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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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晴れた日の午後。




イギリスはとあるカフェで一人紅茶を飲んでいた。




評判の良い人気の喫茶店。木製の扉の奥にはごちんまりとした空間が広がっている。




面積はそこまで広くないのだろうが、メインストリート側にある大きな窓が開放感を出していた。




昼終わりだからか先ほどより空いているもの

の、食べ物の残り香と、新たにコーヒーをひく音が聞こえる。




休日のカフェというものはいつの時間帯だって混んでいるものだ。




暇を持て余すように思考をぼんやり巡らせ、すぐ横の大きな窓から行き交う人々を眺める。




厨房から漂ってきたコーヒー豆の香ばしい香りが鼻をついた。



コーヒーの香りは嫌でも自分の息子を思い出させる。



バカ息子は今頃何をしているのだろうか。



なんとなくそんなことを考え、すぐに我に帰った。




自分に少し腹が立ち、少々投げやりに店の壁にかかっている洒落たアナログ時計を見る。



14時25分。


約束の時間から25分もオーバーしているのにまだあいつは来ない。


待ち合わせ場所が違う?


ありえない。私に限って。

というよりあいつが時間を守らないのは日常茶飯事だ。

待つしかない。


ため息をつき、カップとソーサーを手に取り、紅茶をすする。



それにしても、よく晴れた天気だ。珍しい。



怖いほど澄んだ秋の青。


何か、不思議なことが起こりそうな青。


良くも悪くも、変化が訪れそうだ。




空から視線を外した時、道路を挟んだ向こう側の道から腹の立つ顔に余裕そうな笑みを浮かべて、やってくるあいつが見えた。


横断歩道のない場所で道路を横断し、車にクラクションを鳴らされる。


ざまあみろ、だ。


だが、その様子もまるで映画の1シーンのようでサマになっている。腹しか立たない。



5分もせずに、店の扉の ベルがなった。

「待たせた、ハニー」


全く反省していない顔だ。

腹が立つ。



「35分オーバー、おめでとうございます」


私が皮肉を込めて賞賛の言葉を投げると、あいつはニヤニヤさせていた顔をさらにニヤニヤさせた。


そのまま私の前の席にややもたれる ように座りメニューを手に取る。



久々に見た恋人の顔をまじまじと見る。


メニューはすぐに決まったようで、注文した後すぐにこちらを向いた。



「…今日は朝まで一緒に過ごせるんでしょうね?」



こんなことを口にするのは恥ずかしい。


「もちろん」



あいつ__フランスが口角を挙げて答えた。



フランスが机越しにイギリスの手を取り、軽く口付けする。


「やめてください、公共の場ですよ」


「いいでしょ別にこのくらい。愛情表現だし」


口付けが、軽い愛情表現だと?


どうも感覚が狂う。


「…まあ、僕だってしばらく会えなくて寂しかったし、ね?」



「私も、あなたと対して気持ちは変わりませんよ」


フランスは私の言葉を聞いて、少しホッとした顔になった。



まさか私が寂しくないとでも思っていたのだろうか。


確かに寂しいと言う感情は悟られたいものじゃない。


だが、敵でもライバルでもあり、恋人でもある彼に感情は隠さなくても…良いだろう?



「この後は、デートで良いんだよね?」


「もちろん。聞かなくてもわかることを質問するのではなく、もっと……」


イギリスが口籠る。俯いた顔が赤い。


フランスは口角をあげて会話を促した。


「もっと、なに?」


「……知的な質問をしてくれません?」


フランスがいつのまにか隣に立っていた店員からホットラテを受け取ろうとし、固まる。


「は?」


イギリスが顔をあげ、いつもの人を見下す笑みを浮かべてフランスを見る。


「ゆっくり言わないと理解できませんか?

も っ と 知 的 な 質 問 を し ろ

と言ったのです」


幼稚園児に言い聞かせるようにゆっくり英語を発音する。



フランスの額に青筋が浮かび、ラテがさざなみを立てながら手に握られる。



店員が素早く伝票を伝票さしに差し、さっそうと厨房へ歩き去る。



ヨーロッパ二カ国ふたりは黒い笑みを浮かべながらお互い睨み合った。







イギリスは少々不審に思った。なぜ言い返してこないのか、と。




フランスは考えていた。今夜しっかり抱き潰してやろう、と。








穏やかな昼下がりが、甘い夜に変わるのは、もう少しあとのお話。





















「…あー……」


ドイツは一人、自分の部屋でうめいた。



『…っ!やぁ゛、やらッ゛♡ぁ゛っふぁ゛、ぁ♡きもち゛ぃのこわい゛ぃッ…!♡♡ぎゅ、ッて♡し゛て゛ッ♡♡あ゛っ♡♡お゛っ、ん゛んっ!!ひっ♡♡♡まッ…ま゛ッて゛え゛ッ♡♡♡キち゛ゃう゛う゛ッ♡♡♡』


とあるひとにつけておいた盗聴器から生中継で聞こえてくる、イギリスの喘ぎ声を聴きながら。



『ッッはっ、やーだ♡待ってやんない♡』


そして、目的の声が聴こえてきた。



イギリスを犯しているのであろう、俺の想い人の声。


きっと今の彼は、頬を紅潮させ、普段の綺麗な顔にSな表情を浮かべながら甘い夜を過ごしているのだ。





「……あー……」



その笑顔が、あいつなんかではなく、

俺に向いていれば良いのに。



孤独な英国は永遠に孤独でいれば良いのだ。


なのに、あの二人は昔から仲が良い。



地理的にも、俺の方がはるかに近いのに。



EUも、今は二人がメインで動かしているのに。


なぜフランスきみはEUを抜けた奴と一緒なんだ?



スピーカーから、二人の声が聞こえる。




黒い感情が心を渦巻く。



ドイツは冷たいコンクリートの壁に目を向けた。




壁に鎖が繋がれている。


鎖の隣にはベット。


ベットから少し離れたところにはドイツが今座っている椅子と机がある。


隅にはシンプルな棚。画材が入っている。



棚の近くにはイーゼル。




ひと一人が生活できるような部屋。



だが、この正方形の地下室で生活するのはドイツではない。





思わず、口角が上がる。



「はっはは…!! 」

さあ。


「あと、もう少しだ」



君の笑顔が俺に向けられるまで。



あと少し。





イギリスの顔が絶望するまで。



あと少し。















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コメント

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ユーザー

ああああああああああぁぁぁ!!! 最っっっ高に死にます!!! フランスがぁぁ!!ああああああああああぁぁぁ!!

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