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生徒会の噂

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生徒会の噂

1 - 第1話

♥

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2025年02月26日

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【注意】


※ 桃青要素を含みます。


※キャラ崩壊や口調等の違いがございます。自衛お願いします。


※ 当作品は二次創作なため、実際の個人団体と一切の関係はございません。













『ねえねえ、知ってる? 例の生徒会の噂』


『なにそれ、どんな噂なの?』


『実は……生徒会長と副会長が――』



——



「なぁなぁ、最近流行ってる噂知ってる?」



生徒会室で書類を整理していると、不意に猫宮いふが話しかけてきた。


「……噂?」


「そう、俺たちが付き合ってるってやつ」


手を止めて彼の顔を見た。黒縁眼鏡の奥の目が、面白がるように細められている。


「は?」


「いや、だから。俺たちが”そういう関係”らしいって話」


「は?」


大事なことなので二回聞いた。


「まじで知らなかったん?」


「知らんしそんなくだらん噂には興味ありません!」


「へえ〜」


いふはいかにも楽しそうに頬杖をつく。


「ま、とんだ迷惑やな」


「……そりゃねえ」


俺は呆れながらため息をついた。まったく、誰がそんな馬鹿げた話を広めたのか。


俺たちは確かにいつも一緒にいる。生徒会長と副会長という立場上、行動を共にすることが多いのは当然だ。しかし、それだけで恋愛関係に結びつけるのは、あまりに短絡的ではないか?



「でもさ、最近の生徒たちの反応、やばくない?」


別の声が割って入る。


「なぁなぁ、ないちゃん!実際のところどうなん?」


「……は?」


顔を上げると、いつの間にか生徒会メンバーが集まってきていた。


「だってさ、こないだ購買に一緒に行ってたとき、まろちゃんの分までパン買ってたやん?」


「いや、それは別に普通でしょ」


「あと、部活の助っ人に呼ばれたときも、めちゃくちゃ息ピッタリだったし」


「そもそもいつも二人でおるしなー」


「いや、生徒会の仕事だろ」


「まぁまぁ〜、正直に言ってくれてもいいんですよ?」


ニヤニヤしながら詰め寄ってくる生徒会メンバーに、俺は無言で書類を渡す。


「これ、今日中に片付けてね」


「えっ、うそ、めっちゃあるんだけど!? てか話逸らした!? ねぇ!」


「さっさとやれ」


メンバーが不満そうに書類を抱えて自席に戻るのを見届けて、ふっとため息をつく。


「やれやれ……」


「人気者はつらいね、ないこたん?」


「……は?」


「会長こわーい」


猫宮が肩をすくめる。そのとき突然


ガラッ


「お前ら、生徒会室にいたか!」


教室のドアが開き、担任の先生が顔を覗かせる。


「先生?」


「ちょっと急ぎの仕事がある。急で悪いが、職員室で資料の整理を手伝ってくれ」


「えぇ〜、マジっすか」


「ないこといふはこのまま残ってていいぞ。お前らには別件で頼みたいことがあるからな」


そう言って、先生は生徒会メンバーを連れて行ってしまった。


残されたのは、俺といふの二人だけ。






「ふぅ、やっと落ち着いた」


そう口にするも、“そういう関係”なんて噂話をした後だ。何となく空気が気まずくなり、二人とも口を閉ざす。


カサッ……


書類をめくる音だけが静かに響く。どうにも落ち着かず、俺は作業を進めようと机に向かう。


「さっきの話……どう思う?」


「だから迷惑だって」


何度もそう言ってるだろ、と付け足す。


「ふーん……」


いふは書類を手にしながら、どこか考え込むように視線を落とした。普段の冷静な表情とは違い、少し含みのある顔だ。


「けどさ、ないこって意外と否定しないよな?」


「は?」


「いや、普通こういう噂されたら、“絶対違う!”って全力で否定するやん?」


肘をつきながら、いふがニヤリと笑う。その表情が妙にイラつく。


「……いや、俺は何度も否定してるけど?」


「でも、なんかこう……本気で否定してる感じしないっていうか?」


「お前な……」


こいつ、確実に楽しんでやがる。



「………ないこはさ、もし俺が本気で”付き合ってみる?“って言ったら、どうする?」


いふが何気ない調子でそう言った瞬間、ないこの手が止まる。


「は?」


猫宮は、いたずらっぽく微笑んでいる。


「冗談で言ってる?」


「どう思う?」


「……」


俺は目をそらし、無言のまま書類整理に戻った。



いや、待て。

なんで急にそんなこと言い出すんだ?

