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紅
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#糸師凛
りー
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読了しました〜!今回は戦闘後のおうち時間って感じで、魔法を生活に応用するのがいいですね。火魔法×風魔法でドライヤー代わりの温風作る発想、めっちゃ賢い!「日常で便利に使えるようになれば」って彩花ちゃんの向上心も素敵だし、「朝から可愛い彼女が見れる」って心の声バレて照れるシーンにキュンとしました💕 アカネの「年相応にスケベ」発言には笑った😂 明日の換金、うまくいきますように!
食事を終えたところで、それぞれ覚えるスクロールを手にする。彩花には【火魔法】2枚と【水魔法】、そして【頑健】、ついでに【体捌き】2枚も覚えてもらった。【体捌き】は回避行動なんかにも影響してくるらしいので、持ってるだけ回避ビルドが確実になる。
俺の【体捌き】もかなりのレベルになってきた。回避しながらの戦い方も堂に入ってきた、ということだろう。もうちょっと頑張れば、十五層では完全回避でケンタウロスも倒せるようになるだろう。ただ、十三層のうるささだけは聴覚を奪われることで五感のバランスが崩れて回避力を削がれるので、アカネではないが十三層は厄介だな。
それと【頑健】はダメージを受けなければ発動しないスキルだが、あくまで保険として持っておく程度だ。実際は日常のほんのちょっとしたささくれがめくれるとか、爪が軽く割れるとか、そういった怪我やドアに軽く手を挟んで痛いとか、その程度の痛みを緩和してくれる程度だという。それでも十分役に立つので覚えておいてもらうことにした。
「よし、私はこれで終わりね。後は幹也だけど……たくさんあるわね」
「まあ、目的の半分はこれ集めだったからな。とはいえ、結構集まるもんだな。ドロップ率が10倍じゃなくても、一日に一枚二枚は集められる計算になるのか。これはこれでなかなか悪くない」
そして、ここからが俺が覚えるターン。まず最初に【雷魔法】を2枚覚えて……レベル15にすると、その後10枚続けて【マジックミサイル】を覚え続ける。10枚キッチリ覚えてこれでレベル21かな。
この【マジカルシュート】は今覚えてもさっき説明した通り意味がないし、スクロールを覚えるだけMPが増えるとしても一枚では知れているからな。そして、例えばこの魔法を一枚覚えるだけでMP最大値が大きく増えるなら、マジックミサイル10枚分の値段で済むはずがない。
そこも含めて計算すると、【マジカルシュート】を今覚えるのはあまり得策ではない。むしろ得策な状況を作るためには、【マジカルシュート】を複数枚手に入れられるモンスターが出てきてくれなければならない。
そんなモンスターがいるかどうかはともかく、しばらくは出てきそうにない。出てくるなら有名モンスターとして名をとどろかせているはずだが、そこまで名が通ったモンスターは今のところ目にしていないし、ミノタウロスのほうが有名さでは上だ。
ミノタウロスのドロップする肉は非常に上質な脂とサシの入った見事な和牛……ミノタウロスのモデルを考えたら和牛ではないが、日本で産出するミノタウロスの肉は和牛を冠してもいい、というよくわからない理由で和牛として流通している。
それでいいのかなあ……いや実際食ったら美味いんだろうけど、海外ではどういう感想になっているのか、というか海外でもWAGYUなのかどうかは気になるところだな。もしかしたら巨大な赤身の肉塊がドロップして、ミノタウロスの肉と言ったらこれだろう? HAHHAHHAH、とか言い出すのかもしれない。これは調べものの課題の時に使ってみよう。意外な地域差が出るかもしれないし、出ないかもしれない。
「よし……これでマジックミサイルがレベル比二倍の強さになった。どのぐらい強くなったのか気になるが、今洗濯しちゃったからな。また明日だな」
「明日は……ああ、そうか。換金しに行かなきゃいけないものね。どうしよう、明日までに乾くかしら? 」
「乾かなかったら最悪門限破りそうだったので前回は換金通さずに来ました! って言い訳を使うとか。女子寮生なら大目に見てくれるかもよ」
「最悪はその手を使うことにするわ。とりあえず今は消臭液で我慢ね」
彩花が俺の消臭剤を使って自分の防具の匂いを取っている。そのままでいいのに……とか言い出すと汚いものを見るような目で見られかねないので黙っておく。彩花の匂い、良い匂いなんだけどなあ。自分の匂いは自分自身ではそう感じない、という奴だろう。
「あまり匂わないから、ほどほどで良いと思うわよ。あんまり消臭液を掛け過ぎても、却って洗濯するのと同じになりそうだしね」
アカネが横から口を出す。
「そういえばアカネさんは匂い、わかるのよね」
「わかるようになった、が正しいわね。幹也に出会った頃はわからなかったけど」
「そういうものか。徐々に五感が戻っている感じか。触覚が後のほうってことはわかる。視覚聴覚が先ってこともわかってきた。味覚は……触覚の後か? 」
「触れないものを食べることはできないからね。味覚は最後だけど、神力って形でなら味わうことは出来てるから、もうすでに持ってると言えなくもないわね」
