目黒は渡辺が帰ったドアを眺めていた。
泣くほどの何があるのだろう?
目黒は、付き合い始めから今までをゆっくり思い出している。
告白した時も泣いた。
一緒にいようって決めた時も泣いた。
泣くのには理由がある。
その都度聞いているが、はっきり言わない。
でも、いつも寂しそうな顔をしている。
もしかしたら、渡辺は目黒と付き合っていることに不満があるのだろうか?
それより不安なんじゃないか?
4年は決して短いと思わない。
小さな喧嘩なら何度かしてる。
みんな渡辺の不安な気持ちからくる。
今回も、何かしらあるのだ。
阿部ーめめと話し合えた?
渡辺ー帰ってきた。
阿部ーえっ、話は?
渡辺ー俺が出来なかった。
阿部ーそっか。
渡辺ー今回ばかりは目黒も嫌になるかも。
阿部ーそれはないよ。
渡辺ーなぜ?
阿部ーめめは簡単な気持ちで翔太に告白しないだろ?
渡辺ーうん。
阿部ー翔太をとっても大事にしてるだろ?
渡辺ーうん。
阿部ーどれだけ翔太が大事か。
渡辺ー・・。
阿部ーそこが不安なんだ。
渡辺ー確かなものなんてない俺達だろ?
阿部ーそのための指輪だろ?
渡辺ー目黒に聞いたの?
阿部ー買う予定なんだって嬉しそうに言ってた。
渡辺ー俺にもらう価値あるのかな。
渡辺の不安の元はそこにある。
ずっとなんて信じない。
いつか目黒が離れていくことをいつも考える。
もう4年も経つのに、未だにその不安は消えない。
もしも、この先目黒と離れる事になれば渡辺は生きる意味を失くしてしまう。
それほど目黒の存在は大きい。
いつか、結婚すると言われたら?
いつか、もう好きじゃないと言われたら?
いつか、いつか、ずっと前から考えている。
4年が長いのか短いのかわからない。
それでも、時々ふっと渡辺に襲いかかってくる感情。
目黒を信じてないのかと言われたら信じている。
心から愛してる。
だからこそ不安なのだ。
置いて行かれたら?
遠く離れてしまったら?
考えて、何度も泣いた。
信用してないみたいで目黒には言えない。
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