美優のモテ期
小さい頃から「可愛い〜♡」と、言われ続け
大事に育てられた美優
中学生の時には、『付き合う』という意味さえ分からず、可愛いお付き合いをしていた。
が、儚く終わり…
中学を卒業してからは、ずっと、誰かに告白を受け、
途絶えることなく、彼氏が居た。
でも、高校3年生から短大2年生の時に付き合った彼氏に裏切られ…
美優は、トラウマになり、社会人になるまで、彼氏は作らない!と思っていた。
そして、会社に入って初めて付き合ったのが、
洋平。
他に、付き合った人は居ない。
洋平は、美優に一目惚れし♡
付き合うことになって、それは、それは嬉しくて♡
ずっと、目が話せなかった。
もちろん、会社でも…
会社の外でも、美優を狙う男たちを追い払うので、
必死だった。
まだ、社内では、最初の頃、
洋平と美優が付き合っているのを
知らない人がほとんどで…
『新入社員の鈴木さん、可愛いね〜』という噂だけが回っていた。
だから、洋平は、誰かが美優に、ちょっかいを出すんじゃないか?と、いつもハラハラしていた。
ある日、現場から帰って来た洋平。
美優のデスクに美優が居ない。
キョロキョロと探すが、居ない。
ウロウロ、歩いて探す。
なぜか、違うフロアで、男性陣に囲まれている。
「美優ちゃん、可愛いね〜」
「いくつ?」
「彼氏とか居るの?」
ようやく美優を見つけた洋平
「あの、彼女が何か?」
「あ、洋平!」
「へー君たち付き合ってんだ?」
「はい」ニコニコと笑う洋平
「じゃあ、失礼します。」
「美優、どうしてあんな所に居たの?」
「降りる階、間違えちゃって…」
「美優〜」
「ごめんね、次から気をつけるね。」
「うん、何か言われた?」
「彼氏居るの?って…」
「あ、だからか…」
「洋平、皆んなに言ってもいいの?付き合ってること。」
「うん、俺は今すぐにでも、皆んなに言って回りたいぐらいだけど…美優は?」
「洋平が良いならイイ。嬉しい♡」
「美優〜俺も嬉しい♡」
噂は、すぐに広まった。
でも、隠すことなくオープンにしていたから、
皆んなも応援してくれていた。
無自覚? 天然?
しかし、それでも、
「まだ、彼氏だろ?別に結婚してる訳じゃないし…」
と、美優に言い寄る男は、絶えなかった。
美優は、自分のこととなると、
そういうところ、少し天然なのか?
気づかないこともある。
だから、男達は、勘違いをしてしまい、美優を好きになってしまうようだ。
先輩社員もそうだ。
ある日、美優がコピー機のところで、悩んでいたら…
「どうしたの?」と、声をかけられ、
コピーの不具合を訴える美優が可愛くて…
時間を割いて直してくれる。
「ありがとうございました。助かりました。」
きちんとお礼を言う美優に更に、きゅん♡
当然のことなのに、どうも彼女には、男を虜にする
何かが自然に身についているようだ。
美優が悪いわけじゃない。
分かっているが、洋平は、いつも気が気じゃなかった。
デートをしていた時もそうだ。
「ちょっと、トイレに行ってくるね?」
「うん」
美優は、スイーツ店の前で、パフェをガン見している。
『チョコレートパフェにしようかなあ?
あ、やっぱり今日は、ストロベリーかなぁ?
いや、マンゴーも捨てがたいなぁ』
サンプルが並ぶショーウィンドウの前で、
ジッと見ながら悩んでいる。
すると…
「ね〜ね〜彼女、可愛いね〜パフェ食べたいの?
俺たちと一緒に食べない?」と、ナンパされている。
しかし、美優には、こういう時
一切、他人の声など耳に入らないのだ。
洋平がトイレから出て来ると、
美優を囲んで2人の男が何やら話しかけている。
「あ、まただ!」
慌てて、美優の元へ
「彼女に何かご用ですか?」
「え?あ、彼氏さんですか?」
「はい」ニコやかに笑う
「すいませんでした〜」と、走って逃げる男達。
「美優〜!」と、肩を抱く
「あ、洋平、チョコパとストロベリーとで悩んでるんだけど…どうしよう?」
「うんうん、両方頼んだら?半分個しよう?」
「いいの?♡」
「うん、良いよ〜」
『良かった、美優がパフェで悩んでくれてて』
「ありがとう、洋平〜♡」
「ふふ」キミの笑顔が1番だよ〜
ど天然?
更に
ある時は…
一緒に晩ご飯を食べるのに、デパートのお惣菜売り場に行った時。
「美優どれにする?」と、お肉売り場に居たのに
隣りを見ると、居ない。
斜め後ろのサラダ売り場に居た。
「美優〜」と、思ったら…
隣りの男性と話してる美優!
「え?」
また、走って行って、
「あ、すみません、彼女が何か?」
「あ、いえ…」
スーッと居なくなった男性。
「美優〜!」
「隣りに居るのが洋平だと思って、こっちとこっちどっちが良い?って、知らない人に聞いちゃった。」
「プッ、もう美優〜」
それから、というもの
もう迷子にならないように、ずっと手を繋いで歩き、
トイレにも同じタイミングで行くようになった。
会社では、さすがに自分のフロアの階数を間違えることはなくなった。
しかし、それからも、
美優の同期の男性からも、
出入りしている業者さんからも
美優は、続けて告白を受け、そのたびに
「彼氏が居ます」と、言ってくれていた。
洋平も、イケメンだし、優しいしモテる。
しかし、美優にメロメロなのは、皆んなが認めていたから…
それに、洋平は、美優以外、二度と付き合わない!と決めていたから、どんな女性が近づこうとも、全くブレなかった。
前例があるから、もう誰とも付き合わない。
美優と結婚したい!
付き合うと、決めた時からそう思っていた。
『あー早く美優と結婚したいなぁ〜』
あの辞令が出るまでは…
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!