なるほど、そういう考え方もできるか。じゃあアカネは後は触覚……というより接触そのものか。いつになればできるかわからんが、できるようになったらまずは散々セクハラしやがってこのエロ地蔵が! と関節技をかけることにしよう。
「そんなに密着してエロいことしたいなんて、言ってくれれば今夜から添い寝するわよ? 触れられないけど」
「ちょっと、幹也何を考えてたのよ」
二人に詰め寄られる。アカネのほうは冗談半分なのはわかっているが、彩花のほうはちょっと本気で心配している節があるな。これはちゃんと言葉で訂正して正しておかないと。
「単に、今までのセクハラのお礼に、触れられるようになったら関節技を決めてやるって考えてただけだ。アカネにいいように遊ばれてどうする。アカネは俺たち二人の思考を読めるんだぞ」
「そう……だったわね。時々忘れそうになるわ」
「そんなわけで、明日は換金に行きたいんだが大丈夫か? きつそうなら潜ってすぐに引き返して……とやって短時間で済ませることもできるぞ、そのための言い訳も何か考えるから」
「とりあえず一晩で匂い抜きと乾かしが終われば大丈夫って事だから問題ないわ。良かったら、一晩預かってもらって一緒に乾かしてもらいたいぐらいよ」
「それぐらいなら構わんが、明日二度手間にならんか? 」
「どうせお弁当作りに来るんだから、二度手間にはならないわよ。むしろわざわざ来る口実が出来て問題ないわ……通い妻もほどほどにしておいたほうがいいのかしら? 」
「……大丈夫よ、朝から可愛い彼女が見れるのかって内心は盛り上がってるから」
おい、心の声を勝手に発言するなよ。それを聞いた彩花がさっきまでの芯の通った様子から一転、ふにゃふにゃしてデッサンが狂い始めた。どうやら俺の内心を聞いてまんざらでもないといったところ。
「とりあえず、防具はこっちで乾かしておく。俺は最悪上半身だけいつもの奴を着て、残りはケンタウロスセットということもできなくはないからな。彩花のその分だけ先に乾かさなきゃいけないか。ドライヤーでなんとかならないかな」
確か前の家から……ん、待てよ。火魔法と風魔法を組み合わせて温風を送ることができたら、ドライヤーの代わりにならないかな。
「ちょっと実験……」
最悪燃えても問題ないように、自分の上着で試してみよう。火魔法で自分の手の中に火を起こして、横から強めの風を起こして火を消さない程度の勢いで温風を噴き出させる。
「これでなんとかなるんじゃないか? 」
「なるほど……私もやってみていい? 」
「【火魔法】強くし過ぎて焦がさないように注意しろな。ただでさえレベル上がってるんだから」
「幹也の大きさなら大丈夫って学んだから大丈夫よ。【風魔法】のスクロールもらうわね」
明日の収入が10万円分ほど減ることになったが、乾かなきゃ10万円どころの話ではなくなるのでまあいいか。とりあえず後日に回すという方法もあるが、毎回行かないとどんどん溜まっていくからな。バッグに入りきらない分はまた次回に……とやっていると、そのうち足がついてしまうかもしれない。
「うーん、足が付いたら終わりだからと言ってやめるわけにもいかないしな。明日は午前中潜って、午後からのんびり来週の講義の予習でもするか」
「そうね、この調子なら……うん、うまく調整できたみたい。これで洗濯物の急速乾燥も手軽にできるようになるわね。流石に髪を乾かすのは……ちょっと無理かも」
自分で髪を乾燥させるようなしぐさをしているので、ヘアアイロンやドライヤーの代わりに使おうとでも思ったんだろうな。後ろ髪を乾かす間に気が付いたら自分の火魔法で焦げていた……なんてことにならなければいいんだが。
「あくまで応用。こういうこともできるんじゃないか的発想でちょっといい感じになったとはいえ、自分の頭燃やしてたらしゃあないからな。俺はともかく女の子がそんな無理する必要は……俺がドライヤーかけてあげれば一応電気代は節約できるな。ただ、そこまでする必要があるかどうかまでは悩ましいな」
「むー。その内使えるようになってみせるわよ。日常で便利に使えるようになればもうちょっとお気楽になれるかも、とは思ってただけよ」
「なら、まずは水道代の節約からだな。シャワーを浴びる時にぬるい湯が出せるようになればそれだけでも充分なんじゃないかな。風呂って結構水道使うし」
「そうね、【水魔法】も覚えたことだし早速今夜から試してみるとするわ」
「慣れたらそれなりに便利にはなると思うぞ。ただ、最初は火傷に気を付けて。彩花は【火魔法】のレベルが高いから熱湯が出るかもしれない。いきなり熱湯を浴びて全身やけど……なんてことにならないようにしてね」
しっかり注意はしておく。さて、そろそろ彩花とはお別れの時間かな。
「じゃあ、また明日よろしくね。乾かすのは任せたわ」
「任された。自分のより優先して乾かすようにしておくよ」
彩花が部屋を出ていく。この時間なら文句を言われることなく寮に戻れるだろう。さて、彩花の装備をしっかり乾かしていくと、消臭剤自身の香りと共に彩花の汗の香りも混じってこう……明日も朝から疲れることになると嬉しいな。
「人に散々スケベと言っておいて、幹也も相当なもんじゃないの」
「俺は年相応にスケベなだけだぞ。年相応以上にスケベな地蔵には言われたくないねえ」
「私も年相応にスケベなだけよ。神にせよ人にせよ、年齢を重ねたほうがスケベになっていくものだから気にしないでいいわ」