイフ、ねぇ』
我國内の宿場で、シャーレは部屋の暖炉の近くで我國の情報資料を眺めていた。
「七宝のナイフ」というのは、どうやら古代人が王の護衛や魔物退治に使っていたという、中々の代物らしい。
それを我國が発掘し、美術館に展示しているのだという。
…気になる。
シャーレは貧しい家の出であった為、そういう金になりそうなものに目が無い。
所持金はたんまりあるのだが、家族や村に送るとするのならばまだまだ足りないのであった。
『コレ売り捌いたらどのくらいするかな〜、ざっと億は行く?』
盗んだ七宝のナイフを売り捌いて金の入った麻袋を貰う想像をしながらシャーレはにまにまと微笑む。
『…この間盗んだものはタダのガラクタで金にもならなかったけど、
こんな大国にあるお宝、高く売れるに決まってるよね〜』
少し迷うような仕草を見せた後、うんうん、と頷く。
シャーレは資料の七宝のナイフが記載されている部分を見て何かを決心したようだった。
『よ〜し、こんな代物逃すわけにもいかないし、盗むしか無いよね〜っ!!
善は急げ、一週間以内に決行できるように準備を整えなきゃ!』
盗んで売り捌いてやろうと、シャーレは侵入する経路の情報や展示されている場所、
警備に見つかった時の対策の武器などを整える。
一晩で準備を整えた後、情報を集めにシャーレは朝から街へ出ることにした。