テラーノベル
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俺は陸上部で、まぁそこそこ良い立場にいたわけよ。
県でも上位に入るくらいには良い成績も残して。
一応、リレーと長距離をやってたわけ。
仲間と走るのが楽しくて楽しくて。
その日もいつもみたいに夜ランしてた。
いつもの交差点、この時間は人通りも車も少なくて比較的走りやすい場所だった。
夜だからもちろん暗い。けど大通りを走っていたから街灯とかコンビニの明かりとかでいくらかは見通しが良かった。
イヤホンで好きなアーティストの曲を聴きながら走る。
それが俺の楽しみだった。
キキーッ🚗
真後ろでけたたましいブレーキ音がなった。
後ろを振り返ると目の前に車があって、気づいた時には跳ねられていた。
(…もうちょっとで試合なのにっ)
そんなことを思いながら重くなった瞼を閉じた。
…周りで誰か叫んでたな。運転手かな?
目を覚ますと無機質な部屋で、母親がベッドの横に座っていた。
D母)DD!良かった…気づいたのね
「…?」
D母)車に跳ねられて、手術までしたんだから
立ち上がろうとする。
足が動かない。
「…なに、これ」
俺の足を見ると包帯で固定されている両脚。
寝起なのか麻酔が晴れたのか俺の手も包帯だらけで、運動できる状態じゃなかった。
「これじゃ陸上できないじゃんっ」
D母)でも命助かって良かったわよ
「そうだけど!けど!」
『…君さ、治るんでしょ?』
横から顔を出した青年。
…ここグループ部屋なんだ。
うるさくしちゃったかな
「騒がしくしてすみません」
『それはいいんだけど、』
『君、怪我治ったらまた走れるんでしょ?ならいいじゃん』
「…よくない。」
『いーや!いいね』
「生まれてから今まで、これから先も走れない俺よりはよっぽどいい。」
『…あ。』
彼は点滴を刺したまま笑った。
『あ!俺うみにゃ!』
『17歳で小児癌で入院してる。よろしく』
「DD。17歳高2。」
『一緒じゃん!』
『どこ校?』
「え?ニート高校だけど」
『え!同じかよ!』
「…うみにゃって、秋篠宮?」
『そう!』
「お前、俺の後ろの席だわ」
『まじ?笑えんだけど』
そんなんでうみにゃと出会った
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