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とんでもなく強い魔獣を討伐し、行方不明になっていたギデオンも見つかったため、討伐隊として集められていた騎士達は、それぞれの領地に帰っていった。 リオも朝には熱が下がったので、ギデオン達と城に戻った。
行きよりは帰りの方がゆったりと進めた。皆が無事で、気持ちに余裕があるからだ。
途中の街で一泊して数回の休憩を挟みながらギデオンの城に着いた。リオが城の門をくぐるなりアトラスが飛びついてきた。そしてリオの腕の中にいるアンを見て「ああっ!」と叫んで涙を流した。
「よかったあ!急にいなくなったから、心配したんだよっ。無事でよかったぁ…。リオ、途中でアンと会えたんだね」
リオは馬を降り、アンを抱えてアトラスの前に立つ。そして首を傾ける。
「え?違うよ。アンは俺の後を追いかけて来たみたい。魔獣討伐の場所まで来たんだよ。俺はアトラスが連れてきたんだと思ってたから、アンが単独で来たと知って驚いたよ」
「え?あんな遠い場所まで行ったの?アンが?その短い足で?」
「アンっ!」
アンがアトラスに向かって吠えた。
今、すごく失礼なことを言ったよな?アンはまだ小さいから足も短いけど、これから大きくなったら、アトラスよりもかっこよくて長い足になるからな。
リオはアンの背中を無でて|宥《なだ》めながら、「そうなんだよ」と頷きアトラスを見つめる。
「…なに」
「アトラス、アンが勝手に飛び出しちゃったんだろうけど、アンのことを頼んだのに…」
「それはっ…ごめん。ちゃんと部屋にいたんだよ。俺が部屋を出る時は窓も扉も鍵をかけてたんだけどさ、戻って来たら窓が開いてたんだよ。どうやったかはわからないけど、鍵を開けたみたい。アンは賢いよな」
「そうなの?アン、鍵を開けれるの?すごい!賢いなぁ」
「だろ?だから仕方ないよな」
「まあ、今回は何もなかったからいいか。アトラス、アンの世話をしてくれてありがとう」
「うん、まあ少しだけだったけど」
アンを無理矢理預けたのはリオだし、勝手に部屋を飛び出したのはアンだし、アトラスは悪くない。それなのに責める口調で話したのは悪かったな…とリオはアトラスに謝った。
アトラスも「頼まれたのにしっかりと見てなかったから」と謝り、二人は交互にアンを抱きながら城の入口へと向かう。
リオは、後ろを気にして、耳を澄ませる。
ギデオンの隣に立つ男が「あいつら、まだまだ子供だな」と笑っている。
それに対して、ギデオンが冷たく言い放つ。
「おまえ、早く王都に帰れよ」
「なぜ?」
「今回のことを報告する義務があるだろうが」
「俺の部下が報告するから大丈夫だ」
「王城での仕事があるだろう」
「俺は働き詰めだったから、そろそろ休暇を申請しようかと思っている」
「その休暇を利用して旅に出ろ」
「休暇をどう使おうが、俺の自由だろ。俺はここで過ごすと決めた」
「は?迷惑だ」
「おまえに迷惑はかけないよ」
ギデオンが大きく溜息をつく気配がする。馬を部下に頼んで、ゲイルを伴ってこちらに来る。
放置されたビクターは、ロジェが渋々といった様子で、城の隣の建物へと案内していった。