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蓮華の香りが漂う極楽教の寺院。その中心で、上弦の弐・童磨は、一度は自らの肉体に取り込みかけた「蟲柱」胡蝶しのぶを、まるで飽きた玩具を吐き出すかのように再び氷の床の上へと横たえた。完全な吸収を止め、あえて彼女を「形」として留めたのは、童磨の気まぐれだった。
氷の檻と歪んだ愛着
しのぶの身体は、童磨の猛毒を孕んだ氷結の血気術によって、指一本動かすことすら叶わない。しかし、意識だけは明瞭だった。目の前で扇を弄び、虹色の瞳を細めて微笑む怪物を、彼女はただ、燃えるような憎しみで見つめる。
「ねえ、しのぶちゃん。全部食べちゃうのは勿体ないって思っちゃったんだ」
童磨は楽しげに、彼女の頬を冷たい指先でなぞる。
「君のその怒り、その悲鳴。吸収しちゃったら、もう見られないだろう? だからもう少し、このお屋敷で僕と遊んでよ。君をどう飾り立てたら一番綺麗かな?」
物理的な蹂躙と実験
童磨にとって「好き放題にする」とは、人間的な情愛などではない。それは、好奇心を満たすための解剖であり、弄玩だった。
* 極低温の装飾:
童磨はしのぶの両手足に薄い氷の膜を張らせ、彼女を氷の彫像のように固定した。しのぶの体温が奪われ、肺が凍りつくような苦痛に喘ぐたび、童磨は「いい声だね」と、まるで楽器の音色を愛でるように笑う。
* 毒の相殺遊び:
しのぶがその身に宿した藤の花の毒。童磨は彼女の血管を流れる毒の拍動を楽しみながら、自らの血を少しずつ流し込み、どちらが勝つかを観察する。「あはは、君の体の中がすごく熱くなってるよ。壊れちゃいそうだ」
しのぶは、声にならない悲鳴を喉の奥で押し殺す。身体を切り刻まれ、再生を許されないまま、極寒の美しさの中に閉じ込められていく。その屈辱は、死よりも重く彼女を苛んだ。
毒という名の逆襲
しかし、童磨は気づいていない。しのぶがこの状況を甘んじて受けているのは、彼女の「計算」の内でもあった。
彼女の身体は、今や全身が猛毒の塊だ。童磨が彼女の肌に触れ、血を弄び、その肉体を「味わう」時間が長ければ長いほど、童磨の体内には致死量を遥かに超える藤の花の毒が蓄積されていく。
「さあ、しのぶちゃん。次は君のその綺麗な目を、氷の結晶に変えてあげようか」
童磨が顔を近づけたその時、しのぶの口元が微かに、嘲笑うように歪んだ。
終わりの始まり
童磨の指先が不自然に崩れ始める。
「……あれ?」
童磨の頬から、どろりと肉が削げ落ちた。
しのぶの意識が遠のいていく中、彼女の視界には、驚愕に染まる虹色の瞳が映っていた。身体を弄ばれ、尊厳を奪われた代償として、彼女は童磨の細胞一つひとつに、消えることのない死の刻印を刻みつけたのだ。
静まり返った屋敷の中で、氷の彫像のように動かない少女と、内側から崩壊していく怪物の影だけが、冷たく月の光に照らされていた。
美玉びーず♧_イラコン延長中!