着物をピシッと両手で引っ張って整えていた華さんから、「では、お洋服を脱いでいただけますか?」そう促されて、女性同士とは言え少しだけためらいがちに着ていた服を脱いだ。
「あの、下着は……どうすれば?」
着物の下には、確かランジェリーの類いは付けないと聞きかじっていた。
「襦袢を着るので、付けなくてもいいのですが、もし気になるようでしたら、ショーツは履かれたままでもよろしいですよ」
「ということは、ブラの方は外した方が……」
「ええ」と、華さんが頷いて、「そうされた方が、お着物を着られた時のシルエットも綺麗に出ますから」と、当然のようにも話した。
「はい」と返事をして、少し心もとないような気持ちでブラを外すと、「服、脱ぎました」と、華さんへ声をかけた。
華さんが、柔らかなブラシをかけ丁寧に着物の手入れをした後で、
「それじゃあ着付けていきますから、もし締め付けがきついようでしたら、遠慮なくおっしゃってくださいね」
そう、言ってくれたのだけれど──
いざ着付けが始まると、けっこうな力加減でぎゅうぎゅうと締め付けられて、「き、きついです!」と、いくら声を上げても、「これぐらいは締めませんと!」と、まるで聞いてはもらえなくて、苦笑いをするしかなかった。
「うぐいすの柄が真後ろに来るよう、お太鼓結びにしますね」
帯が巻かれ、帯締めがきゅっと手前で結ばれると、
「はい、これで完成ですよ」
手の平でぽん!と背中が叩かれて、「ありがとうございます!」と、お礼を伝えた。
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