しばらくトレーラーに揺られていると、例の強奪犯のトレーラーが見えてきた。
『よしガングル。奴らに追いついたら僕が飛び乗って、中に入り込んで撃ちまくる!誰だか分からなくなるまでね』
『やっちゃいけないようなことのような気がするけど……』
『やっちゃいけないのは君の口ごたえだ。運転してろよ!』
なんて思考だ。考えただけで鳥肌が立つ。強奪犯も可哀想に。この人にボコボコにされたら、ろくな死に方ができなさそうだ。
思わず強奪犯に同情していると、隣でラガタが発言した。
『ねぇポムニ、ルビー、貴方達にも何かできることがあるはずよ。追いついたら私達は…』
『決まってんだろ。こうするんだ!』
いつの間にか強奪犯に近づいたらしい。ジャックスが振り向き、ポムニの首を掴んだ。首を絞めてどうするのかと凝視していると、ジャックスはポムニを真上にぶん投げた。
『ちょっと!』
ポムニの悲痛な叫びが響く。
『ジャックス!!』
私とラガタの声がぴったり重なった。慌ててトレーラーから顔を出すと、ポムニの手が伸びていた。
『いいぞ!その姿勢のままで。なにか持ってくる!』
良くないでしょ。あたふたとポムニを見つめていると、またしてもジャックスがにやにやと笑いながら発言した。
『この裏にバズーカか何かがあった気がするんだけど、中々見つからないなぁ…』
『ポムニ、これを掴め!』
キンガーが浮き輪のようなものを投げる。私は慌てて、ジャックスは愉快そうに浮き輪を避けた。………って、ポムニの両腕はトレーラーだ。どう掴めというのか。恐る恐るキンガーを見上げると、彼は何を考えているか分からない表情で空を見ていた。
残念ながら浮き輪はポムニの頭にあたり、トレーラーの外に落ちてしまった。
『あったぞ よし、ポムニ。君はそのままね。僕が渡るからね』
ジャックスが靴の入ったバズーカを持って出てくる。やばい。この人が強奪犯のトレーラーに渡ったら、カオスになる。本当に誰だかわからなくなるまで撃つに決まっている。
最悪、ポムニにまで被害が出るかも知れない。
『ちょっと待っ………』
慌てて止めようと手を伸ばすが、横でポムニが私達のトレーラーから手を離してしまい、強奪犯のトレーラーに乗ってしまった。
『やってくれたね、ポムニ。僕の橋が無くなった。次は…………………』
ジャックスが何か言いたげに私を見ている。嫌な予感。
『わ、私っ!マネキンだから!残念だけど腕、伸びないわ!』
必死に言い訳していると、強奪犯のトレーラーから紫のワニが出てきた。
『おお!みっけ!』
ポムニに手を伸ばすが、手が短くて届いていない。
その隙にジャックスがバズーカを撃ち、紫のワニはトレーラーの外に吹っ飛んでいった。
しばらくぼーっとしていると、強奪犯のトレーラーが岩場の方に走っていった。
『あぁ、いいぞ おいリボン!追えよ!』
『でも………』
『反抗して口答えするつもりか?やるんだ!』
そんなの、ただの脅しだ。オロオロしながらトレーラーから顔を出していると、ガングルは本当に岩場の方にトレーラーを動かした。
中がめちゃくちゃになる。私も必死にトレーラーの縁にしがみついた。キンガーやラガタにナイフが突き刺さっている。
『おいガングル、奴らに突っ込むんだ』
『えっ………?』
『突っ込んじゃ駄目!ポムニがまだ乗ってる!』
私もラガタの意見に便乗しようと口を開く。が、ジャックスがラガタを頭から突き飛ばしたのを見て、口を噤む。
『いいね。そりゃ大変だ
やれ、でないとラガタにあの事言うぞ』
____本当に、単なる脅しだ。
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