『死体埋めるの手伝ってくれない、?』
休日、家でテレビを見ていると、学校の先輩、木兎さんから電話が掛かってきた。
木兎さんはその一言だけ言って、LINEで今いる場所を送ってきた。
「木兎さん、」
日も暮れて真っ暗な山の中、俺が持っている懐中電灯に照らされ、眩しそうに目を細める。
「木兎さん、来ました。」
名前を呼ぶと木兎さんはこちらを振り向いて、一気に力が抜けたようにその場に座り込む。
「あか、あ、し、、?」
はい。と言うと木兎さんは俺の顔を暫く眺めてから泣き出してしまった。
「う”ああぁぁッ、!あかあ”しぃッヒグッ」
「ぇ、あ、木兎さんっ、?!」
大声で泣き叫ぶ木兎さんに戸惑った。幸いなことにここは山奥なので、人に聞かれることや、近所迷惑等は気にしなくても大丈夫だ。なので俺はゆっくりと木兎さんを落ち着かせた。
「ごめッんヒグッぅあッおれッ、人を、!!」
木兎さんの横にはスコップとブルーシートを被った人くらいの大きさのもの。木兎さんは電話で『死体埋めるの手伝ってくれないか』と言っていたので恐らく、それが木兎さんが殺してしまった。あるいは見付けてしまった死体なのだろう。
「木兎さん、落ち着いて!」
「ごめッごめんらさいッッ!ぅあぁッ、、!」
「木兎さん、大丈夫、大丈夫です、!」
ずっと泣いている木兎さんを抱き締める。
抱き締めると木兎さんの心音が伝わってくる。木兎さんの心音は早くて、とても動揺していることが分かる。
「グスッ…ッごめん…、ッ、」
しばらくして木兎さんは泣き止んで、落ち着いてきた。
「大丈夫です。それより、この死体について、教えてくれませんか?」
「……俺、しばらく前からいじめられてて、、」
「おー、やっと来た~、山で迷子にならなくて良かったね~!」
「早く、帰りたい、、」
「あ?あんま生意気にしてっと、お前が大事にしてる…男バレのやつらにも手ぇ出すけど?」
「ッ、!それはーー」
「あ~!でも、1人殴ってたわ! 」
「……は、?」
「えーっと、狐顔の…あ!木葉くん♪」
「このは、!?」
「そーそー、1、2回?」
「次はあれだね、赤葦くん!お前が1番大事にしてるもんな♪」
「どーしよ、明日?ここに呼んでよー!」
「ッ…!」
「そのまんま…気づいたら……」
木兎さんの話は今までの木兎さんの説明の中で一番分かりやすかった。いじめられて、俺や木葉さんを話に出されて…いや、まぁ被害が及んだのは木葉さんだけだが…我慢できなくなってしまったと、木兎さんに言いたいことはいくつも出てきた。なのに、一番かけるべき言葉は出てこなくて、どうでもいい話題しか出てこなかった。
「木兎さん、これからどうするつもりなんですか?」
「ッ、、!これ、から、、」
そういうと木兎さんは俯いてしばらく黙ってしまった。
「これから、、は警察に、自首、して、、」
「ッ!それはダメです、!」
「っえ、?」
咄嗟に止めてしまった……
確かに、警察に自首するのが1番いいと言うことは分かっている。だけど、俺の日常から木兎光太郎というスターが居なくなることはとても恐ろしくて、嫌だと思った。
「あの、何で、?」
「………俺は木兎さんと一緒にいたい…」
「そう、言われても、、」
「俺の家に住みましょう、!」
「ぇえッ!?」
木兎さんも急に言われて驚いている様子だ。
「俺は一人暮らしですし、家に友達呼んだりもしません!それでも怖いというのなら学校も休んで、ずっと家にいたらいいです、!ご飯作ったりは俺が出来ます、!」
「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待って!」
流石にグイグイ行きすぎてしまっただろうか、、
「赤葦…そんなことしちゃったら、赤葦だって犯罪者になっちゃうんだよ、?」
「…木兎さんを守れるなら、何でも良いです。」
そう言うと木兎さんはまた考え始めた。俺はそんな木兎さんをよそに、死体に土を被せて、木兎さんの腕を引っ張った。
「え、赤葦、!?」
「ホラ、帰りますよ。俺ん家に、」
「、、、うん、!」
そう言ってニッコリと笑う木兎さんは少し辛そうに見えた。
「因みに、なにで殺ったんですか?」
「近くに神社あるだろ?そこの石」
「アンタ呪われますよ!?」
「呪われるかな~…」
「そりゃ、神社のですよ、、?」
「呪われたら、嫌だな…」
「…呪いなんて、非現実的ですよ。」
「赤葦、言ってること逆!!!」
コメント
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最高!!!