テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
昼休みの終わり。 望月愛梨は、教室の机に頬杖をつきながら、自分のスマホに流れる動画をぼんやりと眺めていた。
画面には、先日のライブステージ――そう、魔法少女マジカル・アイリーンとして戦い、歌ったあの姿が映っている。
再生しながらコメント欄をスクロールしていくと、ひとつの文章が目に留まった。
Kandi Mira 瀬奈
「Kandi Miraの新作コスメキャンペーンをマジカル・アイリーンさんにお願いしたいです。
アイリーンさんのステージを見て感動しました。もしこのメッセージを見たならご連絡ください!
メールアドレスはSNSなどであります。」
愛梨の心臓が、ドクンと音を立てた。
(こ、これ……大人気コスメブランド、Kandi Mira!?)
授業が終わるや否や、愛梨は家に飛んで帰った。
鞄を部屋に放り込み、ベッドに腰を下ろすと、近くにいたパララにスマホの画面を差し出す。
「ねぇ、パララ。ダメって言うかもしれないけど、これ……」
「パラ? これなにパラ?」パララは首をかしげながら、小さな前足でスマホを支える。
「今日、休み時間にコメント見たら、コスメショップからオファーが来てたの。」
机に鞄を下ろしながら、愛梨は少し不安げに言った。
しかしパララは、やけに軽い調子でうなずく。
「分かったパラ~!」
「えっ、いいの? でも……魔法少女の姿の時と、普段の私って、あんまり変わらないからすぐバレない?」
「それは大丈夫パラ! 普通の人間には、魔法少女と普段の姿は区別できないようになってるパラ。」
「へぇ……だからみんな気づかないんだ。」
そして土曜日。
愛梨は、街の中心部に新しくオープンしたKandi Miraの店舗を訪れていた。
扉を開けると、甘い香りとキラキラ輝くコスメたちが出迎えてくれる。
心臓の鼓動を抑えながら、彼女は一歩前に出た。
「初めまして。えっと……マネージャー見習いの望月愛梨です」
魔法少女本人だと悟られないよう、彼女は“マネージャー”として振る舞っている。
「ありがとうございます!」
迎えてくれたのは、爽やかな笑顔の女性だった。
「私、Kandi Mira(キャンディー・ミラー)の瀬名リコって言います」
瀬名は手早く資料を机に置くと、ふと笑みを深めた。
「この度はご連絡ありがとうございます! さっそくですが、こちらをご覧ください」
彼女が差し出したのは、愛梨の持つステッキを思わせるデザインのリップスティックだった。
「か、かわいい……!」
思わず声が漏れる。
「はい! これは夏の新作リップで、今回の企画ではCMに実演で登場してほしいんです。
ちょうどこの街で新店舗ができたので、撮影はここで行います! よかったらサンプル、使ってみてください」
瀬名は嬉しそうに笑い、手渡してくる。
リップはこんな感じです(AIが作ってくれ ました)⤴︎
「い、いいんですか?」
「もちろんです」
愛梨はそっとキャップを外し、容器の下部を回す。
きらめくラメが、光を受けてきらりと輝く。
(すごい……可愛い……)
「ありがとうございます。すごく可愛いです」
「喜んでもらえてよかったです」瀬名は目を細めた。