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「次、教科書103ページ開いて」
いつからだろう。いつもの声が嫌になったのは
「こういう問題、テスト出すからね」
教科書をめくるその手に嵌る銀色の指輪が目に入るようになったのは
「じゃあ、できた人から前持ってきて」
この人に惹かれたのは、いつからだったんだろう
「せんせー!おはよーございます!!」
「おはよう」
私はあやか。高校2年生。
この2年間、先生のことが大好きだった。尊敬からなのか、恋愛的にだったのかは分からない。只々大好きだった
彼女はいるの?
好きなもの、嫌いなものは?
もし、生まれ変わるなら何になりたい?
色んなことを、話してきた
先生の隣は、私でありたかった
「俺はさ、クラスで1番あやかのこと信頼してるから」
「大丈夫、あやかなら出来るよ」
信頼されてたのが、嬉しかった。けれど、先生と楽しそうに話すのはやんちゃなあの子
私と話す時よりも、笑顔で、楽しそうだった
あぁ、この子のことがお気に入りなんだな
先生のことはこの2年間ずっと見てきたから、すぐに分かった。
何度話しかけても、あんな笑顔私には見せてくれなくて。私に話しかけてくれなくて。先生の授業も、テストも、日常でもあの子よりは出来ているはずなのに。
「ねぇ、みた?」
「先生の、薬指」
「あれってやっぱ結婚指輪かなー?」
そんな話が、耳に入ってきたんだ
あの日は朝から雨だった。空は灰色でどこかどんよりしてて、何をするのも気分が浮かない日だった。
学校についてもどこか落ち着かなかった。
そんな時に聞こえたさっきの話
心臓が急に叫び出した。まるで耳元に付いているかのように激しく音がなったんだ。1番聞きたくない言葉だった。
教室のドアが開く。そこにはいつもの先生がいた
生憎左手は隠れていて見えなかった
「はい、号令」
朝のホームルームが始まった
「今日はー、」
一人一人が係の仕事をしていく。ほかの人の声は私には届かなかった。
教卓の上で、学級日誌をめくるその手が光って見えた。銀色の光だった
「せんせ、おはようございます」
「ん?おはよー」
近くに行っても、只々指輪が光を増しているだけだった
「ねぇ、先生。その指輪」
否定して欲しかった。これは違うよ、って
ただ趣味でつけてるとか、間違えたとか矛盾してようがおかしい理由だろうがなんだっていいから否定して欲しかった
「あぁ、これ?」
「まぁ、お察しの通り……って言うのかな?結婚指輪だよ」
淡々と話す貴方の姿が、少ししてぼやけて見えた
「……、そっか」
声が震える、呼吸が浅くなり、喉が痛くなる
「おめでと、…ございます」
私は、そのまま自分の机へ戻った