どうするも何も、別に何とも思わないはずだろ。


……なのに、なんで俺はこんなに戸惑ってる?


意識するな。気にするな。そう思うのに、モヤモヤが消えない。


なんか、ムカつく。


普段は俺が翻弄する側なのに、気づけば押されてる。

しかも、こいつはまるで俺の反応を楽しんでいるみたいで──


それが、気に食わない。


ふと視線を戻すと、猫宮はいまだに余裕の笑みを浮かべてこちらを見ていた。


そんなに言うなら試してみるか?


「……本気でいいんだな?」


ぽつりと零した言葉に、猫宮が一瞬きょとんとする。


「え、ちょっ――」


次の瞬間、空気が変わった。


ガタッ!


いふが反応するより早く、ないこが彼の肩を掴み、勢いよく机へ押し倒す。


「っ……!?」


目の前には、驚いた表情のいふ。普段冷静な彼が、完全に虚を突かれた顔をしているのが、妙に愉快だった。


「お前さ……あんまり俺をからかってると、こういうことになるんだよ」


低く囁かれた声に、いふの喉がひくりと震える。


冗談──のつもりだった。でも、目の前のないこは本気のように見えた。


「ま、待っ……」


言葉が終わる前に、ふわりと唇に柔らかな感触が落ちる。


一瞬、いふの思考が止まった。


近すぎる距離。熱を帯びた息づかい。

触れた場所だけが、じんわりと熱を持っていく。


触れるだけの、軽いキス。


それだけなのに、いふの顔は一気に真っ赤になった。


「~~~~っ!!」


見たことのないほど動揺した表情を浮かべ、目を泳がせる。普段の冷静な姿はどこへやら、完全に固まってしまっている。


ないこは満足げに頷き、いふの頬を指でつつく。


ないこが口元を歪めて笑う。


「へえ、まろ、意外とこういうのに弱いんだ?」


「っ……!」


いふはさらに顔を赤くし、パクパクと口を開閉する。だが、言葉が出てこない。


「な、ないこっ、ふ、不意打ちはずるいやん……!」


「まろが言い出したんでしょ」


「そ、それは……そうやけど!」


言い返せないのが悔しかったのかいふはばっと手を伸ばし、ないこの肩を押し返そうとする──が、その瞬間、教室のドアが勢いよく開いた。


「おいないこー! 次の会議の──」


「……」


「……」


入ってきた生徒会メンバーが、固まった。


ないこに押し倒され、顔を真っ赤にしたいふ。


まるで時が止まったかのような沈黙。



「…………」

「…………」



「ええええええええええ!!!!????」


バサバサバサッ!!!!(資料をばら撒く音)


「な、な、な、何やってんだお前らあああああああああ!!!!」


「えっ、えっ!? まさかマジで!?」


生徒会メンバーの叫びが、生徒会室中に響き渡った。


「ち、違っ……! これは、その、ないこが……!!」


必死に弁解しようとするが、声が裏返ってしまい、逆に誤魔化しきれていない。

ないこを見ると、彼は 「ほぉ?」 とでも言いたげに余裕の笑みを浮かべていて――


「~~~~っ!!! ないこ、お前、後で覚えてろ!!」


真っ赤になりながら叫ぶのが精一杯だった。




そんなこんなで、「生徒会長と副会長、マジで付き合ってるらしい」という噂は瞬く間に全校へ広がっていくのだった──。



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