side.Mz
ソファに座ってエゴサをする。編集も全て終わらせた時にリスナーの皆からの声を聞くのがとても嬉しい。けれど俺にとって1番の幸せは恋人…けちゃと一緒にいること。天然でおバカでポンコツだけど頑張り屋で愛おしい彼と共に過ごす日々は楽しくて様々な色に彩られている気がする。
「ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”………」
「けちゃ?どうした?」
「んんん〜!!」
そんなけちゃは今俺の隣に座って俺の肩に頭を押し付けてくる。頑張りすぎて疲れてしまった日はいつもこうなっている。いつもは頭を撫でてやれば少しは治るのだが今日はなかなか厳しいようだ。
そうだ、いい手があった。
「けちゃ?ここおいで?」
「…ん」
けちゃを膝にのせてバックハグする。視界を塞ぎながら頭を撫でて耳元で囁く。
「よしよし。いつも頑張って偉いな」
「…僕、偉い?皆褒めてくれる?」
「当たり前だろ。世界一偉いよ」
「…うん」
「塞がなくてもいいか?」
「うん。自分で閉じれるよ」
目を塞いでいた手をけちゃの体に巻き付ける。離さないとでも言うように。とんとんと優しく体を叩きながらそっと耳元に口を近づける。
「力抜いて。そう、いい子」
「んっ……」
柔らかい耳朶を口に含み、チロチロと舐める。ピクリとけちゃの肩が跳ねる。こちらに集中してもたれかかって来るのが可愛くて仕方ない。
「う…くっ…」
「えはいえはい(偉い偉い)」
耳朶だけでなく耳の奥の方も舐めてみる。少し擽ったそうに顔を顰めるのも可愛い。けちゃの全部が可愛くてつい意地悪をしてしまう。
「可愛い…じゃあ今度は反対の方ね」
「うん……」
ぐちゅぐちゅと水音を立てて舐めてやれば気持ちよさそうに体を震わせるけちゃ。声を抑えようとしているのに出来ていないのがいじらしくて可愛い。つい耳に息を吹きかけてしまった。
「ひゃっ!!ちょっとぉ…」
「ごめんごめん。けちゃが可愛くってさ」
「僕、かわい?」
「うん、可愛いよ。世界一可愛い。けちゃくらい可愛い人はこの世にいないよ」
「えへへ……嬉しい」
顔は見えないが緩みきったふにゃふにゃな顔をしているのが声から見て取れる。そのうちにけちゃの頭がコクリと船を漕ぐようになった。
「けちゃ?ベッド行くか?」
「やーや…。まだまぜちといたい……」
「風邪引くぞ?」
「いいの……。風邪引いたらずーっとまぜちといれるもん…」
「ったく…今日だけな」
「んふふ、やったぁ……」
ぐでんとこちらに全体重をかけてもたれ掛かるけちゃを抱き締めればスースーと小さな寝息が聞こえてきた。目元にはうっすら隈が浮かんでいて、頑張りすぎていることを示唆する。髪を撫でてからそっとキスを落とす。
「おやすみ、けちゃ。いい夢を」
そう呟けば、少しけちゃは笑ったように見えた。俺たちだけの疲れた時のおまじない。
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