「誕生日改めておめでとう」
3人でさっきまで元貴の家に集まってお祝いしていたが、涼ちゃんは気を使ってくれて早々に帰っていった。
あれこれとプレゼントを開けて、たくさん笑って素敵な誕生日だったんだけど···改めておめでとうと言ってくれた元貴の顔は少し曇っている。
「ありがとう···またこうやってお祝いしてもらえるなんて最高に幸せ、可愛い恋人もいるし」
「···どうせ使えない恋人ですよ」
「もとき〜」
そう、少し前に腰を痛めた彼はどうやら俺の誕生日に身体が自由にならないことが不満のようで、ことあるごとにしょげているのだ。
「痛いのに無理して仕事して···お祝いしてくれるだけで幸せなのに、なんでそんな拗ねてるの」
隣にそっと座ってよしよし、と頭を撫でる。
正直テレビの前では余裕の笑顔で仕事をこなしているが正直なところかなり無理をしているところもある。
だから、こうして一緒にいられるだけ幸せだと伝えているのに···元貴はご機嫌ななめだ。
「だって、普通恋人の誕生日なんて一番盛り上がる日じゃないの?それなのに···こんな腰じゃ、なんにも···」
「別に治ってからいくらでもできるし、それにしなくても俺は別に」
「じゃあせめて舐め···っていたいっ···」
腰を押さえてぎゅっと目を瞑って痛みを堪えている···、さっきまでそんなことしなくてもなんて余裕ぶっていたけどその顔はちょっとあのとき、みたいな顔でいけない想像をしてしまった。
「ほら、無理するなって···早く休もう?」
元貴に手をかしてベッドに寝かせると布団をかけてやる。
「ぅー、つらい···滉斗を抱きしめるのも出来ない」
じゃあ、と腰に負担がかからないようにそっと抱きしめてやる。
「元気になったらいっぱい付き合ってもらうし、今は休もう?」
同じベッドで寝て元貴にダメージを与えたら大変、とすぐ隣、床に布団を広げる俺を睨む元貴と目が合う。
「こわっ」
「自分が情けないし、若井がなんか別に気にしてないのも腹立つ」
別にそんなつもりじゃ···。
あ、いいこと思いついた。
「じゃあさ、してほしいことお願いしてもいい?そのままの体勢でいいから」
「え、俺にできるなら」
俺にも出来ることがあるんだ、と少し嬉しそうな元貴が可愛い。
そうだよな、今日はなんたって誕生日なんだから普段言えないようなことをお願いしちゃおう。
「···俺に、愛の告白して」
「···はい?」
この関係になったのは俺から好きだと伝えた。まぁたまに甘えモードの時には好きだと言ってくれるけど、この節目に改めて言葉が欲しいと思ったから、お願いしてみる。
「別にそんなかしこまらなくてもいいし、短くてもいいし、けどなにか···言葉が欲しい···だめ?」
元貴は少しだけ考えたようだったけど、じゃあもっとそばに来て、と俺を呼ぶ。
床に座ってベッドの元貴と目線を合わせて手を握った。
「滉斗と出会って、こんなに永く今も一緒にいられること本当に感謝してるよ、 ありがとう。ケンカもたまーにするけど、俺は滉斗が大好き···いつでも隣で笑っててほしい」
やっぱり言葉って偉大だ。
元貴の言葉で俺はまた明日から頑張れるし、心が満たされていく。
「ありがと···嬉しい、嬉しくて···幸せだ···」
「滉斗」
「ん?なに···?」
「愛してる」
元貴が俺の手の甲に口づける。
その笑った顔は恥ずかしそうで、けど嬉しそうだった。
「俺も愛してる。この世で一番」
「···その笑顔が大好き、キスして?」
軽くキスを交わす··· なんて素敵な誕生日なんだろう。
「素敵な愛の告白、ちゃんと受け取った」
「価値は高いからね?大切にして」
ちゅ、ちゅ、とだんだんキスが深くなっていく···けど今日は我慢しなきゃ、と2人同じことを思ったのか顔を合わせて笑った。
「治ったらたくさん愛してもらお」
くふふ、と笑う元貴の頬を撫でる。
その時は覚悟しておいて?
いやってほど、愛してあげる。
若井さんハピバ🎂
なんとか間に合いました···ただ仲良しな2人···!ただそれだけ···!
それが一番?
早く腰治りますよーに。
コメント
7件
幸せオーラ全開だ〜!癒されたから、データ引っ越し頑張れそう♪
はぁー☺️ なんだか、カタオモイの2人を思い出して、少し切ないキュンが胸に宿りました🥹💕 元貴くんの腰が、早く治りますように…🙏🏻 あ、ちがう、若井さんお誕生日おめでとうございます🎉