─────────パチ…
目が覚める。
全部、思い出した
私、大切な人たちを失って…それで…
だから、多分ここは私の夢の中。
UNKNOWNは、私がルカ兄に会いたくて
創り出した幻影…
「どうせなら、
もう死んで楽になりたかったな」
本当に、現代の医療技術にはうんざりだ。
死にたい私は死なせてくれてくれないのに
死んでほしくなかったルカ兄とメテヲは
あっさり死なせちゃうんだもん…
「そんなこと言うなよっ…!」
廊下の奥の方から声がした
今、1番聞きたくない声が
「なんでよ…」
純粋に、ルカ兄なら認めてくれると
思った。いや、認めてほしかった
「こんなこと、死んだやつが言うのも
なんだと思うけどさ」
ルカ兄の偽物が下を向きながらもごもごと
喋り始める
「俺、ヒナには生きててほしいんだ」
そんな、今更すぎることを彼は言う。
「ふざけないでよ…私が創り出した
偽物のくせに…」
「私の事なんかなんにも知らないくせに!」
つい、そう怒鳴ってしまう
「私のことを置いて!約束破って!」
「勝手に死んだくせに!!」
今まで思ってた事を…いや、八つ当たりかもしれない事も全部ぶちまける
「私…もっとルカ兄と遊んでたかったのに!!」
「私….私ッ….!」
気づけば、泣き出していた
相手は…偽物なのに…関係ないはずなのに…
私の事をそっと抱きしめて…撫でてくれる
その様は…本物のルカ兄だった
「ルカ兄のバカッ…バカッ!!」
「なんで逃げなかったんだよッ…!」
偽物…偽物のくせに…撫でるの上手いし…
安心するし…
「うあああああっ…!!」
声にならない声を上げる。
ずっと、誰かに…ルカ兄に言いたかったことを全部言って、満足したのだろうか?
それとも…
「ごめん…ごめんッ…」
ぎゅっと…抱きしめられる
でも、全然苦しくなかった。なんなら
安心して、眠ってしまいそうだった
その瞬間、この空間がグラグラと揺れ始めるまるで、私たちの再開を邪魔しているかの
ように
「うわっ…!」
思わずバランスを崩しそうになるほどの揺れ
そんな私を、
ルカ兄は優しく受け止めてくれる。
「そろそろ…時間か…」
そう、彼が言う
「時間って…?」
そう言っている間にも、この空間は
揺れるのを辞めない
「現実の方のヒナの体、これ以上意識を
こっちに置いておくと…もたない」
つまり、これ以上こっちにいるなら、
私は現実では死んでしまうというわけだ。
「…そっか」
私は、くるりと身をかえし、最初、私が
目覚めた場所へ歩き始める
やることは最初から決まっていた。
「ルカ兄、ありがと!天国から私の夢の中にまで来てもらってさ!」
そう、彼に別れのあいさつをする…いや、
したつもりだった
「ばいばい〜みたいな雰囲気出してんじゃねえよ!俺はいつでもヒナの傍にいるからな! 」
そう、彼が言ったのをギリギリ聞き取った
ぐらいで、大きな岩が私とルカ兄の間に
落ちてきた
まあ、落ちてきたところでやることは変わらないんだけどね
─────────ガチャ…
最初は真っ暗だったはずの部屋の奥には
1つの光があった。
きっと、私が戻りたいと思った時にしか
見えない、希望の光なんだろう
私が現実に行ってやりたいこと、
それは私とルカ兄をバカにしたやつを
見返すこと!私が立派な大人になって、
あいつらより幸せになって、絶対見返してやること!
「行ってきます!」
そう、大声で叫び、光の中へ入っていく
大丈夫。私はもう誰に何を言われても
怖くない。だって目標があるから!それに、最強の守神だってついてるしね!
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コメント
10件
ずっと泣ける〜
まって間違えてコメント消しちゃった hnなぢゃ゙ぁ゙ぁ~ん泣 未来を見るのすごすぎて泣ける
うわ〜感動😭 あいつらより幸せな人生送ったるっていう復讐に走らないのがひなちゃんの明るさを表してて素敵